従来では、企業やメーカーは、機能を向上させることに注力し、それによって、競合との差別化を図ってきました。
しかし、現代では、消費者の意識が大きく変わり、いくら機能が優れていても、それでけでは関心を引くことができなくなっています。
これは、D2Cビジネスにおいても同様であり、機能ではない価値を提供することが必要となっているのです。
そこで今回の記事では、D2Cに求められる機能ではない価値について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
これまで消費者は、商品を購入する際に、品質が高く、機能面で優れていることを求めていました。
企業やメーカーは、そのニーズに応えるため、続々と機能を充実させた商品を提供していたのです。
そして、市場には、十分に品質が高く、機能の優れた商品が溢れるように存在するようになったのです。
しかし、現在では、いくら企業やメーカーが、より機能の優れた商品を販売しても、これまでのようには売れることがなくなっています。
その理由は、消費者の意識が大きく変化し、これまでのように、品質や機能に価値を求めなくなったことがあります。
現代の消費者は、前述のように、市場に豊富に商品のある時代に育ち、既に十分満たされているのです。
そのため、単に機能が優れていると言うだけでは、商品を購入してはくれないのです。
このように意識の大きく変化した消費者が求めるのは、シンプルであり、分かりやすいことです。
前述のように、これまでの商品は、多機能な商品が多く、全ての機能を使いこなせていない消費者も多くいます。
例えば、エアコンを例に挙げて考えてみると、消費者がエアコンに求めるのは、部屋を温めたり、冷やしたりすることです。
しかし、現在のエアコンは、自動で掃除をする機能や、遠隔操作ができる機能、乾燥を防ぐために潤いを与える機能など、様々な機能が備わっています。
これらは、あると便利な機能かもしれませんが、無くても困らない機能でもあり、中には、全く使用していないケースも多く見受けられるのです。
企業やメーカーが、このような機能を搭載するのは、これによって競合との差別化を図ることができ、価格も上乗せできるメリットがあるからです。
従来では、このような新しい機能が付いていると言うだけで、購入してくれる消費者も多く、それにより、企業やメーカーは、より新しい機能、より多機能であることを追求していたのです。
しかし、先ほども述べたように、現代の消費者はこのような機能の多さに関心を持たなくなっており、反対にシンプルさを求める傾向があります。
実際に、現在支持されている商品やサービスの多くは、必要最小限の機能でありながら人気を集めているのです。
多機能の商品やサービスを提供している企業やメーカーが、この状況の中で、多機能であることを訴求するのは、いまだに多くの機能があるほうが消費者に支持されると考えていることもありますが、機能を削ることに抵抗があることも理由の一つです。
既に、多くの機能があるにもかかわらず、それを削ると言うのは、これまで機能を向上させることに注力してきた企業やメーカーにとっては、難しい事であるのです。
しかし、現代の消費者がシンプルであることを求めているのであれば、企業やメーカーはそれに対応していくことが必要なのです。
この現代の消費者が求めるシンプルさや分かりやすさと言うのは、もちろん、品質が高いことが前提となっています。
その上で、基本的な機能が備わっていれば良いと考えるのです。
例えば、先ほどのエアコンの事例で言えば、部屋を冷やす機能と温める機能と言うエアコンの基本的な機能が優れていれば良いわけです。
これは、エアコンなどの家電類だけでなく、どのような商品やサービスであっても同様であり、D2Cブランドに多い、アパレル商品や化粧品などでも同じことが言えるのです。
アパレル商品の場合、機能性よりも、デザイン性が問題となることが多いですが、消費者がシンプルさを求めていることに変わりはありません。
流行りのデザインや、他にはないデザインなどの商品は、見た目は良いかもしれませんが、実際には、着心地が悪かったりするものです。
それよりも素材にこだわり、上質な商品を適正な価格で提供していくことが、現代の消費者に求められていることであるのです。
日本は、そもそも製造業が発展した国であり、品質や機能を向上させることを求められてきました。
しかし、現代では、既に品質や機能が優れていることもあり、それだけでは、消費者の関心を引くことが難しくなっているのです。
そして、その消費者が求めているのが、今回説明したように、シンプルな商品なのです。
多くの機能が付いていなくても、基本的な機能が優れていれば良いと考える消費者が増え、企業やメーカーもそれに対応していくことが求められているのです。