小売業界が注目するRaaSとD2Cの関係性

近年小売業界は、業績の低下に頭を悩ませていましたが、最近になり、新たなビジネスモデルの誕生に業界全体が浮きたっています。

そのビジネスモデルと言うのが、Raas(ラース)です。このRaasは、消費者に対しての小売りではなく、企業が企業に対しサービスを小売する形態のビジネスモデルであり、特に注目すべきであるのが、D2Cビジネスとの相性が良いと考えられている点なのです。

そこで今回の記事では、RaaSとD2Cの関係性について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

Raasとは何か?

Raas(ラース)とは、Retail asaServiceの略称で、小売りのサービス化と言う意味を持ちます。

これは、小売企業がこれまでに蓄積してきた顧客データやノウハウとIT企業が持つデジタル技術を活用して、他の企業へサービスを提供していくと言う新たな取り組みのことを表しています。

最先端のデジタル技術と、小売業界が持っている膨大な顧客データを合わせることにより、これまでにない顧客体験を生み出そうと言うのがこの取り組みの狙いです。

このRaasは、小売業のビジネスモデルではありますが、一般の顧客に対してサービスを提供するのではありません。

小売企業が、企業を相手としてサービスを小売していくビジネスであり、企業を相手とすることで、新たな収益を見出していくと言うのが、このビジネスの大きな目的となります。

このビジネスモデルは、近年、様々な企業の間で注目を集めており、続々と導入する企業が増えているのです。

このビジネスモデルが、注目されている背景には、消費者のニーズがモノからコトへ大きく変化していることがあります。

これに伴い、消費者にサービスを提供する企業側にも変化が求められ、モノだけでなく付加価値を創造していくことが求められるようになっているのです。

そして、その企業側が求められている付加価値の創造を手助けするのが、このRaasなのです。

Raasであれば、データとテクノロジーを活用し、消費者が求めるサービスを提供していくことが可能となるのです。

従来の小売りでは、店舗の設計やシステム、運営に至るまで、店舗に関わることは全て自社で担う必要があり、システムにおいては、独自のシステムを外注し、開発してもらうと言うのが一般的でした。

一方で、Raasのサービスでは、店舗運営に関わるノウハウや蓄積されたデータをIT企業と共有することで、精度の高いデータ分析が可能となり、IT企業の持つ最先端の技術により、より付加価値の高いサービスを作り出すことができるのです。

具体的に、このRaasが提供する範囲は特に定められてはいません。

小売業者が持っているシステムを提供することもありますし、小売業に必要な業務全体をサービスとして提供することもあるのです。

D2CとRaasの関係

Raasには、上記のような特徴があり、現在、多くのビジネスにおいて注目を集め、導入する企業も増えてきています。

その中でも、特にRaasに注目しているのが、D2Cビジネスです。

既存企業の独自のノウハウやデータを提供するRaasは、D2Cビジネスに多くのメリットがあるのです。

D2Cビジネスは、これまでのように中間業者を介することなく、自社で商品の開発から販売までを担い、自社ECを構築し、消費者に直接販売していく形態のビジネスモデルです。

自社ECやSNSなどのデジタルを活用して、顧客を集めていく必要があり、マーケティングにも高いスキルが必要と言われています。

しかし、D2Cビジネスは、スタートアップ企業がブランドを立ち上げるケースが多く、ノウハウや人材の不足で頭を悩ませている企業が多いのです。

さらに、現在ではEC市場が急激に成長し、D2C市場もそれに伴い、急速に拡大化しています。

その中で、スキルを持った人材を確保することはさらに困難となっているのです。

また、D2Cビジネスでは、自社ECを販売の軸としているため、基本的には実店舗を持つ必要がありませんが、競合が増えているために、新たな顧客接点を求めて、実店舗を出店するブランドも増えています。

D2Cビジネスの場合、実店舗はあくまでも顧客との接点であるケースが多いですが、この実店舗の運営においても、多くのD2C企業には経験がないのです。

これらの問題はD2Cビジネスにおいて重大な問題となっていましたが、Raasが登場したことにより、これらをすべて解決することができるようになったのです。

Raasを導入し、経験豊富な既存の小売企業のノウハウやスキル、データを活用することができれば、多くの伸び悩んでいるD2Cブランドが飛躍することが可能となるのです。

まとめ

現代は、モノが売れない時代と言われ、小売業界全体の低迷が続いていました。

その中で、大きな話題となっているのが、今回説明したRaaSの誕生なのです。

そして、このRaasが最も注目されているのが、D2Cビジネスなのです。

RaaSの特徴は、現在D2Cビジネスで問題となっている点を解決するものであり、この2つが融合することで、伸び悩んでいるD2Cビジネスの起爆剤となるのではないかと考えられているのです。