単品リピート通販の売上高が20年近く増加し続けている理由とは?

この記事をお読みの方は、実は通販が戦後「日陰の通販」と呼ばれていたことをご存知ですか?

前回の記事では、単品リピート通販が位置する小売市場と、その中でリピートと通販の売上高が近年増加していることについてお話ししましたが、今回はその増加の理由について歴史と共にお話ししたいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

【前回記事】単品リピート通販の小売市場における規模拡大について

日本では、戦後から1990年代の初頭にバブルが崩壊するまで「高度経済成長期」という名前の通り、急激に経済が成長し、戦後の焼け野原から当時のGDP世界2位の経済大国にまで登り詰めました。

GDPとは?

GDPとは国内総生産のことで、1年間同じ国に住んでいる人々によって新たに生産されたモノやサービスの付加価値のことです。ごく簡単にいうと国内で商品を買ったり、家を建てたりして使われたお金の総計ともいえます。

GDPの中には、日本企業が海外で生産したモノやサービス、また商品の原材料費などは含まれません。このGDPが前年度に比べてどのくらい増減したのかを見ることで、国内の景気変動や経済成長を推定することができ、それを「%」で示したものを経済成長率といいます。

バブル崩壊後から現在に到るまで、日本の経済低迷と共に小売店舗(店舗で商品を売る小売形態)の売り上げも低迷してきた中、通販の売り上げは19年もの間着実に伸びてきています。(2017年度の売上高はなんと7兆5500億円、対前年比で8.8%増です!)

しかし、売り上げが常に伸びていたわけでなく、実は1997年と1998年の2年間だけ売上高が減少した時期もありました。

その当時通販業界では、このまま通販の売上高が減少し続けるのではないかと危惧されましたが、その後通販の売上高は19年間増加の一途を辿ることになります。

では、一時期売上高が減少したにも関わらず、その後通販が19年間もの長期間発展・成長できた理由とは何なのでしょうか?

通販の売上高がここまで成長した理由は主に7点あると言われています。順を追って説明しましょう。

在宅購入ニーズの高まり

近年の在宅購入ニーズの高まりは生活スタイルの多様化が大きな要因とされています。

女性の社会進出が進み、通勤やその他の交際で外出する機会が増えてくると、その分外で買い物をする時間と体力は負担になってしまいますね。

また、社会の少子高齢化が進むことにより、体力がなかったり外出が難しい高齢者の数も増加し続けています。

社会の中のこのような変化(特に女性の生活スタイルの変化と高齢者の増加)を背景にして、商品を在宅で購入するニーズ(需要)は高まりました。

店舗の限界と通販業者の増加

これは経済が発展する過程でどの国でも起こる現象ですが、お客様、つまり消費者の欲求の多様化・高度化は商品の増加に繋がります。

経済が発展すると、当然その国の平均的な収入も上がります。そして、使えるお金が増えるということは、欲望の数も増えて、結果として商品の数(種類)も増える。

少し難しい経済の原理になってしまいますが、上記の流れで考えを進めるとよりわかりやすいかもしれません。

このように商品が増えたとしても、店舗の売り場のスペースや数は限られているので、すべての商品を店舗で売ることが難しくなってきます。その結果、売り場以外で商品を売るために通販を始める企業が増えたのが「店舗の限界と通販業者の増加」です。

多様な媒体の発展

一昔前まで通販はダイレクトメール(チラシ)が中心でしたが、現在はカタログ・テレビ・新聞・雑誌・ラジオはもちろんのこと、PC・スマホの普及によるネット通販が急激に成長しています。

つまり、単品リピート通販企業のコミュニケーション力(お客様に情報を伝える力)が増大したと考えると理解しやすいと思います。

他の記事でも度々言及してきましたが、スマホの普及が通販に与えた影響がいかに大きかったのか、実際事業をやっていると実感する場面が非常に多いと思います。

宅配業のサービスの拡大

高速道路や航空郵送は現在も発展を続けています。このような商品の郵送手段の発展は、宅配業者のサービスをより早くし、多様なニーズに応えることを可能にします。

より早く、より柔軟的な流れで、しかも在宅で商品を購入できるようになれば、わざわざ実店舗に行く人が相対的に減っていくのは自明ですね。

コンピューターの発達による通販事業の効率化

現在多くの企業が会計ソフトを導入していますが、もし昔のように全ての会計の仕事を紙で行うとすると業務の効率は非常に悪くなってしまいます。

会計の業務と同様に、顧客情報のデータベース化・商品管理・配送管理・取引決済・顧客とのコミュニケーションなど単品リピート通販を行う上で必要不可欠な業務のほとんどがコンピューターの発展によってに飛躍的に効率化されました。

これはインターネットの普及と重なっている部分が多いですね。

クレジットカードの普及による取引決済の利便化

以前までは現金を手渡しするか、銀行に振り込む以外に決済の選択肢があまりありませんでした。

しかし、クレジットカードや電子マネー、コンビニ払いや後払いサービスなど、現在は商品を購入する方法も増え、より早く、便利に支払いを行うことが可能になりました。

特に後払いサービスは現在導入している企業が増えており、単品リピート通販以外でもネット上で買い物をする際目にする機会も多いのではないでしょうか。

自動車社会の限界(シャッター商店街の増加)

これは通販とは無関係と感じる方がいるかもしれませんが、通販の売上高の増加と密接な関係があります。

「シャッター商店街」という言葉が使われ始めて久しいですが、この現象は経済が成熟した社会ではどの国でも起きています。

それまで都会でも田舎でも各地に商店街が存在していましたが、イオンを始めとする大企業が資本の力で商品を量産し、商店街の個人経営のお店よりも安く商品を提供すると、当然ながら人々はイオンなどの大型商業施設に流れます。

その結果、近所の商店街がなくなり、商品を購入するためにより遠くの大型商業施設に行かざるを得ない人が増えてしまいますね。

このような人々にとって、外出せず在宅で商品を購入できる通販はとても魅力的だと思いませんか?