Direct to consumer、略してD2Cというビジネスモデルが、アメリカで誕生してから10年近くが経過し、現在では、アメリカのみならず世界中に広く普及し、様々なD2Cブランドがが誕生しています。
日本国内でも、多くのD2Cブランドが誕生しており、中には世界に進出するブランドまで登場しています。
もはや、このD2Cは、現在世界中で最も注目されていると言っても過言ではないビジネスとなっています。
このビジネスがここまで急速に成長することができたのには様々な要因が考えられますが、その中でも、最も大きな要因と言えるのが、このビジネスモデルが消費者の求めるものであったからと言うことです。
そこで今回の記事では、今の時代にD2Cがなぜこれほど求められているのかについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
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現代は、消費者のニーズが多様化しており、消費者一人一人に合わせた商品やサービスが必要だと言われています。
この多様化という言葉は、様々な場面で良く使用されるようになっていますが、言い換えれば、複雑になっているということです。
従来では、ある程度分かりやすくまとまっていたニーズが、種類が大幅に増えたことで複雑になり、分かりにくくなっているのです。
従来、消費者のニーズというのは、企業側が何らかの調査を行うことにより導き出していくものでした。
消費者から実際に意見を聞きとり、その中で多い意見をニーズとして採用していたのです。
その中にも、異なる意見はあったはずですが、それは少数派の意見として切り捨てられてしまい、採用されることはなかったのです。
つまり、従来でも複数のニーズは存在していたのです。
しかし、それらのニーズは、大量に商品を売りたいと考える企業にとっては不要なものとして、無視されたのです。
また、従来では、自身の趣味や嗜好が、あまり一般的ではない場合、それを隠す傾向もありました。
人の目を気にする消費者が多く、恥ずかしいことと捉えられていた向きもあったのです。
しかし、現代は、自身の趣味や嗜好が一般的なものでない場合にも、オープンにする人が多くなっています。
個人を尊重するという考えが強くなっており、趣味や嗜好はそれぞれ異なるのは当然のことであるため、あまり一般的なものではなくても隠す必要はないと考えるようになっているのです。
このような考えが浸透してきていることから、自身の趣味や嗜好、考えを自由に発信することができるようになり、個々のニーズが受け入れられるようになったのです。
つまり、ニーズは多様化したのではなく、もともと個々の消費者が持っていた様々なニーズが、受け入れられる時代となったとも言えるのです。
例えとして、小学生のランドセル問題を挙げると、昔はランドセルというのは、男子が黒色、女子が赤色と決められていました。
これは、厳密に定められていたわけではありませんが、不文律として広く普及しており、なかなか逆らうことはできなかったのです。
中には、黒色が良いと考える女子もいたかもしれませんし、反対に赤色が良いと考える男子や、他の色が良いと考える子もいたと思いますが、それを強く訴えることは困難であったのです。
しかし、時代は流れ、性別によって色が定められることが問題視されるようになっていきます。
そして、徐々にこの不文律は廃れ、現在では、色とりどりのランドセルの中から、自身の気に入った色を選べるようになったのです。
この問題も、もともとそれぞれが好みの色があったはずなのです。
しかし、男子は黒、女子は赤というのが一般的となっている以上、他の色を選択することはできず、そもそも、ランドセル自体黒色か、赤色しか存在しない時代でもあったのです。
このような状況の中で、自身の好みを押し通すことは困難ですし、それを周囲が受け入れてくれることはありません。
しかし、現代では個々の意見を尊重し、それぞれが好みのランドセルを選択することが可能であり、周囲もそれが一般的だと受け入れているのです。
今では、女子が黒色のランドセルを選択することも、男子が赤色のランドセルを選択することも可能ですし、実際に、ランドセル売り場には、多くの種類のランドセルが溢れています。
不分律や多数派の意見に捉われることなく、自身の好みで自由に選択することができるようになったのです。
これが、今盛んに言われている多様化であり、この多様性を尊重する時代となっているのです。
このように、現代では、消費者は自身の趣味や嗜好を自由に発信するようになり、それにより、消費者のニーズは多様化したと言われるようになったのです。
そして、企業側もこの多様化したニーズに合わせていくことが求められるようになっているのです。
そして、多くの企業が、このニーズの多様化に合わせるべく様々な施策を行っていますが、その中で一歩抜きんでているのが、D2Cビジネスなのです。
D2Cビジネスは、従来のような、多数の消費者の意見によって商品を開発していくビジネスではありません。
消費者一人一人と直接コミュニケーションをとり、どのような商品を必要としているか、何を求めているのかといったことを、消費者それぞれから直接聞き出し、それを商品の開発や商品の改善にフィードバックしていくのです。
この消費者一人一人に向き合い、寄り添う姿勢が、D2Cビジネスが消費者の多くに支持されている所以であり、求められている理由なのです。