近年では、消費者が積極的に購買活動をしなくなり、小売業界全体が低迷していると言われてます。
しかし、そのような状況の中でも、小売業であるD2Cビジネスは順調に成長しており、多くの消費者から支持されているのです。
その理由は、D2Cビジネスが、消費者を起点として商品を作り出しているからなのです。
そこで今回の記事では、顧客の体験から商品を作り出すD2Cブランドについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
現代は、モノが売れない時代と言われています。
従来では、モノの機能的価値が重要視され、品質が良く、機能性の高い商品が評価されていました。
機能が優れていると言うだけで、商品はどんどん売れていたのです。
しかし、現代の消費者は、機能的価値よりも情緒的価値を重要視する傾向が高くなっており、商品の品質が良い、機能が優れていると言うだけでは売れなくなってしまったのです。
これは、良い商品だから売れないということではありません。
現代は、良い商品であることは前提条件となっており、それにさらにプラスした付加価値がなければ、消費者からの支持を得ることはできないのです。
そして、この付加価値を与えることに成功しているのがD2Cビジネスです。
D2Cビジネスでは、これまでのように小売業者や卸業者などの中間業者を介する必要がないため、中間マージンを削減することができます。
これにより、従来であれば高価格で販売されていたような良質な商品を、手ごろな価格で販売することができるのです。
さらに、D2Cビジネスは、この良質な商品をただ売ることだけを目的としていません。
ブランドの世界観やストーリーを構築することでブランドの価値を高め、消費者との接点を多く持つことで、商品を通した良質な体験を提供していくのです。
これらの付加価値により、D2Cビジネスは、多くの消費者から支持されているのです。
小売業であるD2Cビジネスが、この時代に支持されている理由はそれだけではありません。
D2Cビジネスでは、商品の企画、開発、改善と言った商品を作り出す過程においても、消費者の意見や要望を積極的に取り入れているのです。
D2Cビジネスは、消費者との繋がりを重要と考え、あらゆる接点において、消費者と直接コミュニケーションをとっていきます。
この接点とは、SNSだけではありません。
自社ECサイトやブログなどのデジタル、また、実店舗などのリアルな接点を設けているD2Cブランドも多いのです。
これらの接点におけるコミュニケーションにより、消費者の実際の声を聞き、消費者の悩んでいることや必要としているものなど、消費者の心理に隠された本当のニーズを探り出していくのです。
そしてそれらは、素早くフィードバックされ、商品の企画や開発、改善に活用されます。
これを繰り返すことにより、商品は消費者の本当のニーズにより近づいていくのです。
このD2Cビジネスの姿勢は、現代の多くの消費者から支持されています。
現代の消費者は、既に作られ与えられた商品では満足できなくなり、このD2Cビジネスのように、消費者に寄り添い、消費者のニーズに合ったものを作り出してくれることを求めるようになっているのです。
実際に、多くのD2Cブランドが、消費者の声を基にして商品を開発し、高い支持を得ています。
その代表的な事例が、D2Cブランド「Anker」です。Ankerは、2011年に創業したブランドであり、その当時はまだD2Cと言う概念は存在していませんでした。
それにもかかわらず、このブランドは、現在におけるD2Cと同様のモデルを採用したのです。
このブランドが重視したのは、D2Cと同様、消費者の声を商品の開発に活かしていくということです。
D2Cの概念がない状況で、これを実現することができたのは、創業者が全く異なる業界の出身であったということが大きな理由です。
従来の企業やメーカーにとって、消費者を起点とした商品の開発と言うのは、斬新とも、革新的とも言えるほど新しい考え方であり、容易に受け入れられるものではありません。
しかし、他の業界からすれば、どんな商品が売れるかは、消費者に直接聞けば良いと考えるのが自然なことであり、その考えは、斬新でも、革新的でもないのです。
そして、このブランドは、従来の企業やメーカーでは思いつかない新しい考え方で商品を開発し、消費者が本当に求めている商品を作り出したのです。
さらに、その商品を購入した消費者の口コミやレビューによって、ブランドとしての評価を高めていったのです。
このブランドのように、消費者の声を聞き、消費者が本当に求めている商品を作り出すことができれば、モノが売れない時代であっても、多くの消費者から支持されるのです。
つまり、今回説明したように、全てのモノが売れないわけではなく、消費者の視点に立ち、消費者が本当に求めているモノを作り出せば、この時代であってもモノは売れるのです。