D2Cに広がるオフライン広告

D2Cビジネスは、ここ数年で飛躍的に成長し、このコロナ禍においても順調に成長を続けています。

しかし、急激な成長によってブランドが大幅に増えたために、競争も激しくなっているのです。

そのため、これまでD2Cビジネスにおいて基本とされてきた手法が通用しなくなっており、多くのD2Cブランドが新たな施策を試みているのです。

そのような状況の中で、注目されているのがオフライン広告です。

そこで今回の記事では、D2Cで注目されているオフライン広告について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

D2Cブランド増加による弊害

D2Cは、商品を企画、開発する段階から、消費者に販売するまでのすべての工程を自社で内製するビジネスモデルです。

従来の直販モデルと同じように捉えられがちですが、基本的に、マーケティングにはデジタルを活用し、自社ECを販売の軸とすると言う特徴があり、その点において、従来とは大きく異なります。

しかし、D2Cビジネスが成長し、市場が急激に拡大化したことにより、これらの特徴にも変化が見え始めています。

D2Cブランドが短期間で急激に増加したことにより、D2Cの創成期であれば、通用した手法が全く通用しなくなってきているのです。

この中で、特に大きな変化がみられるのがマーケティングです。

これまでのD2Cでは、従来のような広告宣伝を行うのではなく、SNSを利用して、消費者と密にコミュニケーションをとりながら、ブランドのファンを作っていくことが一般的となっていました。

しかし、多くのD2Cブランドが同じようにSNSを利用する中では、存在感を示すことが難しくなっているのです。

このような状況の中で求められているのが、新たなマーケティング手法なのです。

オンラインとオフラインの融合

そして、その新たなマーケティング手法として注目されているのが、オフライン広告です。

これまでのD2CはSNSを軸としていたように、オンラインがビジネスの軸となっていました。

しかし、それだけでは顧客を集めるどころか、ブランドの認知すら危うい状況となったことで、オフラインに手を伸ばすブランドが増えているのです。

オフライン広告とは、言葉の通り、オンラインではない、つまりインターネットを使用しない広告のことを指します。

例えば、4マスと呼ばれる、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディア、看板やポスター、交通広告などがこれに該当します。

これらの広告の大きなメリットは、露出が高いため、不特定多数の消費者に広く訴求できること、また、エリアを限定することで、ターゲティングがしやすくなると言うことです。

近年では、これらの広告は、オンライン広告に押され気味ではありますが、組み合わせて活用することで、さらなる効果が期待されているのです。

このオフライン広告が注目されるようになったのには、新型コロナウイルスの流行が背景にあります。

これにより、EC全体の利用者が大幅に増加し、D2Cブランドもこの恩恵を受け、利用者を増やしています。

特に増えているのが、これまでECをあまり利用していなかった中高年から高齢の世代です。

これらの世代は、若い世代よりも外出を控える傾向が高いため、消費行動が限られてしまっているのです。

そして、それらの世代には、経済的に余裕のある人が多く、その人達の外出を自粛することにより使えなくなったお金がECに流れているのです。

この世代は、コロナをきっかけとしてECを利用するようになったものの、デジタルに対し苦手意識のある人が多く、若い世代のようにSNSを使いこなしているわけではありません。

現在でも、テレビや新聞などのメディアから情報を集めている人が多いのです。

そこで重要視されるようになったのが、オフライン広告なのです。

しかし、テレビや新聞などに大々的に広告を打つのはコストがかかります。

D2Cブランドの多くは、スタートアップ企業であり、それほど広告にコストをかけることはできません。

できる限りコストをかけずに効果を得ることを求めており、その中で注目されているのが、チラシ広告なのです。

幅広い世代を取り込むチラシ広告

チラシ広告とは、言葉の通り、チラシを活用した広告です。

良く知られているのは、新聞に折り込まれたチラシ広告ですが、他にもフリーペーパーへの折り込み、同封同梱広告、ポスティングと言った種類があります。

この中で、D2Cブランドが重要視しているのが、新聞の折り込み広告、同封同梱広告です。

新聞の折り込み広告は、高齢世代の取り込みに最も効果的です。

高齢世代にとって、新聞は最も信頼できるメディアであり、新聞の購読者が減っている現在においても、高齢世代の購読率は高いのです。

そして、新聞に対する信頼が高いため、折り込まれる広告に対しても信頼が高いのです。

また、これは高齢世代に限ったことではありませんが、特定のECサイトを利用し、その際に好意的な印象を持った場合、消費者の多くは、そのECサイトを信頼する傾向があります。

そして、その信頼は、そのECサイトから購入した商品に同梱されているチラシ広告にも及ぶのです。

さらに、この同梱広告は、購入した商品とともに送られてくるため、受け取った消費者がポジティブな気持ちで読んでくれる可能性が高いのです。

商品が届いて喜んでいる時に見てもらうことができれば、そのチラシの商品に対してもポジティブな印象を抱いてもらえるのです。

まとめ

このように、チラシ広告には多くのメリットがあります。

特に、中高年から高齢世代を取り込みたいと思っているブランドにとっては、非常に効果的な施策です。

D2Cは、これまでオンラインを軸としていたため、オフライン広告に関心がないブランドがほとんどです。

しかし、D2Cは今後も成長し、競合は増え続けていきます。

これからのことを考えた場合、集客チャネルをこれまでのようにオンラインだけに限定するのはリスクが大きいのです。

ブランドを成功させたいのであれば、あらゆる手段を利用し、チャネルを増やしていくことが必要となるのです。