近年は、デジタル化やペーパーレス化の加速により、デジタルを活用したマーケティングが主流となっています。
しかし、最近になり、従来重用されていた紙媒体の広告が再度注目されるようになっているのです。
その中で、現在最も注目を集めているのがパーソナライズDMです。
このパーソナライズDMは、デジタルマーケティングを主とするD2Cビジネスにおいても導入するブランドが増えているのです。
そこで今回の記事では、D2Cでも活用されるパーソナライズDMについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
Contents
パーソナライズDMとは、顧客一人一人のニーズや属性、趣味、嗜好などに合わせて内容や発送のタイミングをカスタマイズして送るダイレクトメールのことを指します。
従来のDMは、全ての顧客に対し同じ内容、同じタイミングで一斉に発送するのが一般的でしたが、現在では、あらゆるビジネスにおいてパーソナライズの動きが加速しており、DMにおいてもパーソナライズ化する企業が増えてきているのです。
パーソナライズDMは、内容や発送のタイミングを顧客に合わせてカスタマイズするために、顧客の個人情報や購買履歴、行動履歴と言ったデジタルデータを活用します。
このデータにより、その顧客に最も適した内容のダイレクトメールを最適なタイミングで発送することが可能となるのです。
紙のDMはデジタル化の波に押され、一時的に利用する企業が減っていましたが、ここへ来て紙媒体の広告全体が再注目されており、それに伴い、紙媒体の一つであるDMも注目を集めているのです。
DMのような紙媒体が、この時代に注目されるのは、直接顧客の手元に届くものであり、手元に残るものであるからです。
現在は、デジタル化に伴い、メールでのマーケティングが主流となっていますが、企業からのメールは、他のメールの中に埋もれてしまう可能性が高いのです。
現代はあらゆる情報がメールで届けられるため、顧客が一日に受け取るメールの量は膨大なものとなります。
顧客はその膨大なメールを全て開封して確認することはありません。
自身に必要なメールだけを開封するため、企業からのメールは開封すらされないことも多く、メールが届いていることに気付かないことも良くあることなのです。
これと同様に、LINEやTwitterなどのSNSの通知も無視されてしまうことが多いのです。
いくらメールを送っても、開封すらしてもらえないのであれば、効果を得られることはありませんし、送る意味すらありません。
これに対し、紙のDMは必ず顧客の手元に届けられ、顧客の目に触れるものです。
例えすぐに読んでもらえなかったとしても、手元に残るため、読んでもらえる可能性は高く、家族や友人などに回る可能性もあるのです。
そして、この紙媒体のDMの利点と、デジタルデータを活用できると言うデジタルの利点、双方の利点を最大限に活かせるのがパーソナライズDMなのです。
現在では、D2CブランドなどECを運営する多くの企業がこのパーソナライズDMを導入しています。
その多くが、何らかの効果を得ることに成功しており、中には、コンバージョン率が20%も向上したケースも存在しています。
そのケースと言うのが、通販大手のディノス・セシールが取り組んだパーソナライズDMの施策です。
そして、その施策と言うのが、カゴ落ちDMと呼ばれる施策なのです。
カゴ落ちとは、カートの中に商品が残っている状態で顧客が離脱してしまう事象を指しており、このカゴ落ちの多さに頭を悩ましている企業も多いのです。
ディノス・セシールでは、このカゴ落ちをした顧客を再度取り込むために、カゴ落ちしてから最短で24時間以内と言う短時間で、顧客それぞれに最適化した内容のDMを発送すると言う施策を実施したのです。
このDMの内容は、顧客データやカゴ落ちした際のカート内の商品の情報などを反映させています。
この施策により、ディノス・セシールは、カゴ落ちDMを受け取った顧客のコンバージョン率をそれ以外の顧客と比較して20%程向上させることに成功したのです。
現在ECでは、カゴ落ちと呼ばれる顧客の離脱が大きな問題となっており、これはECを販売の軸とするD2Cにおいても同様に問題となっているのです。
カゴ落ちする顧客は、ブランドに関心を持ち、ECサイトを自ら訪れ、商品をカートに入れているわけです。
つまり、一般のユーザーよりもコンバージョンに至る可能性が高く、離脱したまま逃がしてしまうのは、大きな機会損失となります。
そのため、ほとんどのブランドがこのカゴ落ちした顧客を取り込むため、様々な施策を行っています。
しかし、実際に、成果を得られているケースは少なく、前述のディノス・セシールのように、コンバージョン率を向上させることに成功しているケースは稀な事例なのです。
この事例の成功の要因は、紙媒体であるDMとECをうまく連携させたことにあります。双方の利点を最大限に活かすことで、大きな成果を得ることができたのです。
スマートフォンが広く普及したことにより、デジタル化が急速に進み、その波は広告や宣伝活動にも及んでいます。
多くの企業やブランドが、デジタルを活用した宣伝活動を行っているのです。
しかし、その流れの中で、最近になって紙媒体の広告の存在が見直されているのです。
そして、その代表的なものが今回説明したパーソナライズDMです。
DMは、以前から重用されてきた手法ではありますが、現在ではデジタルと融合させることで、この手法をさらに進化させています。
これにより、紙媒体の利点とデジタルの利点双方が活かされる手法と生まれ変わったのです。