小売業界がD2Cを必要とする理由

小売業界とは、コンビニやスーパーなどの生活に密着したものから、自動車やアパレルなど専門的なものまで、モノを売るビジネスがすべて含まれる範囲の広い業界です。

扱う商品は多岐に渡りますが、業界全体として、以前よりも売り上げが落ちていると言われています。

その小売業界の中で、現在関心を集めているのがD2Cビジネスです。

このD2Cビジネスも、モノを販売するビジネスであり、従来で言うところの小売業に当たります。

しかし、従来の小売業とは異なり、順調に業績を伸ばしているブランドも多く、その点において小売業界が高い関心を示しているのです。

そこで今回の記事では、小売業界がD2Cを必要とする理由について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

小売業の現状

小売業とは、消費者にモノを販売すると言う日常生活には欠かせない役割を担っているビジネスです。

身近なところでは、コンビニやスーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、デパートなどが代表的な小売業です。

また、家電専門店、カーディーラー、アパレルショップなどの専門の商品に特化した場合でも、モノを販売するビジネスであれば小売業となります。

この業界が扱うジャンルはこのように多岐に渡りますが、全体として言えるのが、近年伸び悩みが続いているということです。

そもそも、現代は、モノが売れない時代と言われており、小売業界全体が以前から低迷を続けているのです。

コンビニやドラッグストアなどの、生活に密着した小売業はその中では比較的堅調ではありますが、アパレルなどの専門の小売業は年々業績が低下している状況となっています。

その理由は様々ですが、中でも大きな理由が、現在の消費の中心となる世代が消費に積極的ではないということ、また、少子高齢化により、消費活動の中心となる世代の人口が減少していると言うことです。

つまり、今の時代の消費者はその数自体が少ないうえに、あまりモノを買わなくなっていると言うことなのです、

なぜモノが売れないのか?

しかし、これらの世代が、全くモノを買わないと言うわけではありませんし、常に積極的に消費をしないと言うわけでもないのです。

この世代は、モノが溢れる時代に育ち、簡単にモノを手に入れることができたために、既に十分満たされています。

また、日本は、モノの品質が全体的に高く、機能面で優れたモノが多いため、機能的な価値にも関心が低い傾向があるのです。

このような特徴を持つために、この世代はこれまでと比べると消費にあまり積極的ではないと言われていますが、この世代でも興味をひかれた商品であれば積極的に購入することもあるのです。

そして、この世代の関心を引くことができるモノと言うのが、情緒的な価値のあるモノなのです。

この情緒的な価値と言うのは、商品を購入したり、サービスを利用したりした際に、体験できる精神的な面での価値のことを指します。

その商品を購入することで生活が便利になる、そのサービスを利用することで良い気分になると言った側面から図ることができるのが情緒的な価値です。

つまり、現在消費の中心となる世代は、モノ自体の価値だけではなく、そのモノに付随してくる付加価値を重要と考え、求めるようになっているのです。

小売業がD2Cを必要とする理由

モノを売るビジネスである小売業は、この消費者の変化に対応していかなくてはならないのです。

モノを買ってくれる消費者の考えが大きく変わっているわけですから、モノを売る小売業界も考えを変えていかなくては、モノが売れるわけはないのです。

そして、このような状況の中で、小売業界が注目しているのが、D2Cビジネスです。

D2Cビジネスは、商品を企画する段階から販売に至るまでのすべての工程を、自社で内製する仕組みのビジネスモデルです。

デジタルを最大限に活用すると言う特徴があり、SNSを軸としてマーケティングを行い、主に自社ECサイトで販売を行います。

このビジネスが注目される理由は、この仕組みではありません。

ビジネスにおいて、何に重きを置いているかに注目が集まっているのです。

従来の小売業は、モノを売ることを目的としています。

一方、D2Cビジネスは、小売業でありながら、モノを売ることではなく、顧客と繋がることを重要と考えるのです

SNSなどの接点において、顧客と密接に繋がりを持ち、その顧客が求める良質な体験を提供することにより、ブランドのファンとなってもらうことがD2Cにとって重要なことなのです。

そして、これを継続していくことが、結果として、売り上げに繋がり、さらにはリピーターを増やすことにも繋がっていくと考えるのです。

そして、このD2Cが重要視する顧客とのつながりこそが、現代の消費者が求めている付加価値であり、この点に小売業界の注目が集まっているのです。

まとめ

小売業界がD2Cビジネスに注目するのは、消費者が求めているものを提供できるのがD2Cであるからなのです。

そのため、既存の小売業の多くが、D2Cビジネスへ転換を図っています。

しかし、長らく培われてきた概念を切り替えると言うのは難しいことであり、簡単に新しい概念を受け入れることができないケースも多く見受けられるのです。

小売業界が低迷している以上、新しいビジネスモデルを取り入れていかなくてはならないのは仕方のないことです。

消費者の変化に合わせていくことができなければ、小売業界は今後さらに低迷することに成り兼ねませんし、それを避けるためには、D2Cビジネスのような新たなビジネスモデルを受け入れ、消費者が求めているモノを提供するしか方法がないのです。