今多くの業種から注目が集まっているビジネスモデル「D2C」は、企業と顧客の新しい関係性を作り出していると言われています。
数年前までは海外で導入事例が多くなっていたのですが、今では日本国内でも成功事例が非常に多くなってきているので、ご興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。
ここ数年でD2Cは小売業界のトレンドにもなっており、今後もさらに拡大することが予想されています。
D2Cビジネスの特性と言えば、自社メーカーや自社ブランドが自社内で商品を企画し生産し、中間業者や流通業者を間に介すことなく消費者に販売するというビジネスモデルであり、革新的なビジネスモデルとして注目を集めているのでしょう。
ですがなぜD2Cビジネスが「今」主流になってきているのでしょうか。
D2Cの本質とはいったい何なのか、考えたことはありますか?
そこで今回は、D2Cの流れは必然なのか、D2Cの本質について詳しくお話させていただきたいと思います。
今後D2Cビジネスの導入を検討しようと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
日本がバブル経済であったころを見てみると、その当時の日本は「大量消費時代」であったことが分かります。
テレビや雑誌が多く普及し、メディアが大量の情報を与えるようになりました。
そしてその情報量に合わせ、大量に商品を販売するという状況が起きたのです。
多くの消費者が同じ情報を得て、同じものを購入するという単純で分かりやすい時代であったと言えるでしょう。
ですがこのバブルが弾けた同時にモノが売れない時代に突入しましたよね。
ここにきて消費者が感じたことこそ、「メディアへの不信感」だったのです。
特にアパレル業界では分かりやすいのですが、メディアは過去を否定しながら新たな流行を作り出しますのでそれこそが課題になってしまったのです。
だからこそ消費者はモノを購入しなくなってしまったのでしょう。
上記のような消費者行動を変えたものこそ、スマートフォンの登場なのです。
スマートフォンが登場する前のメディアと言えば「マス」情報を重視するような情報発信であったのですが、「個人」への対応が重要だと考えられるようになりました。
消費者にとって従来影響力が大きかったマスメディアよりも、SNSで活動しているマイクロインフルエンサーからの影響が大きくなってきたのです。
SNSやインターネットが普及しているこの時代であるからこそ、マスメディアへの信頼感よりも、もっと身近なSNSへの信頼感のほうが高まっているのです。
同じものを大量生産して販売するのではなく、消費者の趣味嗜好に合わせた商品を、適格にそのユーザーに届けることが求められるようになってきました。
だからこそ、日々多様化する消費者ニーズに対応するため、少量多品種生産の時代に入ったのです。
ですがそうなると、モノを作るスパンが短くなりますが小ロットだからこそコストが上昇してしまうことが課題となりました。
通常商品やサービスの販売を行う際、商品の原価は高くても3割程度だと言われているのですが、この通りに従来のビジネスモデルを進めると、消費者は商品の本体価格だけでなく、倉庫や流通の付帯費用、売れ残り商品の廃棄費用まで負担することが多くなりますので、必要のないコストを支払いたくない、という感情が芽生えるのです。
D2Cの本質は「必要な分だけを作る」ということにありますので、結果的にこのD2Cに繋がるということなのです。
D2Cとよく混合されて理解される「SPA」があります。
SPAも商品の企画、製造、小売まですべての流れを企業内で統一しているのですが、D2Cとの大きな違いは最終販売形態が「実店舗」であるということです。
SPAでも消費者のリアルな声を製造や企画にフィードバックしやすくなっていますが、このSPAの考えをさらに濃縮する精神が「D2C」なのです。
D2Cと比較するとどうしてもSPAの考えはまだ不十分でありますので、必然的に実店舗をメインの販売形態にせずオンライン上で完結する、というD2Cの考えに行き着くのです。
以上、D2Cの流れは必然なのか、D2Cの本質とは何か、ということについて詳しくお話させていただきました。
実店舗の役割が、従来であれば「モノを販売する場」であったのですが、今D2Cでは「情報を取得する場」に変わってきているのです。
最近のアパレル店舗では、そもそも商品を実店舗に陳列せず、試着やユーザーの身体のサイズを測り、希望の商品を後日発送する、という形態も多くなってきていますね。
このような商品販売の流れを見ていると、顧客ニーズに沿った良い商品の開発には「情報」が必要不可欠であり、今D2Cの流れが来ていることは必然であることが分かります。
今後さらに市場が拡大することが考えられますので、ぜひ今のうちにD2Cの知識を多く取り入れてくださいね。