D2Cビジネスで知っておくべき特定商取引法の最新改正内容

ここ数年で最も注目を集めているビジネスモデルは、D2Cビジネスモデルでしょう。

D2Cとは、メーカーが流通業者や小売店、ECショッピングモールを介すことなく、自社内で商品の企画や製造を行い、そしてECサイトで消費者に直接商品を販売する仕組みです。

仲介業者を介さないので、コスト削減、そして今までよりもさらに効果的なブランディングを行うことができますし、消費者と継続的な関係を築きやすいことも特徴です。

D2C市場は今後もさらに拡大することが予想されていますので、興味を持たれている方も多いことでしょう。

D2Cビジネスをはじめ、EC事業を展開する場合には、さまざまな法規を守らなければなりません。

特にEC事業で取り扱う商品は、顧客が実際に目で見て確認することができないものですので、ECサイトの表示に関わる「特定商取引法」に関する知識は必要不可欠です。

もし、ECサイトの表示に不備がある場合には、この特定商取引法により契約が向こうになってしまうこともあるのです。

そこで今回は、D2Cビジネスで知っておくべき特定商取引法の最新改正内容についてお話させて頂きたいと思います。

D2Cビジネスにご興味を持たれている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

D2Cビジネスにおける特定商取引法

表示義務の強化

ECサイトには、「特定商取引法に基づく表示」というメニューが設けられているでしょう。

この特定商取引法は、通信販売を行う場合、商品価格や送料、商品代金の支払い方法、商品の引き渡し時期、返品特約などを表示する義務が定められています。

また、このほかにも販売事業者名や責任者名、住所や電話番号の表示義務も定められています。

商品の価格や納期に関しては、その商品ごとのページに記載したほうが分かりやすく、販売者に関する情報や共通の返品ルールに関しては、まとめて書かれていた方が分かりやすいので、独立ページに構成されています。

定期コースとして考えるのであれば、商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要がある場合は、その旨とその場合の金額、契約期間やその他の販売条件を表示させなければなりません。

これに関しては、ガイドラインを見て、消費者が最終的に注文ボタンを押す前に確認する最終確認画面にて何をどのように表示させると良いのか、何がだめなのか、ということを確認しましょう。

ですが、このようなガイドラインが設けられても、定期購入に関するトラブルが減ることはなく、逆に増加していることが背景にありますので、最新の改正法によって表示義務が更に厳しくなっているのです。

まず規制対象となる場合は、申し込みの様式を販売事業者が定めていれば、全て「特定申し込み」という定義が当てはまり、メールやFaxなどで自由に書かれた注文以外、Eコマースにて申し込みフォームが設けられていますので、ほぼ全てが「特定申し込み」に当てはまります。

そしてさらに「分量」の表示義務も新たに規定されています。

そもそも購入者は、購入商品を決めずに買うことはありませんので、分量の記載は当たり前のようにも思いますが、定期コースの場合は、全体で何個購入することになるのか、ということが分かりにくい、というトラブルが多かったので、敢えて規定されたのでしょう。

特定商取引法第11条には、どの画面に表示しなければならない、という指定はないので、商品ページに記載していれば良かったのですが、この11条に対して12条は、特定申し込みに係る書面または手続きが表示される映像面に表示しなければならない、と改正されました。

これが土の画面に当たるのか、ということもガイドラインにて解説されます。

また、消費者に誤認させてしまうような表示も禁止されています。

上記の表示に関し、さらに「手続きにしたがった情報の送信が申し込みになることについて誤認させるような表示」「分量や価格など表示義務事項について誤認させるような表示」などを行った場合には、100万円以下の罰金が課せられます。

消費者の取消権

従来までの通信販売では取消権がなかったのですが、特定の申し込みに係る手続きが表示される映像面に、必要な表示がない、虚偽が書かれていた、申し込みになることが分からなかった、誤認させる表示であった、などの理由により、勘違いで申し込んでしまった消費者は、その意思表示を取り消すことができる、という規定が新設されました。

この規定は、契約そのものがなかったことになりますので、商品は返品され、支払い済みの代金も返還されます。

解約条件に関する不実の告知の禁止

さらに、申し込みの撤回、又は解除を妨げるため、不実のことを告げる行為をしてはならない、という新たな規定が新設されました。

たとえば、広告ではいつでもすぐに解約できるように記載されているにも関わらず、いざ解約しようとすると厳しい条件により解約ができない、ということを無くすための条です。

まとめ

以上、D2Cビジネスで知っておくべき特定商取引法の最新改正内容について、詳しくお話させていただきました。

ECビジネスの拡大につれて、消費者を守るための法律も厳しくなっていますので、ぜひ一度自社ECサイトの表示内容を見直す機会にしてくださいね。