企業と顧客が新しい関係性を作っていると言われている「D2C」ビジネスモデル。
今では海外だけでなく、日本でも注目されており、D2Cの導入事例がどんどん多くなってきました。
D2Cとは、Direct to Consumerの頭文字を取った略称であり、ブランドやメーカーが自ら商品の企画や製造を行い、自社独自の販売チャネルを通して顧客に直接商品を販売する仕組みです。
自社内ですべてを担うこと、自由度が高く柔軟に変化しやすいこと、顧客からのフィードバックを得やすい環境にあり、PDCAを素早く回すことができることがポイントでしょう。
また、コロナ禍によってEC市場に追い風が吹いたことも、D2Cビジネスを成長させたきっかけになっているのですが、その一方で「出荷件数の増加」に伴い、物流がスムーズに進んでいないことが課題として挙げられ、非効率なロジスティクスが、ビジネスの成長のボトルネックになっているのです。
そこで今回は、D2Cビジネスで物流をスムーズに進める体制について、詳しくお話させていただきたいと思います。
今まさにD2Cビジネスでの物流に課題を持たれている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
Contents
そもそも、物流管理者の役割は、企業の利益を増やすための仕組みを作ることです。
物流管理者は業務をスムーズに進めるため、トレンドの変化に柔軟に対応することが求められるでしょう。
また、倉庫内業務を仕組み化するには、定性情報のアップデートと、定量情報でのレポーティング、物流KPIによる把握と改善が重要なポイントになります。
EC物流の課題の一つに、倉庫業務がブラックボックスとなってしまい、商品部やマーケティング部で「誰が何を管理しているか」ということが把握できなくなってしまうことがあります。
物流業務がブラックボックス化する要因としては、販売チャネルごとに責任者が異なり縦割り組織になっていること、実店舗とECで商品管理方法が異なることなど、組織体制に問題がある場合が多いのです。
倉庫内業務を「入庫」「保管」「出庫」「棚卸」という4つの機能に分け、それぞれに担当者をつけると、誰がどの業務を管理しているかを把握しやすく、ブラックボックス化を防ぐことができるのです。
アパレルブランドでは、実店舗とD2Cを合わせて行い、その結果EC出荷数の増加し、実店舗販売スタッフを物流倉庫に配置転換するなどの対応を行っていたのですが、倉庫内業務のオペレーションが混乱し、誤出荷が発生し、物流コストが増加したことも課題になったのです。
この物流の課題を改善させるために、物流の課題をしっかり洗い出すためのヒアリングを行い、一から課題を整理して、解決策の方向性を決定しました。
そして物流倉庫で「設備」「業務」「システム」の3つの軸を考え、倉庫内業務の定性かと定量化を行い、課題解決へと繋げていったのです。
一つ目の対策は、倉庫内の設備の位置を可視化することです。
機材が置かれている場所やピッキングルートなどを加筆し、レイアウト図を修正していきましょう。
荷物が入ってくる動線と、荷物が出ていく動線、そして荷物の動きを目で見る状態にすることで、倉庫業務に慣れていないスタッフでもピッキング作業を行うことができるようになりました。
二つ目の対策としては、物流倉庫における業務フローをビジュアル化することでしょう。
業務の一連の流れをフローチャートで記載し、さらに業務ごとに分けてマニュアルを作成することで、現状と次に行うべき作業を明確に把握することができますし、イレギュラー業務の優先順位を付けることができるようになるでしょう。
三つ目の施策は、データを活用し倉庫内のKPIを設定することです。
「荷役費」「総生産性」「保管効率」「棚卸差異率」などの数値を毎日計算し、数値の推移を見ることで、生産性の変化を把握することができますので、業務改善や生産性向上に繋げることができるのです。
業務の定性化と定量化を行い、KPIを設定することで、物流の現状把握を行いやすくなるでしょう。
またさらに物流KPIを社内で共有することで、倉庫スタッフと他部署スタッフがコミュニケーションを取りやすくなるのです。
以上、D2Cビジネスでの物流をスムーズに進める体制について、詳しくお話させて頂きました。
スタートアップとしてD2Cビジネスを行うブランドが多くなっている今、物流に関しては課題を抱えてしまうブランドも多いことでしょう。
今回お話したポイントは、ECビジネスの物流の課題改善には非常に役に立つ考え方なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。