2010年代より、アパレル業界や生活用品業界において、D2Cビジネスが徐々に増えています。
D2Cとは、Direct to Consumerの頭文字を取った略称であり、メーカーやブランドが消費者に直接商品を販売する仕組みです。
従来までであれば、メーカーやブランドは実店舗を持ち、来店されたお客様に対して商品を販売するか、販売店舗を獲得し、流通業者を開始て商品を卸し、自社以外のチャネルにて商品販売を行っていました。
ですがD2Cでは、自社内で企画し、生産した商品を自社ECチャネルを用いて顧客に直接商品を販売しますので、従来までの販売方法とは大きく異なっています。
継続的にD2Cビジネスを成長させていくためには「配送コスト」という課題を避けては通れません。
今、D2C市場をはじめ、EC市場の需要が高まっており、配送体制が追いついていないということがあります。
そこで今回は、D2Cビジネスにある配送体制の課題について、詳しくお話させていただきたいと思います。
効率良くD2Cビジネスを進めるためにも、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
配送業界は、EC市場の拡大と人員不足の問題により、日本の配送業者大手3社であるヤマト運輸、佐川急便、日本郵便をはじめ、多くの配送業者が一斉に送料の値上げを実施しました。
これは社会インフラ的な問題でもありますので、D2Cビジネスにも大きな影響を及ぼしました。
EC市場と需要が広がる一方で、ECサイトで売れた商品を運び手が不足してしまい、深刻な社会問題となっています。
このバランスが崩れてしまうと、物流問題がネックになり、市場の需要を補うことができなくなってしまう可能性があるのです。
配送コストが値上げされることは、全EC事業者にとっても非常に大きな課題ですよね。
配送を担っている企業やスタッフの負担が増えてしまうと、今まで当然のように行っていた「翌日発送」などの対応を行うことが難しくなってしまうでしょう。
D2Cビジネスを順調に進め、売り上げを増やすことができていたとしても、物流コストの増加により、結果的に赤字を計上してしまう、ということが多くなりました。
赤字の要因は、配送コストの上昇だけでなく、物流ネットワークがうまく稼働できなくなってしまい、機会損失になってしまったことも要因の一つでしょう。
配送コスト高騰などの外的要因に関しては、自社だけの努力だけでは根本的な解決には繋がりません。
ですが、配送コストが増えた分を商品価格に上乗せしてしまうと、顧客離れが起きてしまう可能性が高いですよね。
そこで出来る取り組みとしては、「荷造発送費率」を下げる見直しです。
荷造発送費とは、荷造と発送にかかるコストを処理するための経理上の勘定科目のことであり、業務フローを洗いなおしてこの荷造発送比率を下げることができるか、ということを確認します。
たとえば物流工程が「仕入れ」「保管」「加工」「荷造」「発送」の4つの分類されるとすると、もう一度それらすべての工程の見直しを行い、一から業務のあり方を再検討する必要があるのです。
具体的には、倉庫に管理システムを導入したり、過剰在庫を減らすために在庫量の適正化を図り、商品保管費の削減、複数の倉庫間で商品移動が起きないように商品配置を見直し、倉庫内の商品保管の適正配置を検討し、商品保管効率向上を目指すこと、梱包材の原価率を引き下げ、出来る限りコンパクトな梱包形状にして発送料自体を削減すること、取り扱う商品構成の見直しを図り、利益率の高い新商品や新ジャンルを選定し、商品仕入れ先の再選択と集中化を行います。
細かいことではありますが、これらを徹底して行うことで配送コストの高騰によって生じてしまった減益をカバーすることができます。
業務の見直しを行うことで、配送料を値上げしたり、商品そのものの価格を上げることを考えますが、これを実施すると顧客からのクレームにも繋がってしまいます。
そして、同業者の動向を気にすることは大切なのですが、このやせ我慢にいつまでも付き合う必要はないのです。
どのブランドも、いずれは配送料の値上げを行わなければならない状態になっていますので、それよりも早く仕入れや保管、加工、梱包などの工程を見直し、合理化を図るべきなのです。
もしそれで顧客離れが起きてしまったとしても、離れた顧客を重視するのではなく、残った顧客にいかにフォローすることができるかを考え、より付加価値の高いサービスを生み出し、リピート率を上げる施策を実行していきましょう。
以上、D2Cビジネスにある配送体制の課題についてお話させていただきました。
ECの需要拡大に伴い配送コストの値上げは、社会問題を背景としているので、すぐに解決することができるものではないのですが、D2Cビジネスを行う上ではこの課題は避けて通ることはできません。
いざと言うときのために、ぜひ今からしっかり対策を行ってくださいね。