D2Cビジネスは、今や広く普及し、新たなD2Cブランドが続々と誕生しています。
しかし、D2Cブランドが増えるということは、ライバルが増えるということであり、これまでよりも一段と競争が激しくなるということになるのです。
D2Cビジネスが登場したばかりのころであれば、注目されたであろうD2Cブランドでも、これほど競合が増えている中では、注目を集めることすら難しくなるのです。
ましてや、D2Cブランドだけがブランドではありません。
既にブランドは、市場に数えきれないほど存在しているのですから、その中でも存在感を示し、消費者から選ばれるブランドになっていかなくてはならないのです。
そこで今回の記事では、消費者に選ばれるD2Cブランド作る方法について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
現在では、多くのD2Cブランドが独自の世界観を構築し、それを消費者に訴求し、共感を集めることでブランドの価値を高めています。
実際に、価値を高めることに成功し、多くの消費者から選ばれているケースがいくつもあるのです。
しかし、市場にある多くのブランドの中から選ばれるというのは、それほど簡単なことではありません。
成功しているD2Cブランドは、この点において、非常に優れた戦略をとっているのです。
この選ばれるための戦略と言うのは、それぞれに異なりますが、最近になり注目を集めているのが、CEPを用いた戦略です。
このCEPとは、カテゴリーエントリーポイントの略称で、消費者の嗜好や感情とブランドに関する記憶が交わる接点のことを指します。
分かりやすく言うと、消費者が頭の中で考えていることから思い起こされるブランドのヒントのことです。
例えば、消費者が外出先でコーヒーが飲みたいと考えたときに、スターバックスというブランドを思い浮かべた場合、この時、消費者の頭の中では外出先でコーヒーということから、スターバックスをイメージしているわけです。
この外出先のコーヒーとスターバックスの接点がカテゴリーエントリーポイント(CEP)となります。
そして、このCEPに重要となるのが、エボークトセットと言う指標です。
エボークトセットは、日本語では想起集合と呼ばれ、消費者が商品を購入する際に、頭の中で選択してイメージされる複数のブランドのことを表しています。
既に市場には、たくさんのブランドがあり、その中には、消費者に広く認知されているブランドも多く存在しています。
しかし、どれだけ多くの消費者に知られていたとしても、消費者が実際に商品を購入する際に、選択してもらえなければ意味がないのです。
そして、その選ばれるブランドになるための指標がエボークトセットであり、ここに入ることが大切なのです。
このエボークトセットは、複数のブランドから形成されるブランドの集合体とされていましたが、最近になり実際には消費者が思い浮かべるブランドは2つ以下であると考えられるようになっています。
2つ以下ということは、2つもしくは1つということとなり、エボークトセットに入る条件がさらに厳しくなることになります。
確かに、1つの商品からブランドを連想する場合、とっさに思いつくのは1つか2つのブランドです。
時間をかけてよく考えることが可能であれば、他にもブランドを思い浮かべることはできるかもしれませんが、瞬時に思いつくのは多くても2つ程度のことが多いのです。
このことから、エボークトセットに入るためには、そのカテゴリーの中から選ばれる2つにならなければならないことになります。
しかし、何度も述べていますが、市場には多くのブランドが既に存在しており、カテゴリーによっては圧倒的に強いブランドがあるのです。
D2Cブランドという新しいブランドが、これらを押しのけることは非常に難しいことです。
消費者のエボークトセットは、固定されているわけではなく、常に入れ替わるものではありますが、一度その地位についたものを変えると言うのは困難なことなのです。
その地位についたからと言って、そのブランドが何もせずいるわけはなく、その地位を狙うブランドと同様に、様々な施策を行いその地位を守ろうとするのです。
後からきたブランドがその差を縮めることができる可能性はないわけではないですが、非常に低くなってしまうのです。
つまり、メジャーなカテゴリーにおいて、D2Cブランドがエボークトセットに入るのは極めて難しいということになります。
しかし、それに甘んじていては、消費者のエボークトセットに入ることはいつまでたっても不可能ということになってしまいます。
そこで、D2Cブランドのような新たなブランドにとって重要となるのが、新たなCEPを作るという戦略なのです。
メジャーなカテゴリーでは勝負にならないのであれば、少しポイントをずらし、新たなカテゴリーを構築し、そこでエボークトセットに入ることを狙うのです。
例えば、先ほどの外出先でコーヒーを飲むというCEPでは、スタバと言う、そのカテゴリーにおいて圧倒的に強いブランドが存在し、それに追随するブランドも多いわけです。
そこで、ポイントを少しずらし新たなカテゴリーを作るのです。
外出先でコーヒーを飲むというポイントを、外出先でお茶を飲むというように、コーヒーからお茶にポイントをずらすのです。
このように、ポイントを少しずらすだけで、消費者が思い浮かべるブランドは変わってきます。
それを利用するのがD2Cブランドが選ばれるブランドになるための重要な戦略なのです。
D2Cブランドは日々続々と増え続け、市場は拡大化しています。
その中で生き残ることも大変なことですが、ブランドはD2Cだけではなく、それらのブランドとも戦っていかなくてはならないのです。
しかし、既存のブランドは市場での地位を確立していることが多く、圧倒的に強いブランドも存在しています。
それらのブランドに真っ向から勝負を挑んでも勝ち目はありません。
D2Cのような新しいブランドがとるべきなのは、今回説明したCEPを利用した戦略であり、これによって消費者から選ばれることができるのです。