D2C市場は、近年急速に成長し、続々と新たなブランドが誕生しています。
その状況の中で、最近よく耳にするキーワードがあり、それがサスティナビリティと言う言葉です。
このサスティナビリティとは、持続可能性と言う意味を持つ言葉ですが、D2Cにおいてどのような意味を持つのか理解していない方も多いようです。
そこで今回の記事では、D2Cにおけるサスティナビリティについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サスティナビリティとは、英語のsustainabilityを日本語で表記したもので、持続可能な、または、持続可能性と言う意味を持つ言葉です。
現在では、ビジネスにおいて使用されることが増えており、その場合、将来に渡りその機能を失うことなく保ち続けていくことができるシステムやプロセスと言うような意味合いで使用されます。
また、サスティナビリティと言う言葉のまま使用されることもありますが、主に形容詞であるサスティナブルと言う言葉が使用されることが多くなっています。
このサスティナビリティは、主に地球全体の環境に関する問題において使用されることが多い言葉です。
地球の環境をこれ以上壊さないようにするために何をしたら良いのかを考え、取り組みを行っていくのがサスティナビリティの基本的な考えです。
ビジネスにおいて、このような考え方を広く普及していくことは以前から行われていましたが、現在D2Cの領域において、このサスティナブルが注目を集めているのです。
特に、海外のD2Cブランドの多くは、このサスティナブルを強く訴求し、消費者の共感を誘っています。
日本のD2Cブランドにおいても、この傾向は強くなってきており、今後サスティナブルを標榜するブランドが増えていくことが予想されています。
D2Cブランドの多くが、このサスティナブルを重要視しているのには、いくつかの理由があります。
その理由として、まず挙げられるのが、D2Cブランドのターゲットとなる世代がサスティナブルに関心が高いと言うことです。
D2Cは、デジタルを最大限に活用するビジネスであり、それ故に、消費の中心となるのは、デジタルに親和性の高い世代となります。
その世代と言うのが、ミレニアル世代と呼ばれる世代、そして、さらに若いZ世代と呼ばれる世代です。
ミレニアル世代とは、1980年代の前半から1995年頃までに生まれた世代を指しており、この世代はインターネットの成長とともに成長しているため、デジタルに非常に親和性が高いのが特徴です。
また、モノが豊富にある時代に育っているため、消費活動にあまり積極性がなく、高級ブランドなど高価なものに関心が薄いと言われています。
ブランドなどに捉われることがなく、自身が気に入ったものだけを購入する傾向が高いのです。
また、環境問題や社会問題に対しての関心も高いため、これらの問題に対するブランドの姿勢を商品購入の判断基準とすることも多いのです。
そして、このミレニアル世代よりも若く、さらに、デジタルに親和性が高いのがZ世代です。
Z世代は、1995年から2010年頃に生まれた世代を指しており、ミレニアル世代の特徴をさらに強くした特徴を持つ世代です。
D2Cブランドの多くがサスティナブルにこだわるのは、顧客となり得る可能性の高いこの2つの世代が、それを重要なことと考えているからなのです。
この2つの世代がサスティナブルに関心を持っていなければ、D2Cブランドがサスティナブルにこれほどこだわる必要はないのです。
また、D2Cが、従来のブランドとは異なり、ブランドの世界観やストーリーで顧客を獲得していくビジネスであることも理由の一つと言えます。
現代では、従来のように機能や品質では消費者から選ばれることが無くなっています。
そのため、D2Cブランドは他の面で価値を見出し、消費者の関心を引くことを考えなくてはなりません。
そして、その他の価値と言うのが、消費者が共感できるブランドの世界観やストーリーであり、このストーリーの一つとなり得るのが、サスティナブルな活動なのです。
D2Cブランドが実際にサスティナブルな行動をすることにより、それがブランドの世界観やストーリーへと繋がり、消費者の共感を誘うのです。
このように、ブランドのストーリーを作るために、D2Cブランドはサスティナブルを重要と考えるのです。
さらに、D2Cブランドが行うサスティナブルな取り組みが話題となれば、ブランドのPRにもなるということも理由の一つです。
アメリカのアパレルD2Cブランドでは、地球の気候変動の問題に関心を持ってもらうと言う取り組みの一環として、それに関するメッセージのプリントされたTシャツやスウェットを販売しました。
そして、この取り組みにより、多くの消費者がこの問題に関心を持ったと同時に、ブランド自体にも注目を集めることができたのです。
この事例は、消費者の関心を少しでも環境問題に向けたいと言う考えから行われた試みであり、それが成功した参考にすべき事例でもあります。
このような取り組みは、他のブランドでも実施されており、今後も増えていくものと思われます。
しかし、中には、環境問題に真摯に取り組むわけでもなく、ただ商品やブランドの宣伝のためだけに利用するケースもあるのです。
そのようなD2Cブランドが消費者の高い支持を得ることができるとは思えませんが、D2Cブランドが本当の意味でサスティナブルを標榜するには、まず、真摯に環境や社会の問題に向き合っていくことが重要なのです。
サスティナビリティは、環境問題や社会問題に向き合い、自身ができる活動を持続して行っていく事です。
現在の消費活動の中心となっている若い世代は、育った環境の影響からこういった問題に関心が高く、実際に行動している人々に対し強い共感を持つのです。
このような理由から、多くのD2Cブランドは、消費者の関心を引くためサスティナブルを強く訴求しているのです。
しかし、本当に消費者の共感を得たいと考えているのであれば、それが商品やブランドを宣伝するだけのものにならないことが重要となるのです。