サブスクリプションビジネスは、急速に成長し、現在では一般の消費者にも広く浸透しています。
多くのサービスがサブスク化され、消費者は様々な種類の中から選択することが可能となっています。
しかし、すべてのサービスがサブスクに向いているわけではありません。
中にはサブスクには向かないサービスも存在するのです。
そこで今回の記事では、サブスク化が危険な業種について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスクリプションとは、近年急速に成長しているビジネスモデルであり、現在では数多くのサービスが展開されています。
このサブスクは、そもそもソフトウェアや音楽などのデジタル配信サービスから注目を集め、基本的には、一定の金額を支払うことにより一定の期間サービスを利用できると言う、いわゆる定額制の仕組みとなっています。
しかし、サブスクの課金方法は他にも種類があり、使用した分だけ課金される従量課金のサブスクや、従来の定期購入と同様の仕組みを持つ定期購入型のサブスクなど、いろいろな仕組みのサブスクサービスが存在しているのです。
現在展開しているサブスクサービスのジャンルは多岐に渡っており、居酒屋やコーヒーショップなどの飲食系のサブスク、洋服やバックなどのアパレル用品、自動車、花、おもちゃ、食品、日用品に至るまで、ありとあらゆる商品やサービスがサブスク化されているのです。
この何でもサブスクと言うような状況は、消費者にとってはメリットのように思えますが、サービスの選択肢が増えすぎて、選ぶのに苦労すると言う声も出始めているようです。
そもそも、サブスクビジネスがこれ程広く普及したのは、市場に商品が増えすぎてしまったことが背景にあります。
従来のビジネスでは、商品を大量に生産し、販売するのが一般的であったため、市場には常に商品が溢れるほど存在し、消費者はその大量の商品の中から、自身に必要なものを選択していたのです。
しかし、モノが豊富にある現代の消費者は既にある程度満たされており、大量に消費する必要はないのです。
それにもかかわらず、市場には商品が溢れており、その状況に消費者の多くが疲弊し、積極的に消費活動をしなくなってしまったのです。
その消費者のニーズの変化によって求められるようになったのがサブスクリプションと言うビジネスなのです。
しかし、そのサブスクが現在では、サービスが増えすぎ、以前と同じような状況となっているのです。
前述のように、サブスクはそもそもデジタル配信サービスから始まったビジネスであり、デジタルと親和性の高いビジネスであるのです。
しかし、現在では、サブスク化できないサービスはないとまで言われるほど、ありとあらゆるジャンルに広がっています。
ですが、このサブスク化されているすべてのジャンルにおいて、サブスク化が望ましいとは言えないのです。
ソフトウェアや音楽、動画などの原価のかからない配信サービスであれば、サブスクの使い放題の仕組みであっても十分に利益を得ることは可能です。
しかし、飲食店など原価のかかるサービスではこの仕組みで利益を得るのは難しくなります。
顧客情報を得られるなどのメリットはありますが、サブスクだけで事業を展開していくと言うのは困難です。
また、サブスクの注目度が高くなったことから、大手企業や一般に名の知れたブランドもサブスクに関心を示しています。
実際に、いろいろな種類の高級ブランドのバックを利用できるサービスなども登場し、高い支持を得ています。
しかし、このような高級ブランド自体がサブスクに向いているとは言えません。
高級ブランドだけでなく、名の知れたブランドには、そのブランドを支持する顧客が存在しています。
ブランドの歴史が深ければ深いほど、その名前自体に重みがあるのです。
このようなブランドがサブスク化することで集客は可能にはなりますが、サブスクによって集めることができる層は、既存の顧客とは全く異なるターゲット層なのです。
そして、それらのターゲット層は、既存の顧客のように、ブランドに愛着を持っているわけではありません。
この層は、いろいろな商品を安く、手軽に利用できると言うスタンスでサービスを利用しているに過ぎません。
サブスクをきっかけとして、顧客となってくれる可能性もないわけではないですが、そもそも既存の顧客とはブランドに対する愛着や思い入れが全く異なるため、その可能性は低くなります。
さらに、サブスクモデルを利用する消費者の多くは、モノを所有することにあまりこだわりを持っていません。そもそもサブスクと言うビジネス自体が、所有するよりも利用すると言う消費者のニーズに合わせたものなのです。
ブランドの既存の顧客は、そのブランドの商品を購入し、それを所有することに喜びを感じます。
その顧客にとっては、そのブランドの商品でなければならないほどの愛着を持っているのです。
一方、サブスク利用者の多くは、それほどの思い入れを持ってはくれません。
単に、安く試せるからと言った理由でサービスを利用するのです。
サブスク化によって、このような層をターゲットとした場合、ブランドの価値が棄損される恐れがあるのです。
また、ブランドの価値が下がることで、既存の顧客が離れてしまうことも考えられることです。
ブランドの裾野を広げると言うのは悪いことではないかもしれませんが、このようなリスクがあることを留意しておくことが必要です。
サブスク市場は拡大化し、あらゆる業種からサブスクサービスが提供されています。
しかし、中には、サブスクにあまり向いていないサービスも存在していますし、今回説明したようにサブスク化することにリスクがあるケースもあるのです。
サブスクビジネスが流行しているからと言って、それに流されてはいけません。
すべての業種にサブスク化が必要なわけなどないのですから、必要かどうかを正しく見極める事が重要なのです。