単品リピート通販におけるダイレクトマーケティングの基礎知識

現代のビジネスモデルのような近代的な単品リピート通販事業が始まったのは1870年代のアメリカといわれており、1872年に最も古くカタログ販売を始めたアメリカ3大ストアブランドの一つであるモンゴメリー・ワードや、現在世界最大の小売企業であり、1886年に郵便とカタログを組み合わせて時計の通信販売を始めたシアーズ・ローバックなどにより発展しました。

カタログや郵便などの通信手段を活用し、中間流通業者が介在しないことで、より安価な商品価格を設定できるという考えはこの当時から始まっており、現在に到るまで単品リピート通販事業にも脈々と受け継がれています。

このような通販事業はアメリカ国内でも順調に発展し、市場規模も成長を続けていましたが、1970年代から1980年代にかけて市場成長が停滞してしまいます。

そこで、通販業者はマーケティング手法の一つであるマスマーケティングの見直しを行い、一度停滞してしまった通販市場をもう一度成長させようと試みます。

その結果、通販業界に浸透したのがダイレクトマーケティングですが、これを理解するためにまずはマスマーケティングとはどのような手法なのか理解しましょう。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

マスマーケティングとは?

マスマーケティングとは、マス=大量という言葉が表す通り、大量生産・大量販売・大量プロモーションを前提として、すべての消費者を対象に同じ方法で行うマーケティングです。

マスマーケティングではすべての顧客を平均的な消費者として対象にし、標準化された製品を大量生産・大量流通によって届け、売上の規模拡大を追求します。

これは大量消費時代を象徴するマーケティングの手法であり、市場全体、一般大衆を対象に、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマス・メディアを活用して大量広告を行い、少数のアイテムの製品の大量流通を行います。

市場の成長期に、マーケット・リーダー(業界トップ企業)が用いる手法として有効だとされており、大量生産によるコストダウン、単一製品による流通の効率化、市場全体に向けた単一的な広告により、市場シェアを一気に確保してしまう戦略といえますね。

それでは次に、マスマーケティングとは異なり、全ての顧客は同じではないという考えを基に、それぞれの顧客に直接アプローチするダイレクトマーケティングのポイントに移りましょう。

ダイレクトマーケテイングの4つのポイント

ダイレクトマーケテイングの特徴は下記の4つのポイントに集約されます。

1. 1種類またはそれ以上の広告媒体を使用する。

2. レスポンスや取引をもたらす双方向性のマーケティング。

3. 場所を問わない。

4. 計測可能でデータベースに蓄積される。

この中でも2つ目の双方向性のマーケティングは理解しにくいと思いますが、これは企業から一方的に情報を発信し続けるだけではなく、顧客の意志や感情を積極的に収集するマーケティングといえます。

双方向性マーケティングは顧客が抱えているニーズや、企業の改善点を把握するために有効な方法といわれており、インターネットが普及した現在この手法を導入する企業は増加の一途を辿っています。

では次に、1つ目の広告についてより詳しく掘り下げてみましょう。

ダイレクトマーケティング広告の3つの特徴

ダイレクトマーケティングは通販業界の停滞を打破するために生まれた手法であるため、通販広告は顧客にメッセージを送り、レスポンス(この場合レスポンスとは注文を指します)を獲得することを目的としています。

このことからダイレクトマーケティングは、ダイレクトレスポンス広告とも呼ばれており、その他の一般的な広告とは異なる点が主に3点あります。

今回の記事ではダイレクトマーケティング/ダイレクトレスポンス広告を特徴付ける以下の3つのポイントをご紹介します。

1. 費用対効果の明確化
テレビやラジオなどの一般的な広告では、当然のことながら消費者がどのタイミングでどの媒体から影響を受けて、注文や購入といった行動に映ったのか特定することはできません。

このようなマス広告(不特定多数の大量の消費者に向けた広告)は、様々な媒体で何度も広告を打つことで、売りたい商品や企業の認知度の上げることを目的としており、いわゆる刷り込み効果により消費者の商品購入を促しています。

ダイレクトレスポンス広告はマス広告とは異なり、消費者がどの媒体でどの時間帯に広告を見たのか特定できるため、媒体別や時間帯別に細かく費用対効果を把握することができます。

2.行動を促す
一般的な広告はあくまで商品や企業の認知度を上げることが目的だと述べましたが、ダイレクトレスポンス広告はより具体的な行動を促すことを目的としています。

多くの場合、この行動とは注文の申込や購入など「見込み客」に到達することを指しており、ダイレクトレスポンス広告では広告上で様々なオファー(無料サンプルの提供やお得なまとめ買いなど)を行うことで行動を促します。

3. パーソナライゼーション
ダイレクトレスポンス広告の中でも、カタログやダイレクトメールは顧客情報を基に商品を使い切る周期や顧客の誕生日などそれぞれの顧客に最適なタイミングで広告を行うことができます。

メールマガジンなども、このようにパーソナライズ(=それぞれの顧客のためにカスタマイズすること)された広告の典型例だといえます。