D2Cは、アメリカで大成功を収めたビジネスモデルであり、日本でも高い注目を集めています。
しかし、アメリカで成功しているからと言って、日本の企業がすぐに成功できると言うわけではありません。
日本企業には、D2Cにおいて最も重要となるWEBマーケティングに大きな課題があり、その点をクリアできなければ成功を収めることは容易ではないのです。
そこで今回の記事では、D2C参入前に知っておくべき注意点について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
D2Cとは、Direct to consumerの略称で、企業が仲介業者などを挟むことなく、自社で商品の企画から販売までを一貫して行うビジネスモデルです。
2010年頃に、アメリカのスタートアップ企業が生み出したものであり、日本においても現在最も注目を集めているビジネスモデルとなっています。
このD2Cが成功を収めたのは、SNSが幅広く普及し、企業が広告などの手段を使わずとも、多くのユーザーと直接コミュニケーションをとれるようになったことが大きな要因とされています。
すなわち、実店舗を持たなくても、SNSを活用することで、ユーザーに直接商品やブランドを訴求することが可能となったことで、D2Cが広く受け入れられるようになったのです。
アメリカでのD2Cは、その時点での最先端となる商品を扱い、ユーザーの熱狂的な支持を集め、多くの投資をしてもらうことで成立するため、大規模なビジネスとなります。
しかし、これをそのまま日本で行うと言うのは簡単なことではありません。
潤沢な予算のある名の知れた大企業であれば可能かもしれませんが、知名度のない中小企業では問題が多く、成功する確率は低くなります。
なぜならば、D2Cは自社内で企画から販売までを一貫して行わなくてはならないため、そのすべてに対し豊富な知識やノウハウが必要になるからです。
つまり、ユーザーから高い支持を得ることができるような商品を開発、製造し、自社でECサイトを構築し、SNSを活用したマーケティング、ブランディングを行い、最終的に商品をユーザーに確実に届けなくてはならないわけです。
これらは、それぞれ専門的な知識を必要とするものであり、それまでの経験も重要となります。
そのすべてを揃えるということは容易なことではなく、小さな企業では困難ともいえるのです。
また、この中でも、D2Cにおいて特に重要とされているのが、WEBマーケティングの専門的な知識や経験です。
D2Cでは、自社ECでの販売が主となり、マーケティングにおいては、InstaglamやFacebookなどのSNSを効果的に活用していかなくてはなりません。
広告運用などに頼らないため、マーケティングコストを削減することは可能ですが、SNSを効果的に活用するためには、WEBマーケティングの豊富な知識と経験が必要となるのです。
マーケティングにおいて、SNSで有効な見込み客を集客する手法やブログなどを利用した集客は、難易度が高く、特に知識や経験が必要とされています。
そして、D2Cは、これをマーケティングの軸として展開していくビジネスモデルであるため、D2Cを成功させるためには、WEBマーケティングの高いスキルを持った人材が必要なのです。
また、D2Cを成功させるためには、自社の商品の商品力も必要となります。
この商品力とはつまり、商品自体にどれだけユーザーを惹きつける魅力があるかということです。
いくらマーケティングやブランディングを行っても、商品そのものに魅力がなければ、ユーザーからの支持を得ることはできません。
D2Cで成功を収めている企業は、ただ単にマーケティングで成功しただけではなく、商品そのものにも魅力があるのです。
D2Cは、Direct to consumerと言う名前の通り、ECにおいて消費者に直接商品を販売するビジネスであり、そこには、営業担当者や販売員などは介在することはありません。
従って、消費者に商品を購入してもらうためには、商品そのものに強い魅力、つまり商品力がなければいけないのです。
これは、反対から考えると、圧倒的な魅力のある商品であれば、何もしなくてもユーザーがそれを発見し、SNSを利用して広く拡散してくれると言うことです。
SNSが強い影響力を持つ現代では、商品力のある商品と言うのは、その商品が存在すること自体がマーケティングとなり得るのです。
それほど、商品力と言うのは重要なものであり、D2Cで成功するためには、商品の企画段階から、そのことを意識していかなくてはならないのです。
また、D2Cにはブランド力も必要になります。
D2Cは前述のように、SNSを活用したマーケティングを主として行うため、マーケティングの難易度が高くなります。
SNSや自社ECにおいて、自由なブランディングが可能とはなりますが、その前に、まずブランドを広く認知してもらわなくてはならないのです。
従来であれば、認知度の向上のためには、多くは広告を活用していましたが、広告は一時的に認知度を向上させることはできますが、D2Cの目的であるブランディングには不向きであり、ユーザーをブランドのファン化することはできません。
そもそも広告とは、コンバージョンに繋げることが目的であり、D2Cとはそぐわないものなのです。
しかし、D2Cを成功させるためには、ブランド力が必要であり、ブランド力を高めるためには、まず、ブランドを認知してもらわなくてはならないのです。
そこで、重要となるのが、先ほど同様のWEBマーケティングの高いスキルです。
ブランド力のない企業が、成功するためには、SNSの効果を最大限に引き出すことのできるスキルが必要なのです。
D2Cは、現在最も注目されているビジネスモデルであり、アメリカでの成功事例から、日本でも多くの企業がD2Cに強い関心を持っています。
しかし、アメリカでD2Cを成功させているのは、ほとんどがスタートアップ企業であり、商品の企画からWEBマーケティングまで全てを自由に行える体制にあります。
制約の多い日本の企業がこれを真似ると言うのは、容易なことではないのです。
特に問題となるのは、日本では商品の企画、開発と、マーケティングは分けて考えることが一般的であることです。
D2Cでは、それぞれが独立していては成功することはできません。
日本でD2Cを成功させるためには、まず、商品の開発からWEBマーケティングまでを一貫して行える体制を整えることが必要となるのです。