サブスクリプション

トヨタのサブスクはなぜ苦戦しているのか?

サブスクリプション市場は、2020年においても成長を続けており、様々なジャンルから新しいサービスが誕生しています。

しかし、順調に収益を上げているサービスがある一方で、顧客を獲得できずに苦戦しているサービスも多いようです。

その苦戦しているサービスの中でも、とくに話題となることが多いのがTOYOTAが始めたサブスクリプションサービス「KINTO」です。

このKINTOは、2019年春から開始されているサービスですが、1年以上が経過した現在においても、思ったほど顧客を獲得することができずにいます。

そこで今回の記事では、TOYOTAのサブスクリプションKINTOについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

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注目を集めた車のサブスク

サブスクリプションとは、従来のように、商品やサービスに対して料金を支払うのではなく、商品やサービスを一定の期間利用できる権利に対し料金を支払うビジネスモデルです。

代表的なサービスとして、毎月決まった金額を支払うことで映画などが見放題となる、HuluやAmazonプライムビデオなどの動画配信サービス、音楽が聴き放題となるApplemusicなどの音楽配信サービスがあります。

サブスクリプションは、これらの配信サービスから広く知られるようになりましたが、最近では洋服やバックなどアパレル商品のサブスクリプション、食品、家具などあらゆるジャンルのサービスが提供されています。

この数あるサブスクリプションサービスの中でも、特に注目を集めたのが、TOYOTAが2019年に始めた車のサブスクリプションサービス「KINTO」です。

サブスクリプションは、所有するのではなく利用すると言う、消費者のライフスタイルの変化に対応した仕組みであり、KINTOはそれを車によって体現したという触れ込みのサービスです。

しかし、KINTOのサービス内容は一般的に知られているサブスクリプションとは少し異なります。

KINTOとは?

KINTOでは、サブスクリプション契約した顧客に新車をあてがいます。

この契約とは、一般的な契約である月ごとではなく、3年、5年、7年から選択し、その間、毎月決まった金額を支払うと言う仕組みです。

契約した期間中は使い続けるのが前提であり、不要になったからと言って返却することはできません。

ただし、その契約期間中の税金やメンテナンス費用などは毎月の支払に含まれるため、顧客が支払う必要はありません。

これは、従来から提供されているカーリースサービスにおいても同様であり、月々の利用料金を支払うことで、諸費用を支払うことなく自動車を利用することができます。

基本的にはKINTOはカーリースと同じ仕組みのサービスであり、それほど目新しいものとは言えません。

しかし、KINTOにはカーリースと大きく異なる点があります。

それが、任意保険料が毎月の料金に含まれているということです。

任意保険料は、同じ車であっても、対象となるドライバーの年齢や過去の保険利用などによってそれぞれ異なります。

そのため、これを毎月定額の利用料金に含めると言うのは非常に困難なことなのです。

しかし、KINTOでは、この任意保険料をドライバーによって差を付けることなく料金に含めているのです。

これは、容易なことではなく、他のカーリースでは実現することが不可能とも言えます。

このように、急な出費を考えることなく、自動車を利用することができるという点では、KINTOは優れたサービスであると言えるのです。

なぜKINTOは支持されないのか?

KINTOには、上記のような特徴があり、ある程度ユーザーからの支持を得ることができるのではないかと考えられていました。

しかし、ふたを開けてみれば、利用するユーザーは想定外に少なく、大苦戦と言っても良い状況に陥っています。

なぜ、一見お得のように見えるこのサービスが支持されないのかと言うと、このサービスはユーザーによってはお得とは言えないからなのです。

KINTOのメリットである任意保険料で考えた場合、得となるのは、任意保険料が高額になる自動車の所有歴のない、もしくは所有歴が浅いドライバーです。

これらのドライバーであれば、高額な任意保険料を支払わなくて済むことになるため、自動車を所有するよりも費用を抑えることが可能です。

また、事故などが原因で保険料が上がってしまったドライバーも同様のことが言えます。

一方、任意保険料が安く済んでいるドライバーにとっては、この任意保険料込みの価格と言うのは、別段お得とは言えません。

ローンの見積もりも含めて詳細に検討すれば、どちらが得なのかが分かると言う程度の差しかないのです。

自動車の購入と言うのは、ユーザーにとって高額な買い物であり、多くのユーザーが慎重に判断するはずです。

その高額な商品に対し、サブスクリプションのような新しいサービスを利用すると言うのは、消費者にとっては不安のほうが強くなります。

そのうえ、ローンで購入した場合とそれほど差がないのであれば、従来の方法で購入しようと思うユーザーが多くなるのは当然のことです。

また、走行距離の上限が設定されていると言うのも問題の一つです。

これは、車をよく利用するユーザーはKINTOの利用に適さないということになります。

さらに、契約年数の問題もあります。KINTOは、前述のように、3年、5年、7年と契約年数が設定されています。

そのため、短期間で車を乗り換える、また、7年以上の長期間乗り続けるユーザーには、あまり適していないのです。

つまり、KINTOは車に乗り慣れていない、利用頻度が少ないユーザーに適したサービスと言えるのです。

この条件に合うユーザーを考えた場合、適しているのは若年層ユーザーということになります。

この若年層は、自動車を所有することにあまり関心がないと言われていますので、サブスクリプションで自動車を利用するということであれば関心を持つのではないかと思われますが、そうとは言えないのです。

所有することに関心がないということは、利用することにもさほど関心はないのです。

利用頻度も低いわけですから、サブスクリプションで利用するよりも、レンタカーを利用したほうが安く上がります。

そして、さらに若年層が利用しない最大の原因は、月額料金が高いということです。

自動車を利用するのに、月に5万、6万と言った高い金額をかけるのであれば、購入して自身で所有したいと考えるユーザーのほうが多いのです。

これは、若年層でなくても同様であり、毎月高いお金を支払い続けても、最終的に自身のものになるわけではないのですから、ユーザーから支持されるわけがないのです。

まとめ

KINTOは、コストのかかる車をお得に利用できると言うことで、開始前には多くの注目を集めました。

しかし、実際に開始されたサービスは、ユーザーにとってそれほど魅力的なものではなく、1年たった現在でも支持を得ることができずにいます。

特に問題となるのは、月額の料金が高額であるということです。

サブスクにおいて、これほど高額な料金を毎月支払うのであれば、ローンで購入し、自身で所有したほうが良いと考えユーザーが多いのは当然のことです。

購入するよりもお得になるケースもありますが、その対象となるドライバーは限られています。

結局のところ、このKINTOは誰をターゲットとして打ち出されたサービスなのが明確でなく、苦戦して当然と言えるサービス内容なのです。

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