アパレルD2Cは成功事例から学べ!

市場には、様々なビジネスモデルが存在していますが、中でも現在注目を集めているのがD2Cと言うビジネスモデルです。

これは、企業が消費者に直接販売を行うものであり、特にアパレル業界において注目度が高くなっています。

実際に成功しているアパレル企業も存在しますが、誰でも簡単に成功できるわけではありません。

成功している企業には成功の要因があり、それを参考に学んでいくことが大切なのです。

そこで今回の記事では、アパレルD2Cの成功事例について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

アパレルにおけるD2C

D2Cとは、Direct to consumerの略称で、ダイレクトの名前の通り、企業が直接、消費者に商品を販売するビジネスモデルです。

商品の企画から、販売までを仲介業者などを通さずに一貫して行い、基本的に販売は自社ECサイトで行います。

このD2Cは、アメリカで誕生したものですが、近年日本でも広がりを見せており、特にアパレル業界において高い注目を集めています。

D2Cが、アパレル業界において注目を集めている背景には、従来のアパレル業界の仕組みがあります。

アパレル業界は、従来では商品の企画、生産において、委託者のブランドにおいて製品を企画、生産するODM(Original design manufacturing)、委託者のブランドにおいて製品を生産するOEM(OriginalEquipment manufacturing)を広く採用していました。

つまり、自社で商品を生産おらず、一部では商品の企画さえも行っていなかったのです。

そして、さらに、販売においても、基本的には、卸売業者や販売店を通しており、企業から消費者に商品が届くまでの間に、多くの中間業者が存在していたのです。

従来このような仕組みであったため、D2Cの中間業者が入らないと言う仕組みが、他の業界が考えるよりも革新的に映ったのです。

しかし、アパレル業界には、そもそもD2Cに似た仕組みのビジネスモデルも存在しています。

それが、ユニクロを代表とするSPA(Speciality store retailer ofPrivatelabelApparel)と言うビジネスモデルです。

SPAも自社で企画、生産した商品を自社で販売していくビジネスモデルではありますが、SPAでは自社ECだけではなく、自社直営の実店舗でも販売を行います。

この点が、D2Cとの大きな違いとなります。D2Cでも実店舗を持つケースがありますが、これは主に商品の展示、顧客とのコミュニケーションを目的として運営されます。

D2Cの誕生は、日本のアパレル業界に大きなインパクトを与え、実際に多くの企業がD2Cの導入を行っています。

しかし、いち早く導入した企業の中には、上手く収益を上げられずにいる企業も多いようです。

D2Cは、認知やブランディングに時間がかかるケースが多く、それに耐えきれないこともあるようです。

成功事例ばかりが取りざたされているため、安易に導入に踏み切る企業もあるようですが、D2Cは簡単に成功できるようなビジネスモデルではありません。

自社ですべてを一貫して行うと言うのは、聞こえは良いですが、消費者に支持される商品を作り出し、SNSやブログなどを活用しブランディングやマーケティングを行っていくと言うのは容易なことでは無いのです。

成功している企業も、そういった困難を乗り越えてきているのです。

D2Cの導入を検討しているのであれば、まず、成功した事例を参考に、自社がどのようにすれば成功できるのか、事前にしっかりと戦略を立てることが重要となります。

アパレルD2Cの成功事例

参考にすべき成功事例として、挙げられるのが、D2Cアパレルブランドを展開するNeverSayNeverです。

このブランドは、そもそもファストファッションからスタートし、創業当時からECを軸として販売を行ってきました。

SPA型のファストファッションブランドとして楽天市場にて人気を博してきましたが、競合が増加し、価格競争が激化したことから方向を転換し、D2CブランドとしてSTYLEDELIをスタートしたのです。

このSTYLEDELIは、ファストファッションよりも高価格ではありますが、品質が良く、一般的なブランド商品よりも価格が低く設定されているのが特徴です。

また徹底してセールを行わない方針をスタート時より貫いています。

これは、購入した商品が、時間を置かずセールになってしまったときの顧客の心情を考慮したものであり、顧客に価格ではなく、ブランドを選んでもらうことを目的としたものです。

しかし、それを顧客に理解してもらうには、時間がかかり、またセールを行わないため、膨大な在庫を抱えることになりました。

初めから2年間はこのような時期が続きましたが、徐々にブログマーケティングにより認知度が高まり、いくつかのヒット商品が出るようになったのです。

このブログマーケティングでは、ブランドのメッセージを発信しながら、顧客一人一人と直接コミュニケーションを取っていきました。

そして、その顧客とのやり取りの中で、企業がファッションを提案するのではなく、顧客が本当に求めている商品を提案すべきであると言うことに気付き、そこからトレンドを追わず、顧客が求めているファッションを提供するという方向に転換しています。

それが功を奏し、売り上げは飛躍的に伸び、現在ではこのブランドは、30~40代女性に高く支持される人気のブランドとなっています。

この事例の成功の要因は、セールを行わなず、商品価値、ブランドの価値を上げたこと、ブログにより顧客の声を掬い上げ、素早くフィードバックしたこと、そして、長い期間諦めなかったことです。

このブランドの認知度が上がるまでには、2年間と長い時間がかかっています。

場合によっては、諦めてしまうこともありますし、方針がぶれてしまうこともあります。

また、資金面で問題が生じることも考えられます。この2年間を乗り越えことがこのブランドの成功の要因であり、参考にすべき点でもあるのです。

まとめ

D2Cはアパレル業界にとって画期的なビジネスモデルであり、成功事例も多く聞かれます。

しかし、だからと言って、簡単に成功できるわけではないのです。

特に、難しいのがブランディングです。D2Cでは、SNSやブログなどのデジタルを駆使したブランディングを主として行います。

これは時間を必要とするものであり、今回紹介した事例のように2年間かかった例もあります。

この期間をじっと我慢しブランドの価値を高めていくことができれば良いですが、安易に広告運用やセールなど安売りに走り、ブランドを棄損してしまうことも実際にあるのです。

アパレルD2Cにおいて、成功を収めたいのであれば、長い期間かかることを留意し、じっくりとブランドを育てていくことが大切なのです。