ECやSNSを活用して成長する「D2C(Direct to Consumer)ブランド」が今、日本国内で次々に登場しています。
D2Cの特徴はブランドやメーカーが、自社内で商品を企画、製造し、自社独自ECチャネルを用いて顧客に直接商品を販売するという仕組みです。
D2Cビジネスを展開することで、企業としては従来まで必要であった中間手数料を削減することができますし、顧客データや商品のフィードバックを直接得ることができるようになり、さらに高度な顧客関係を構築することができるようになりますので、非常にメリットが大きいビジネスモデルだと考えられているのです。
だからこそ、今まさにD2Cビジネスを展開しようと考えられている方も多いのではないでしょうか。
D2Cビジネスをスタートさせるからには、誰しもが成功させたいと思われるかと思いますが、D2Cビジネスを成功させるには「箱」が重要になることをご存知でしょうか。
そこで今回は、D2Cビジネスを成功させる「箱」の秘密について、詳しくお話させていただきたいと思います。
顧客満足度を上げ、D2Cビジネスを成功させたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
「Unboxing」という言葉をご存知でしょうか。
Unboxingは、スラング英語であり、新しく手に入れた商品を箱から取り出す一連の行為、もしくは経験を意味しています。
一般消費者が通販関連の商品を開封する動画や写真のことであり、特にアメリカを中心に広がりを見せています。
日本では、ネットスラングとして「開封の儀」とも呼ばれており、箱から商品を取り出す様子を動画で撮影し、YouTubeやTwitterなどのSNSで共有されていることが多いですね。
消費者が届いた箱を開封し、中の包み紙を広げ、商品を取り出し、最後に使用した感想を紹介し、動画が終了する。
一見ありふれた商品レビューのようにも思えますが、D2Cビジネスを成功させるポイントが画されているのです。
Unboxingでは商品自体の紹介がメインというより、箱そのものの紹介、そして箱の中に商品がどのように収められているか、そして商品のパッケージはどのようなものなのか、という商品直後の様子がメインとして撮影されています。
今、この消費者目線の視点が変わった商品レビューが爆発的な人気を博しているからこそ、その対象が自社D2C商品の場合、箱を工夫することで大きな宣伝になるのです。
消費者が商品の購入を決定する際、必ず商品の価値や効果効能のみを購入決定の判断材料にしているか、と言われるとそうではありません。
商品の箱、パッケージデザイン、梱包方法など、消費者の手元に届いた瞬間の期待感、そして喜びも、通販を利用する楽しみであることを理解しなければなりません。
今、YouTubeでのUnboxing動画検索数は2,000万回を超えており、消費者の5人に1人がUnboxing動画を見たことがあると考えられますよね。
YouTubeにアップされているUnboxing動画もかなり多くの数になっており、大流行していることが分かります。
届いた商品を初めて開封する喜びを投稿する消費者の様子を楽しみ、それを購入の判断材料にする消費者がいるのです。
D2Cビジネスでは「顧客に満足を届ける」ことが最重要視されており、顧客満足度を向上させることができれば、CVRの向上にも期待することができるでしょう。
たとえばある美容品D2Cブランドを例に挙げてみると、
従来までは1箱50円程度の一般的な段ボールを使用していたのですが、箱に工夫を凝らし黒光りのする高級感のある化粧箱に変更し、箱の裏には美意識を向上させる、もしくは見た人をはっとさせるような有名人の名言とハッシュタグをさりげなく記載し、それ以外は何も記載されていません。
この方法はもちろん、ハッシュタグはSNSでの拡散を目的としているのですが、だからと言って「拡散してください」などは一切書かれていません。
ですが、ブランドの狙い通りUnboxing動画としてSNSへ投稿したのです。
その理由は、箱に記載された名言にありました。
誰かと共有したくなるような、メッセージ性の強いものであり、さらに複数パターンが用意されていたため、消費者は毎回異なったメッセージに触れることができたのです。
この取り組みのための箱にかかったコストは1箱200円になったのですが、消費者こそが広告となりCPAをかけず、新規顧客獲得に繋がったのです。
さらにそれを見た既存顧客も、「自分は良いものを使っている」と再認識する機会が生まれたため、顧客満足度も向上したのです。
以上、D2Cビジネスを成功させる「箱」の秘密についてお話させていただきました。
D2Cビジネスは特にスタートアップ企業に向いていると考えられており、このUnboxing動画もスタートアップ企業こそ注力すべきものであると考えられています。
スタートアップ企業の場合、初期では多くの広告費を確保することができないため、キャッシュフローが悪化しやすくなってしまうのですが、「箱」を工夫するとローコストで商品知名度を向上させることができる可能性が高いのです。
顧客と直接繋がるD2Cビジネスだからこそ、ぜひこの手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。