ここ数年、ECサイトでの商品販売が浸透している中、新しいビジネスモデルとしてD2Cビジネスが注目されています。
D2Cブランドを立ち上げ、ビジネスを展開していくことで、商品の価値を上げ、顧客満足度の向上にも繋がります。
D2Cとは、ブランドやメーカーが、商品を販売する際、仲介業者を介すことなく、直接顧客に商品を販売する仕組みであり、この仕組みにより企業は顧客のリアルな反応や意見を取り入れることができ、その生の声を今後のビジネスに活かすことができるのです。
D2Cビジネスは、スタートアップ企業が多いことも特徴なのですが、スタートアップ企業の経営者にとって大きな武器となるものは、「ストックオプション」であることをご存知でしょうか。
そこで今回は、D2Cビジネスで必要なストックオプションの知識について、詳しくお話させていただきたいと思います。
これからD2Cブランドを立ち上げ、ビジネスを進めていきたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
企業にとって良い人材を獲得するための切り札として考えられているのがストックオプションであり、企業の成長と従業員のモチベーションを同期することができる、非常に大きな武器です。
ストックオプションを発行するためには面倒な準備が多く、経営者の独力では難しいと考えられていますので、会計士や弁護士などの専門家や、投資家、主幹事証券会社との調整も必要になるので、事前にどのような準備が必要なのか、ということを考えなければなりません。
ストックオプションを発行するには、「自己株式方式」と「新株引受権方式(ワラント方式)」の2つがあります。
自己株式方式は、企業が市場から自社株を購入する方法ですが、未上場企業の場合は、自社株式が売買される市場がありませんので、株主から自社株を購入する、という形になります。
新株引受権付方式は、ワラント方式とも言われており、増資のために新株を発行し、対象者がその権利を使い、増資の払い込みを行うことで、株式を得ることができます。
自己株式方式のストックオプションとは併用することができないこと、発行済株式総数の10%以内に納めなければならないこと、行使期間は10年以内であることなど、さまざまな要件があることを理解しておかなければなりません。
通常型ストックオプションは、企業の業績が向上した際に、インセンティブを発生させるという、いわゆる一般的なストックオプションです。
権利行使価格は権利を付与した際の株価以上に設定しますので、この差額が利益となる仕組みです。
権利行使価格を1円に設定することで、実質的に権利を行使する時点で、株価と同等分が利益となり、業績向上すると企業価値が向上し、株価が上昇、そして売却益増という好循環にすることができ、インセンティブとして有効な制度になります。
有償ストックオプションは、権利を付与した時の株価で新しい株予約権を発行する、という仕組みであり、権利付与時には、必然的に新株を購入しなければならない、という条件がつきます。
もし権利行使するときに株価が向上していれば、その差額が利益になるのですが、下がってしまった場合にはマイナスになってしまい、損をしてしまう可能性があるのです。
ストックオプションを活用する際の注意点としては、株価が安いうちに発行をおこなうこと、発行数の上限をしっかり検討すること、何度も発行を行わないということです。
権利行使価格は、ストックオプション発行時でのその企業の株価をベースとして設定されますので、より多くの利益を得るためには、株価が安いときにストックオプションを発行すべきなのです。
そして、ストックオプションは無制限に発行することができず、基本的にはIPO直前で発行済株式数の10~15%が上限とされていますので、しっかり逆算して検討しなければなりません。
ストックオプションの発行を行う際は、まず最初に株主総会を開き、新株予約権の総数や、権利行使価格を決定し、それから1年間その条件でストックオプションを発行することができます。
この際、税制適格ストックオプションが適用されるか、という判断が行われ、2回目以降に適用条件から外れてしまえば、税制非価格ストックオプションと判断されますので、株主総会で決議された後は、株価が変わらないうちに一度で発行するようにしましょう。
以上、D2Cビジネスで必要なストックオプションの知識についてお話させていただきました。
ストックオプションを導入する場合は、どのような制度であるのか、ということをしっかり検討しなければなりません。
D2Cビジネスにおいては、このストックオプションの知識があれば、より良いビジネスを行うことができますので、ぜひこの機会に知識を深めてくださいね。