D2Cビジネスで正しく攻めるため、理解すべき法律のリスクマネジメント

ここ数年、消費者形態が変化する中で現れ、トレンドワードになっている「D2C」ビジネスモデル。

コト付きのモノ消費とも呼ばれており、世界観を構築するブランドが非常に多く取り入れている手法でしょう。

Direct to Consumerの頭文字を取った略称であり、企業やブランド自らが生産した商品を、広告代理店や小売店などを介すことなく、消費者と直接取引を行うビジネスモデルです。

特にアパレル業界や美容業界から注目を集めており、続々と導入事例が多くなってきているのです。

美容品のD2Cビジネスを行う場合は特に、「薬機法」「景品表示法」などの法律名を耳にすることがあるでしょう。

EC業界で成功したい場合、これらの法律をしっかり理解しなければ、思わぬリスクを負ってしまう場合もあるのです。

そこで今回は、D2Cビジネスで正しく攻めるため、理解すべき法律のリスクマネジメントについて、詳しくお話させていただきたいと思います。

D2Cビジネスを確実に成功させたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

薬機法」と「景品表示法」の違い

まずは薬機法と景品表示法の具体的な違いについて説明していきます。

薬機法とは、消費者に安全性を示し身体への有効性を確保することを目的とした法律であり、健康食品や一般化粧品に関しては、医薬品と同様の効果があると誤認を与えないよう、規制された範囲内で表記する必要があります

規制となると考えにくいかもしれませんが、規制された範囲内であれば表記できますので、表現のバリエーションを増やすことで、ある程度は良く表現することができます。

そして景品表示法とは、消費者に誤解を与えるような表示をしている商品やサービスから、一般消費者を守るための法律です。

効果機能を偽っている「優良誤認」
オファーの偽りである「有利誤認」などは景品表示法<にあたり、 措置命令や課徴金支払い命令などの行政処分を受けなければなりません

D2Cビジネスで知っておくべき法律と特定商取引法

特定商取引法とは、消費者を守る法律です。

事業者の違法や悪質な勧誘行為を防止し、消費者の利益を守ることを目的としています。

特にECでは、実際に商品を目で見て確認することができませんので、消費者とのトラブルが置きやすいので、この特定商取引をしっかり理解し守らなければなりません。
もしこれを違反し、悪質であると判断された場合には、業務停止命令が下ります。

特定商取引のポイントは、
「事業者情報の明示」
「誇大広告の禁止」
「顧客の同意なく申し込みに誘導しない」ということです。

購入者が安心して商品を購入することができるよう、そして消費者とのトラブルを未然に防止するための法律です。

違反の事例

景品表示法違反

ある健康食品を取り扱っていたD2C企業は、根拠がないにも関わらず、自社商品を摂取するだけで簡単に痩せることができる、という表記をしていました。

また、実際に制限をしていないにも関わらず「先着〇〇名様限定」「初回割引価格販売」等の行基を行いました。

これが景品表示法に当たり、行政処分を受けその企業は新聞へ謝罪広告を掲載し、1億円以上にも上る課徴金支払い命令が下されたのです。

薬機法違反

サプリメントを取り扱う、ある健康食品のD2C企業は、「がん細胞を自滅させる」という表記をし、刑事事件までなった事例もあります。

そもそも健康食品では病気を治すことができないにも関わらず、未承認医薬品を広告掲載し販売したとして、これは薬機法違反となり、刑事事件となったのです。

法律を知った上でこのような表現をしてしまうことは、もちろん悪質ではありますが、その法律を正しく理解していない場合でも同じように行政処分を受けなければならない場合もあるのです。

行政処分が下されると、企業名が公表されてしまい、顧客からの信頼問題にも関わってきますし、業務停止になってしまえば売り上げがなくなり、倒産になってしまう場合もあります。

特定商取引違反

あるD2Cブランドが、合理的な根拠がなく「〇割の効果がある」と表記し、優良誤認に抵触すると判断されたケースがあります。

また、いつも同じ価格で販売していたにも関わらず、期間限定の値引きと表記し、特別価格で購入できるような表記をしたために、有利誤認と判断されるケースもあるのです。

これにより、取引の公正や購入者の利益が害される恐れがあると判断され、業務停止処分が下されました。

まとめ

以上、D2Cビジネスで正しく攻めるため、理解すべき法律のリスクマネジメントについてお話させていただきました。

法律はすり抜けようとするのではなく、考え抜き工夫し、「魅せる技」として駆使することで売り上げを伸ばすことができるので、それこそD2Cビジネスのリスクマネジメントの醍醐味になるでしょう。

これらの法律は、消費者を守ると同時に、企業の売り上げを作るためのも必要な要素なのです。

もし「他社も行っているから自社も大丈夫」と思ってこれらを行ってしまっている場合、知らぬ間に行ってしまっている場合であれば、そのままにせずすぐに改善しましょう。

法律を厳守してビジネスを行うことこそ、気持ちよくD2Cビジネスをすすめるポイントであることを覚えておいてくださいね。