日本のD2Cブランドは世界に通用するのか?

D2Cは、商品の企画から販売までを、自社で一貫して行うビジネスモデルであり、2010年頃にアメリカで誕生し、現在では日本国内においても広く普及しています。

しかし、アメリカで成功しているD2Cブランドと日本のD2Cブランドには大きな違いがあります。

それは、その国の文化や小売市場の在り方によるものであり、特に、小売市場が高度に発展している日本のD2Cブランドは、独自の進化を遂げています。

そのため、日本のD2Cブランドは、単純に世界のブランドと比較することはできないのです。

そこで今回の記事では、日本のD2Cブランドが世界的に通用するブランドなのかについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

アメリカのと日本の小売市場の違い

D2Cは、アメリカで誕生し、世界中に広まっているビジネスモデルであり、日本でも多くのD2Cブランドが生み出されています。

しかし、アメリカと日本では、国民性や文化に大きな違いがあるように、小売市場にも違いがあり、それ故に、D2Cブランドの特徴にも違いがあるのです。

アメリカで成功しているD2Cブランドは、その多くが従来よりも低価格で、しかもオンラインで簡単に商品を手に入れることができるということを売りにしています。

これは、アメリカでは、そもそも低価格の商品の品質が低く、品質の良い商品を手に入れたい場合には、それなりの価格を支払う必要があり、さらにどこでも手に入る訳では無いと言うアメリカの小売市場の現状が背景にあります。

簡単に言えば、アメリカの小売市場には、安くて質の良い商品が少なく、売られている場所も限られているのです。

一方の日本は、そもそもがモノづくり大国と呼ばれるほど技術力の高い国であり、低価格であっても品質の良い商品を、どこでも簡単に手に入れることができます。

また、ドラッグストアやスーパー、コンビニなどが世界中のどの国よりもはるかに高度に発達しており、日本のどこにいてもそれらの商品を手に入れることができるようになっているのです。

さらに、日本はリユース市場も発展しており、メルカリなどの個人間の取引でも満足度の高い商品を入手することが可能となってきています。

つまり、日本は、世界のどこよりも小売市場が発展した国なのです。

そのため、アメリカで成功したD2Cブランドであっても、そのままで日本で成功するとは限らないのです。

アメリカのD2Cブランドの高品質、低価格と言う構造は、すでにその市場が出来上がってしまっている日本では、アメリカのようには通用しないと考えられるのです。

ものづくり大国日本のD2Cブランド

このような現状から、日本のD2Cブランドの多くは、高品質、高価格の商品を取り扱う傾向が高くなっています。

ただし、この場合の高価格とは、一般的に考えられる高価格の商品とは少し異なります。

日本のD2Cブランドが取り扱う商品は、従来の同様な商品と比べると圧倒的に低価格となっているのです。

これはD2Cで取り扱うことで、従来、間に入る中間業者を排除することが可能となり、中間マージンが発生しないことなどから、従来の価格よりも低価格、すなわち、その商品の品質に見合った適正な価格で販売することができるのです。

そして、日本では、このように高品質の商品であれば、多少価格が高くても購入したいと考える消費者が多く存在しています。

古くからモノづくりが発展した日本では、素材にこだわり、丁寧に作られた商品に対する印象が良く、それらの商品の品質に対する消費者の目も確かなのです。

日本のD2Cブランドは、上記のように、素材からこだわりを持ち、丁寧な仕事によって生み出された高品質な商品が多くなっています。

しかも価格は適正なものであり、一般的には高価格帯であっても、従来から考えれば低価格であるのです。

そして多くの日本人は、このこだわりのものづくりに強く共感するのです。

これは、日本が古くから培ってきたものづくりの文化によるものであり、文化の違う他国で簡単に受け入れられるものではありません。

特にアメリカのように、高品質で低価格のもの、つまり安くて良いものが少ない国では、いくらその商品の品質に見合った適正な価格であり、それがこだわって作られていても、高品質で高価格の商品はなかなか売れないのです。

上記のことから、日本のD2CブランドがそのままアメリカのD2C市場で支持を得ることは非常に難しいことと考えられます。

ましてや、アメリカの成功したD2Cブランドのように、ユニコーン企業にまで成長するほどの熱狂的な支持を得ることは困難です。

しかし、世界的には、たとえ高価格であっても、質の良い商品を求める声は多く、特に食の分野では安全性から日本産を支持する声も多く聞かれます。

そして、この食の分野において、世界に挑戦している日本のD2Cブランドも実際に存在しているのです。

それが、「BASE FOOD」と言う、完全栄養の主食を扱う日本のD2Cブランドです。

BASEFOODは、クラウドファンディングを利用し、世界で初めて主食での完全栄養食を開発したブランドであり、販売開始後4日間で、用意した3000食が完売となるほど注目を集めています。

また、開始直後は、商品価格が高値でしたが、商品の価格を下げるために認知を拡大し、現在は価格を下げることにも成功しています。

これにより、国内での支持も高まり、さらにアメリカなど海外での展開を始めており、実際に顧客の支持を集めているのです。

これは、日本のD2Cブランドでは画期的なことであり、多くの企業が参考にすべき成功事例と言えます。

この事例が成功を収めたのは、世界的に安全性が強く求められる食の領域において、健康という世界共通のキーワードを効果的に活用し、1食分で1日に必要とされる栄養素の3分の1を摂取できる主食と言う、革新的ともいえる商品を開発したことが大きな要因なのです。

まとめ

日本は、古くよりものづくり文化が根付いた国であり、その技術力は年々進化し、品質の高い製品が手ごろな価格で市場にあふれています。

そのため、アメリカのように安くて良い商品では勝負ができないのです。

しかし、より安全性が求められ、世界的に健康志向が強くなっている食品の分野では、世界で勝負している日本のD2Cブランドも存在しています。

もちろん、このブランドの商品は高品質の商品であり、さらに世界的に見ても革新的な商品です。

このブランドのように、アメリカの市場で支持を得るのは難しいことですが、品質が良く、今までにないような商品を作り出していれば、日本のD2Cブランドでも世界で支持を得ることが可能となるのです。