D2C事業者は知っておくべきストックオプションの取り扱い

ここ数年で、D2Cというビジネスを耳にする機会が多くなったことでしょう。

今、自社ブランドを持つ多くのメーカー企業がD2Cビジネスを展開しており、D2C市場はどんどん拡大しています。

D2Cビジネスは消費者ニーズに合致した概念であり、生存者が消費者に対し商品を直接販売する、というビジネスモデルです。

モノと情報が溢れる今の社会、消費者の価値観が大きく変化し、従来までの流行や高級ブランド志向から、自分自身に合った商品を重視する、という方向にシフトしていること、そして新型コロナウイルスの影響により、ECサイトの利用率が大きく上がり、日常生活においても定着が進んでいることが上げられます。

D2Cブランドを立ち上げるブランドでは、スタートアップ企業が非常に多いことが特徴なのですが、このスタートアップ企業のスタッフにとって、「ストックオプション」は魅力の一つではないでしょうか。

スタートアップ企業の経営者にとってのSOは、良い人材を獲得するための切り札の一つであり、企業の成長と従業員のモチベーションを同期させるための非常に大きな武器になるのです。

そこで今回は、D2C事業者は知っておくべきストックオプションの取り扱いについて、詳しくお話させていただきたいと思います。

今後D2Cブランドの立ち上げを検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

ストックオプション

ストックオプションは、予め決められた価格や数、期間内に株式を購入することができる権利であり、ストックオプションをもらったスタッフは、企業が上場すればストックオプションの権利を行使し、株式を取得することができますので、その株式を売却することにより、利益を得ることができるのです。

株売却時の価格が、権利行使期価格よりも高ければ高いほど、利益に繋がりますので、将来的に株価が大きく上がる可能性がある企業と判断され、IPOを目指している企業とも言えるでしょう。

ストックオプションによる企業のメリットは、インセンティブ効果をアピールすることができますので、優秀な人材を集めやすいことです。

また、ストックオプションが付与されることで、権利を獲得することができるので、将来的にも優秀な人材の流出防止にも繋がるでしょう。

ストックオプションは損益計算書の人件費に計上しなくて良いので、人件費を節減しつつスタッフへのインセンティブを与えることができ、スタッフのモチベーション向上に繋がります。

ストックオプション税制の適用拡大

ストックオプションを活用し、インセンティブ付与を柔軟に実現することで、スタートアップ企業の多くは社外高度人材を機動的に獲得することができ、ビジネスの成長を後押しすることを目的とした制度が、この制度です。

一定の要件を満たす株式会社が、社外高度人材活用新規事業分野開拓計画を策定し、主務大臣による認定を受けることで、当該計画に沿って新規ビジネスに従事する、社外高度人材に対し、ストックオプションが付与され、その課税の繰り延べなどの税制優遇措置が適用されます。

スタートアップ企業は、リソースが限られている場合が多く、できるだけ布陣を敷きたいと思いますし、社外人材にも付与しやすくなるということは、優秀な人材の活用もしやすいので、ストックオプションは非常に大きな武器であり、有効活用したいところでしょう。

権利行使後の人材離脱を防ぐ

経営者としては、権利行使にてお金を得ると、辞めてしまうスタッフがいるかもしれない、と思うこともあるでしょう。

もちろんスタッフによって働く目的は異なりますので、お金を手に入れることで満足というスタッフも当然いることでしょう。

ですが、この場合の人材離脱を防ぐためには、ストックオプションの権利行使の際の条件として、ベスティング条項を設ける方法があります。

たとえば、あるスタッフに対し、100株のストックオプションを付与する場合、まず企業が上場した場合に100株中の50株のみを権利行使できるとし、そこから継続して1年間勤務することで、残りの50株中25株を権利行使することができるとし、さらにそこから継続して1年間勤務することで、残りの25株全てを権利行使することができる、というように、上場してから、段階を踏んで全てのストックオプションの権利行使を行うことができる、というような条項を付けることで、企業の成長と共に段階的にストックオプションの権利行使をしてもらうことができるでしょう。

まとめ

以上、D2C事業者は知っておくべきストックオプションの取り扱いについてお話させていただきました。

ストックオプションは、経営者だけでなくスタッフのモチベーションの源泉となり、企業の業績向上に寄与するには非常に大きな武器になるのですが、適切な制度設計を行わなければ、その大きな武器が無駄になってしまいます。

ストックオプションの制度をしっかり理解し、いかに理想とする企業へと近づけることができるか、ということをしっかり考え、目的意識を持って有効活用してくださいね。