増える車のサブスク!生き残るために必要なポイントは?

サブスクリプションサービスが、一般的となってきた昨今では、ありとあらゆるサービスがサブスク化されています。

このサブスクサービスは、デジタルと親和性の高いサービスであり、実体のないソフトウェアや音楽、動画などのデジタルコンテンツから広く普及しました。

しかし、現在では、ファッション、コスメ、花、食品など実体のあるモノのサブスクも増えており、その中でも、注目を集めているのが車のサブスクサービスです。

そこで今回の記事では、車のサブスクに見るサブスクで生き残るポイントについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

車のサブスクとは?

車と言うのは、従来では消費者が自身で購入し所有するのが一般的なことでした。

しかし、消費者のニーズが多様化し、モノを所有することにこだわりが無くなってきている現在では、車は必要な時に利用すれば良いと言う考えが広がりを見せているのです。

そのような状況の中で、サブスクリクションと言うビジネスが登場し、必要な時に利用できる車のサブスクサービスが誕生したのです。

この車のサブスクは、誕生当時は高い注目を集めましたが、実際には、注目度の高さに見合うほど、利用者は増えてはいません。

しかし、その後も多くのメーカーや企業がそれぞれにサブスクサービスの提供を始めているのです。

現在展開されている車のサブスクサービスは、メーカーでは、TOYOTAの「KINTO」、日産の「クリックモビ」、HONDAの「マンスリーオーナー」、三菱の「ウルトラマイカープラン」、ボルボの「SMAVO」、メーカー以外のサービスでは、「NOREL」、「カルモ」、「SOMPOで乗ーる」があります。

この中で、TOYOTAのKINTOは、いち早く2019年2月からサービスの提供を開始し、大きな注目を集めましたが、思ったよりも利用者が増えず、未だに苦戦が続いています。

そもそも、サブスクは前述のように、デジタルコンテンツと相性が良く、現在成功しているサービスもほとんどがデジタルコンテンツを提供するサービスです。

モノのサブスクも増えてはいますが、デジタルコンテンツほど支持を得ているわけではありません。

また、デジタルコンテンツが支持されるのは、月額の使用料が1000円前後と低価格なため利用しやすく、消費者の負担になりにくいことも一因です。

それにも関わらず、モノのサブスクは増え続けており、さらに、月額使用料が高額にならざるを得ない車のサブスクも増え続けているのです。

なぜ車のサブスクが増えているのか?

世界的なメーカーであるTOYOTAが苦戦しているように、車のサブスクを根付かせるのは、他のモノのサブスクサービスよりも難しいことです。

それでも尚、多くのメーカーや企業がサブスクに進出する背景には、国内の自動車販売市場の縮小があります。

例えば、今でこそ、TOYOTAは自動車販売台数を150万台でキープしていると主張していますが、市場の縮小は進んでおり、このままでは2025年には120万台にまで下がると予測されているのです。

これは、消費者の車に対する考え方やライフスタイルが大きく変化しているためであり、他のメーカーでも同様の状況となっています。

この状況に、メーカーとしては、消費者のニーズの変化に対応していくしか方法がなく、そのため、サブスクのような新たなサービスを展開し始めているのです。

前述のように、国内外のメーカーや企業は、それぞれにサブスクサービスを展開しています。

そして、そのサービス内容はそれぞれに異なり、各社とも自社の特徴やターゲット層に合わせて内容を変化させているのです。

具体的な例として、HONDAが提供しているサブスクサービスでは、新車ではなく、中古車に限定してサービスを提供しています。

これは、HONDAの車がTOYOTAよりも中古車の査定価格が低いために成り立つサービスと言えます。

また中古車に限っていることで、利用する消費者も割り切って利用することができると言うのもこのサービスの利点の一つです。

さらに、利用設定期間が短いため、レンタカーの利用者など、短期間だけ利用したいと言う消費者を取り込むことも可能であり、そういった消費者のニーズを掴むことに成功しているのです。

また、ボルボの提供するサービスも消費者の支持を得ることに成功しています。

購入することはできないけれど、一度は外車に乗ってみたいと言う消費者は意外と多く、そのニーズにこのサービスが上手く合致したのです。

このように、各メーカーそれぞれが、独自のサービス内容で多様化した消費者のニーズに対応しています。

しかし、車のサブスクが、車を所有することほど、消費者の生活に根付くにはまだまだ問題が多く、特に大きな問題となるのが利用価格です。

消費者がサブスクに求めるのは、従来の販売方法よりもお得であるということであり、これは車のサブスクでも同様です。

しかし、現在展開されている車のサブスクの多くは、消費者にそれ程お得感を与えるものではないです。

特に、TOYOTAのKINTOは、利用する際のルールが多く、価格設定も高額であり、車を購入したほうが結果的に安上がりだとも言われています。

頭金が不要であることや保険が付帯していることをアピールしていますが、車を利用する場合、駐車場代などが別途に必要となるため、設定料金以上のお金がかかります。

また、利用期間終了後の返却の際には、さらに原状回復のための料金がかかることもあるのです。

前述のHONDAやボルボのサービスは、TOYOTAよりもお得感があり、ある程度の支持を得てはいますが、本格的に普及するまでには、まだまだ乗り越えなければならない課題が多いのです。

まとめ

現在の日本は、少子高齢化が急速に進んでおり、どの市場においても、今後は縮小していくことが予測されています。

これは車の市場においても同様ですが、車の場合、若者の車離れなどの事情もあり、他の市場よりも深刻な問題として受け止められています。

このような理由により、車のサブスクサービスが増えていますが、消費者の高い支持を得るまでには至っていません。

今回説明したように、車のサブスクを広く普及するためには、お得感が必要であり、今のサービスのままでは、そのお得感を消費者に与えることはできないのです。