単品リピート通販における商品開発の基礎知識

近年単品リピート通販事業は総合通販企業主体から専門通販企業主体(単品リピート通販もこれに含まれます)に変化しているといわれています。

この記事では主にどの取扱商品が人気があり、自社製造商品を開発するにあたり注意するべき点などをご紹介したいと思います。

まず、日本通信販売協会(JADMA)の会員である企業がどのような商品を取り扱っているのか見てみると、興味深いことにトップ3は下記の通りになりました。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

人気取扱商品とその理由

第1位: 健康食品

第2位: 化粧品

第3位: 食料品

この順位を見て、すべての商品に共通した点にお気づきでしょうか?

これらの商品の共通項はすべて、食べることや、使うことにより消費され、もしお客様が気に入った場合は繰り返し注文が発生する、いわゆるリピート商品であることです。

このような商品が取り扱い商品のトップ3に入った理由は、ずばり通販と相性が良いからです。

例えば健康食品であれば、この商品が体の一部や健康に良い効果をもたらす理由を広告ではっきりと明示して売り出すことができますね。

広告でこのような点をアピールする場合は、医療品医療機器等法により効果・効能の表現に注意する必要がありますが、情報化できるアピールポイントを持つ商品は通販で取り扱う際にメリットしかありません。

医療品医療機器等法とは?

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。

医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の品質・有効性・安全性を確保するために必要な規制や指定薬物の取り扱いなどについて定めた法律であり、薬事法を一部改正し、平成26年(2014)11月施行されました。

薬機法と呼ばれることもあります。

1つの広告に1つの商品のアピールポイントを集約し、売り出すことができる通販に対して、実店舗では多くの商品が陳列されるため、ポップやパッケージは見えてもその商品が具体的にどのような特徴を持っているのかお客様に訴求することは難しいですよね。

産地偽装など食品の安全を脅かすニュースが多い昨今、食料品の安全性を情報化することにより通販の広告では説得力のある商品のアピールをすることができます。

小売市場が多様化した時代背景

上記のトップ3の商品がお客様に好まれる理由には小売市場の多様化という時代背景もあります。

小売市場の多様化という言葉からイメージすることは難しいかもしれませんが、これは経済が成熟した先進国ではどこでも起きている現象です。

例えば、経済が成熟する前の高度成長期(日本では戦後から1990年代初頭のバブル崩壊までを指します。)にはテレビや冷蔵庫などの家電や、自動車などが豊かさの象徴とされていましたが、その後の後退/成熟期には産地にこだわった安全な食品や、ヤクルトなどの健康に良い飲食料品、アンチエイジング効果のある美容品などの人気が高まりました。

このように、人それぞれの好みや趣味嗜好の種類が多くなることを小売市場の多様化と呼びます。

また、1990年代以降衛星放送が広まり、テレビ通販番組やショッピング専門チャンネルが増えたことにより、単品リピート通販の一般的な認知度が上がったこともトップ3の商品の人気が出た理由といえます。

このような現象はトップ3の商品に限らずその他の商品にも多く見受けられ、実店舗では売上が伸び悩んでいる商品が、単品リピート通販では大成功する例も多々あります。

実店舗では陳列できるスペースが限られているため、人気がない商品の入れ替えは必ず起きてしまいますが、このように人気がなく実店舗から消えてしまった商品にも必ずファン(ヘビーユーザー/リピーター)は存在します。

この記事を読んでいる方の中にも、頻繁に買っていたお気に入りの商品がある日突然店舗から消え、寂しい思いをした方がいるのではないでしょうか?

インターネットが普及した現在は、このように実店舗からお気に入りの商品が消えたとしても、よっぽど希少性のある商品以外はネット上で探せば見つけることができますね。

これもインターネットの普及により単品リピート通販業界全体の売り上げが伸び続けている理由です。

通販取り扱い商品トップ10

ここで、トップ3以外の人気取り扱い商品をご紹介したいと思います。

この中の商品をインターネットで購入した経験のある方は多いのではないでしょうか?

()カッコ内は取り扱っている通販企業の全体に対する割合です。

[box03 title=”通販取り扱い商品トップ10”]第1位: 健康食品 (47.8%)

第2位: 化粧品 (40.9%)

第3位: 健康食品、地方特産物、産直品を除く食料品 (28.0%)

第4位: 地方特産品、産直品 (22.8%)

第5位: 水・酒類、ソフトドリンクなどの飲料 (20.7%)

第6位: 婦人衣料品 (17.7%)

第7位: 美容、健康・医療器具 (16.8%)

第8位: 食器・台所家庭用品・トイレタリー (15.9%)

第9位: 靴・カバン (15.5%)

第10位: インテリア、敷物、寝具 (15.1%)

(2017年度調べ)[/box03]

自社製造の注意点

このように単品リピート通販で商品売る際には他社製造の商品を取り扱うのか、自社製造の商品を取り扱うのか2つの選択肢がありますが、自社製造の商品を選んだ場合注意するべき点があります。

何度も会議を重ね、一から商品開発に携わることにより自社製造の製品に対して愛着心がわくことは自然ともいえますが、その商品を愛するあまり冷静な判断ができずに失敗するケースが存在します。

単品リピート通販で自社製造の商品を取り扱う際は、売り出す熱意ももちろん必要ですが、商品から一歩距離を置き、冷静に、客観的に商品を評価することが事業の成功にとって必要不可欠だといえます。

売る側ではなく、お客様の立場で内面的な消費者マインドを注意深く観察する視点は単品リピート通販事業の成功への近道になるでしょう。

消費者マインドとは?

消費者の支出に関する意識のこと。

賃金や雇用環境、物価などをはじめとした、様々な要因が消費者マインドに影響を及します。