2000年代後半頃からインターネットとスマートフォンが大きく普及し、D2Cビジネスが急成長していきました。
当初は海外で需要が伸びてきていたものの、今では日本でも続々と導入事例が多くなってきています。
D2Cとは、企業やブランドが自社内で商品の企画と製造を行い、そして消費者の元へ直接商品を届けるという仕組みです。
このような仕組みは、直販型として既にIT企業などでは主流になっていたものの、D2Cビジネスとしては、生活用品やアパレル、化粧品などの実体のある商品を取り扱っているということが大きな特徴でしょう。
D2Cビジネスを展開する場合、さまざまな事例を参考にしてビジネスをスタートさせるかと思いますが、実際D2Cビジネスが多くなってきたからと言っても、すべてが成功しているというわけではありません。
実際に失敗している企業も多いのですが、そこから学ぶことができることも非常に多いのです。
そこで今回は、D2C失敗事例から学ぶ、D2Cビジネスの成功方法について、詳しくお話させていただきたいと思います。
今後D2Cビジネスの展開し、成功させたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
Blue Apronは、2012年にニューヨークで創業した食品D2Cブランドです。
消費者がシェフの料理を再現するように料理をする仕組みであり、高品質な食材が届くD2Cサービスでした。
日々忙しい毎日を送っている中でも、料理を作ることができる環境があれば、誰でも簡単に作れるサービスを提供したのです。
ですが、2019年後半に顧客が大きく減少し、業績の低迷に陥ってしまいました。
Blue Apronの業績が低迷してしまった理由のひとつには、ユーザーのミールキットトレンド離れがあるでしょう。
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外食チェーン店を展開する企業や、調理不要な惣菜デリバリーサービスが食品業界に大きく参入してきて、調理が不要で美味しい食事こそ、トレンドになってしまったのです。
また、それ以降もオンデマンドで調理された料理を、ユーザーに直接届けるトレンドの流れがあり、調理が必須のミールキットの需要はさらに低くなってしまったのです。
飲食物の配達を望む顧客のほとんどは、わざわざ料理をしたいと思ってはいないと考えられるでしょう。
だからこそ、オンデマンドの食品配達の需要が増し、ミールキット市場はどんどん小さくなってしまったのです。
そもそもBlue Apronが考えた「シェフの料理を再現したいけど、材料を揃えることが面倒」と考えた仮定が間違っていたと考えられます。
さらに、ミールキット離れが起きてしまったことは、ユーザーが材料が揃っているか、ということを重視しておらず、ただ単に料理が面倒だと思っていることに重点を置いてなかったことも考えられるでしょう。
Blue Apronと同様の2010年代時期に、ミールキットサービスを提供し始めた企業はいくつかありました。
などの多くの競合他社が参入し、Blue Apronとは異なるサブスクリプションビジネス型の、ミールキットデリバリーサービスを提供し始めたのです。
Blue Apronは高いコストを費やして新規顧客を増やしたものの、Blue Apronの顧客は簡単にサービスを乗り換えることができた、という点も失敗の要因でしょう。
Blue Apron全体のユーザーの約70%は、初回登録から6カ月の間で解約したと言われており、新規顧客を維持することが困難だったことが分かります。
そして、高品質の食材のサプライチェーンは、コストを削減することが難しかったことも要因となっているでしょう。
食材自体は、農場から梱包センターに運ばれ、包装されますが、ほとんどの場合は冷蔵ボックスが必要になり、多種多様な食材を常に適切に正しく管理しなければなりませんので、多くのコストが必要になる、資本集約型の業界です。
これも利益低迷の大きな要因になったことでしょう。
以上、D2C失敗事例から学ぶ、D2Cビジネスの成功方法について、詳しくお話させていただきました。
このように見ると、そもそも食品D2Cビジネスを成功させることが難しいようにも思いますが、Blue Apronは食事を欲しているユーザーの真のニーズと、トレンドの変化に柔軟に対応できなかったことが、D2Cビジネスを失敗させた大きな要因となっていることでしょう。
もちろん、D2Cビジネスは簡単に進めることができるビジネスモデルではありませんが、正しくビジネスの仕組みを理解し、ユーザーニーズをしっかり理解しておくことで十分に成功の可能性があるビジネスです。
ぜひこのような失敗事例も参考に、自社D2Cビジネスを成功させてくださいね。