RaasがもたらすD2Cへの影響とは?

D2Cが一足早く普及し、多くのブランドが誕生しているアメリカで、今注目を集めているのが、Raasと呼ばれるビジネスモデルです。

このRaasは、小売りに必要なデータやノウハウをサービス化したもので、D2Cブランドの立ち上げを考えているスタートアップ企業にとって追い風になると言われているのです。

そこで今回の記事では、Raasについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

Raasとは?

Raasとは、Retail as a Serviceの略称で、直訳すると小売りのサービス化、サービスとしての小売と言う意味を持ちます。

具体的には、小売事業者が、自社で培った販売ノウハウや蓄積した膨大な顧客データを最新のテクノロジー技術と掛け合わせてサービス化すること、またそのサービスそのものを表しています。

このRaasは小売業となりますが、一般の消費者に向けたものではありません。

企業を相手として、サービスを小売りするBtoB(Bisiness toBisiness)のビジネスモデルです。

分かりやすく説明すると、ブランドに対して、小売を運営していくために必要な、店舗やスタッフ、インフラなどをパッケージ化して、提供していくサービスになります。

近年、スマートフォンが広く普及したことにより、インターネットがより身近なものとなり、小売業界においても、急速にデジタル化が加速しています。

消費者のライフスタイルも大きく変化しており、実店舗だけでなく、ECで商品を購入することも日常的になり、加えて、定期購入や個人間の取引など、商品を購入するための手段が多様化してきているのです。

このような細分化された消費者のニーズに対応するためにも、デジタル化が必要とされているのです。

小売業界のデジタル化は、以前より進められていましたが、従来ではベンダーがクラウド環境やソリューションなどを、小売業者に提供する形のものでした。

Raasは、このベンダーと小売業者が協力し合い、双方が持つ資産を活用し、新しいサービスを開発していくモノであるため、さらに精度の高いサービスを提供することが可能となるのです。

RaasがD2Cに与える影響

Raasは、アメリカにおいて先行して取り組みが進められていましたが、現在では、日本にも上陸を果たしています。

このRaasが注目されているのは、これまでの小売ビジネスの常識を変えていくものと考えられているからです。

従来では、ブランドが小売ビジネスを立ち上げる際には、店舗の確保、スタッフの確保など多額の初期投資が必要であり、それに伴い煩雑な手続きなどもあり、時間もかかっていました。

しかし、Raasを利用することで、これらを効率よく済ませることができ、時間をかけず低コストでビジネスを立ち上げることが可能となるのです。

この特徴から、Raasは、D2Cブランドなどのスタートアップ企業から注目を集め、日本においても多くのD2Cブランドが高い関心を示しているのです。

D2Cは、そもそも店舗を持たず、ECでの販売を軸としていたため、従来のビジネスよりもコストをかけずに立ち上げることが可能なモデルでした。

しかし、D2Cが広まるにつれ、ECだけでなく、店舗を運営するケースが増えてきたのです。

このD2Cブランドの店舗進出の主な理由は、さらなる顧客接点を求めてのことではありますが、D2C市場が拡大化しているため、競合との差別化を図る目的もあるのです。

D2CはEC専売と定義されているわけではありませんので、目的が明確であれば、実店舗を持つ事に問題はありません。

しかし、EC専売であるがゆえに、小規模事業者でも立ち上げが容易であったわけですから、実店舗の運営がスタンダードになってしまえば、利点が無くなってしまうのです。

この問題は、D2Cブランド立ち上げを目指してきた小規模事業者にとっては、大きな痛手となっていましたが、この問題を解消できるのがRaasなのです。

アメリカでは、実際にRaasを利用するD2Cブランドが増加しており、日本国内においても利用者が増えているのです。

これにより、立ち上げに二の足を踏んでいたスタートアップ企業も容易にD2Cに参戦することができるようになるのです。

また、Raasの利点は立ち上げが容易と言うだけではありません。

Raasを提供している企業は、データ分析に長けている企業が多く、その恩恵を受けることもできるのです。

D2Cブランドを立ち上げる小規模事業者には、データ分析の技術を持っているケースは多くありません。

しかし、Raasであれば、データ分析のノウハウが全くなくてもデータを活用することができるのです。

データ分析は、D2Cの主軸となるデジタルマーケティングにおいて、欠かすことのできない技術です。

特に、小売業の専門的なデータを提供してもらえるわけですから、新興のD2Cブランドにとっては非常に大きなメリットとなるのです。

まとめ

D2Cは、今までブランドの立ち上げが困難であった小規模な事業者でも容易に立ち上げが可能となるビジネスモデルとされています。

しかし、実際には、思ったよりもコストがかかる、技術が伴わないなどの理由で、立ち上げをあきらめているケースも多いのです。

そのような問題の解決に有効なのが、今回説明したRaasと言うモデルであり、このRaasが広がることにより、D2Cモデルもさらなる広がりを見せることができるのです。