D2Cブランド「Harry’s」から考える、世界観を作ることの重要性

今、国内外で「D2C」ビジネスの需要が高まってきています。

ブランドやメーカー、企業が自ら商品の企画や製造を行い、その商品を自社独自の販売チャネルで、顧客に直接商品を販売するビジネスモデルです。

このビジネスモデルは従来までも存在していたのですが、今はアパレル業界や美容業界を中心にD2Cビジネスの展開が多くなってきているのです。

どんどんD2C市場が大きくなっていく中で、自社もぜひD2Cの導入を、と検討されている方も多いでしょう。

D2Cビジネスを始めるうえで、まずは代表的な成功事例を参考にされるかと思いますが、その際有名なカミソリのD2Cブランド「Dollar Shave Club」を思う方が多いでしょう。

ですが忘れてはならないのが、Dollar Shave Clubと同じくらい成長を遂げている「Harry’s」です。

「カミソリ」という同じ分野であっても、顧客に対しそれぞれ異なるアプローチをしているからこそ、学ぶべきことが多くあるのです。

そこで今回は、D2Cブランド「Harry’s」から考える、世界観を作ることの重要性についてお話させていただきたいと思います。

今後D2Cビジネスを展開し、成功させたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

Harry’sとDollar Shave Clubの初動

Dollar Shave Clubは2011年1月に創業し、Harry’sはその後を追うように2012年の7月にビジネスをスタートさせました。

両社まず違うアプローチ方法は、Dollar Shave Clubの場合業界を支配するほどの巨大企業であり、自社アイデンティティを伝える動画をメインとし、注目を集めました。

この動画のインパクトがかなり強く、制作費用が数十万かかったことに対し、たった2日で定期購入の契約者が12,000人を超えたのです。

そしてHarry’sの場合はDollar Shave Clubのようなアプローチ方法ではなく、まず販売価格を高めに設定し、商品原価にコストをかけ、さらによりブランディングを強化したのです。

D2Cビジネスにおいてブランディングは非常に重要です。

モノが不足している時代と現代を比較すると、課題解決型の訴求や機能面の訴求は、なかなかユーザーに振り向いてもらうことができませんよね。

だからこそ、課題解決以外に、消費者に対して「買う意味を作る」ことが重要なのです。

世界観に最重要視し、魅力的な世界観を作ることこそ、顧客体験を向上させ、Harry’sの存在を確立させたのです。

Harry’sの世界観

Dollar Shave Clubの場合「モノが良い、安い」という単純で分かりやすいメッセージを訴求しているのですが、それでも顧客にHarry’sを選んでもらおうと思う場合には、より顧客を納得させることが必要でしょう。

つまりユーザー自身が、「Harry’sは高いけど、Dollar Shave Clubよりも好き、なぜなら〇〇」というように、この〇〇に当てはまるような良い体験を提供しなければならないのです。

ここで世界観を作るためのブランディングの力が重要になるのですが、Dollar Shave Clubを好んでいないユーザーの支持を狙います。

Harry’sのかっこいい大人の洗練された世界観は、Dollar Shave Clubの影響の元作られたのでしょう。

世界観の作り方の違い

Dollar Shave Clubの場合、顧客とのリアルなタッチポイントとして自動販売機を設置していますが、Harry’sはニューヨークに店舗を展開しています。

その場では、Harry’sの商品が手に入ることはもちろん、散髪や髭剃りも行うことができるのです。

効率的に顧客とのタッチポイントを作ることを目的とするのであれば、Dollar Shave Clubの場合の自動販売機は理に適っています。

ですが、Harry’sは顧客に世界観を体験してほしいことを目的としているので、店舗の展開は最適な選択肢でしょう。

Harry’sはカミソリだけでなく男性としてのファッションなどの世界観を空間で表現し、これこそDollar Shave Clubとのアプローチ方法の大きな違いなのです。

まとめ

以上、D2Cブランド「Harry’s」から考える、世界観を作ることの重要性についてお話させていただきました。

従来のD2Cブランドでは成すことができなかったシックで洗練された世界観を作りこめたのは、やはりHarry’sの戦略勝ちと言えるでしょう。

カミソリ業界、そしてD2C市場でも賛辞を集めるには十分なものではないでしょうか。

これからD2Cビジネスの展開を検討されている方は、ぜひこのような事例を参考にしてみてくださいね。