実店舗を持たない企業やスタートアップ企業であっても、自社ブランドのイメージを直接消費者に伝えることができ、コストを押さえたビジネスができるということから、今D2Cビジネスが多くの注目を集めています。
EC上でビジネスを完結することができますので、従来までの店舗型ビジネスよりも商圏が広く、分利益率の高いビジネスができますので、非常にメリットが大きいビジネスモデルと言えるでしょう。
さまざまな業界がD2Cビジネスを展開する中で、特に注目度が高い業界と言えば、サプリメント業界ではないでしょうか。
D2Cビジネスとしてサプリメントブランドを立ち上げたい、と思われている方が多い中で、実際にサプリメントでどのような顧客体験を創れば良いのか、さまざまな手法を用いたとしても、確信をもってビジネスを行うことは難しいことがあるでしょう。
そこで今回は、D2Cサプリメントビジネスをスタートする際、参考にすべき2つの事例をご紹介したいと思います。
今後D2Cビジネスの展開を検討されている方、サプリメント業界に興味がある方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
Ritualは、アメリカで生まれたサプリメントD2Cブランドであり、新進喜悦としてどんどんシェアを伸ばし続けています。
Ritualは、今までのサプリメント、そして特にカプセルタイプのサプリメントの概念を変えたことが特徴でしょう。
「従来までのカプセルはありきたりだ」と思う消費者が多い中で、Ritualのサプリメントはカプセル自体が透明で印象的であり、思わず手に取りたくなるようなビジュアルです。
ラインナップ自体は9種類の栄養素を摂ることができる基本的なものと、50際以上の女性向けのもの、妊娠期の女性向けのもので3種類と少ないのですが、「このサプリメントを摂れば安心」と燃える透明性と信頼感を持たせ、顧客を増やしているのです。
なぜRitualというブランドが生まれたのか、それは創業者のカテリーナ・シュナイダー氏が実際に妊娠していた時期に信頼できるサプリメントが無かったことにあります。
このようなブランドストーリーを持ち、とことん原材料の選別にこだわり、出来る限りの情報を公開することで、ブランドの透明性を高めているのです。
Ritualでは「透明性」がキーワードになっており、サプリメントに対して不信感を持たれているユーザーに対し、「Ritualのサプリメントが安心だ」と思ってもらえるよう、一貫したブランディングを行っています。
D2Cビジネスらしく、ブランドの世界観を重視し、ブランディングストーリーに注力したアプローチを行い、顧客に情緒的価値を与えながらも、安心感と機能的価値もしっかり伝えています。
これら両方からのアプローチにより、双方から信頼感を得ることができるサプリメントブランドになったのです。
Care/ofもRitualと同様、アメリカで生まれたサプリメントD2Cブランドです。
Ritualと大きく異なる点は、Care/ofはパーソナライズサービスを提供していることです。
Ritualとはまったく対照的なアプローチを行っており、サプリメント自体はポピュラーなものであるものの、業界としての長年の課題であった「自分に合ったサプリ」を発見することが難しいという課題を解決したのです。
上記で説明した通り、Ritualはブランドとしての透明性や信頼性で顧客に納得してもらう手法ではあったのですが、Care/ofはテクノロジーを活用し、パーソナライズサービスを提供するため、クイズ形式によって顧客に納得してもらう手法を選んだのです。
通常、顧客に対する設問途中で離脱してしまう人も少なくは無いのですが、Care/ofはゲーム感覚で楽しく答えられるようなクイズを創り、このクイズの答えによって、顧客それぞれに最適化されたサプリメントが自宅まで発送される仕組みになっています。
また、より顧客にパーソナライズを意識してもらうために、パッケージに顧客の名前が印刷されています。
そもそもパーソナライズ(Personalize)とは、モノに名前を付けるという意味を持っているので、これこそまさにパーソナライズサービスと言えるでしょう。
パッケージに名前を印刷すると聞くと、一見何とも思えないアクションかと思いますが、実際は相当なコストと製造ラインの工夫がされているでしょう。
ですが敢えてこの工程を導入することで、顧客に「自分だけの特別感」を与えることに成功しているのです。
以上、D2Cサプリメントビジネスをスタートする際、参考にすべき2つの事例をご紹介させていただきました。
今回ご紹介した「Ritual」と「Care/of」以外にもさまざまな事例がありますし、これら2つの事例はどちらも成功事例ですが、顧客に対するアプローチ方法がまったく異なっています。
だからこそ、これからサプリメントD2Cビジネスを始めるには、どちらも参考になるかと思いますので、ぜひ自社に合ったビジネス手法を取り入れてくださいね。