D2Cビジネスはこのコロナ禍においても大きな影響を受けることはなく順調に成長を続けており、実際に市場には多くのブランドが誕生しています。
しかし同じようなブランドが増えれば、競争が激しくなるが必然であり淘汰されるブランドも出てきてしまうのです。
そのような厳しい状況の中で勝ち抜いていくためには、他のブランドにはない何かが必要となるのです。
そこで今回の記事では、D2Cにおける差別化について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
D2Cは、Direct-to-Comsumerの略称で、ダイレクトの言葉の通り、消費者と直接取り引きをするビジネスモデルです。
企業やメーカーなどの製造者が、自社ECサイトにおいて消費者に直接商品を販売するというのが基本的な仕組みであり、従来のように卸業者や小売店などの中間業者を介する必要がなく、自社ECを販売の軸とするため、実店舗も必要としないという特徴があります。
このビジネスモデルはアメリカで誕生し世界的に普及したもので、日本国内においても2000年後半から普及し始め、現在では多くのD2Cブランドが誕生しています。
このビジネスモデルは近年順調に成長を続けていましたが、新型コロナウイルスの流行による外出自粛の影響により需要が大幅に増え、現在急激に市場が拡大化しています。
この市場の拡大化により新たなブランドが次々と市場に登場していますが、その一方で集客に苦戦しているブランドや撤退するブランドも増加しているのです。
このように市場が大きくなり競合が増えれば、ブランド間の競争は激しくなるのは当然のことであり、そこで差別化できないブランドは淘汰されてしまいます。
そして現在も市場が成長を続けている以上、この競争は今後さらに激しくなると考えられ、それに伴い撤退するブランドも増えていくのです。
このような状況の中でビジネスとして成功し生き残るためには、他のブランドとの明確な違い、つまり差別化が必要となるのです。
この差別化を図るために多くのブランドが考えるのが、商品そのものの差別化です。
もちろん、これまでにない発想で商品を生み出すことができるのであれば、商品そのもので差別化を図ることも可能です。
しかし、日本はそもそもあらゆる商品が豊富に存在している国です。
製造業で発展したこともあり、手ごろな値段で品質の良い商品や魅力的な商品がいくらでも市場に出回っており、消費者はいつでも簡単に欲しい商品を購入することができるのです。
アメリカの場合全体的に日本ほど商品の質は良くないですし、それらの商品を簡単に入手できるわけではありません。
そのためアメリカのD2Cでは、質の良い商品を手ごろな価格で販売することでも消費者の支持を得ることができるのです。
一方日本では、アメリカのように商品の質が良いだけでは消費者の関心を引くことはできません。
市場の商品の種類も豊富であり、消費者のほとんどは既に満たされた状態であるため、商品だけで勝負するのは難しいのです。
では商品のほかに何で差別化を図れば良いのかというと、それがブランドの世界観や体験価値なのです。
商品単体で考えるのではなく、ブランドの世界観や体験価値などを含むブランドビジネス全体で差別化を図ることが重要となるのです。
このブランドビジネス全体というのは、ブランドの世界観はもちろんですが、SNSを利用したマーケティングや自社ECでの購入体験も含まれます。
SNSにおいて消費者とコミュニケーションをとりブランドの世界観に共感してもらい、自社ECで商品を購入する際のサービスに満足してもらい、さらに商品購入後もフォローし続けるという消費者との接点すべてのことを指しているのです。
これらすべての接点において良質な体験を提供することができれば、消費者はそのブランドに好感を持ちブランドのファンとなってくれます。
従来の商品を売るだけのビジネスのように、商品そのものだけを訴求するのでは現代の消費者の関心を引くことはできません。
全ての接点において消費者が満足する体験を提供し、消費者を囲い込むことがD2Cビジネスにおいての差別化であり、必要なことなのです。
D2Cビジネスが盛り上がるのは、このコロナ禍においては喜ばしいことです。
しかしその一方でブランド間の競争が激しくなるために、淘汰されるブランドも増えてしまうのです。
そしてその競争を勝ち抜き成功するためには、商品だけでない差別化が必要となるのです。
D2Cビジネスは、そもそも従来の商品ありきのビジネスが消費者に支持されなくなったために、求められているビジネスです。
商品そのものが魅力的であるのはD2Cビジネスでは大前提であり、それだけでは消費者を惹きつけることはできないのです。
D2Cビジネスを成功させるためには、今回説明したように商品そのものだけではなくあらゆる接点において消費者に良質な体験を提供することが大切となるのです。