店舗型サブスクビジネスは定着するのか?

サブスクビジネスは、近年異常とも言えるほど盛り上がりを見せているビジネスモデルです。

代表的なサービスは動画や音楽などのデジタル配信サービスですが、現在では様々なジャンルからサービスが提供されています。

その中でも最近注目を集めているのが、飲食店が提供するサブスクサービスです。

しかし、これらの飲食店のサブスクはデジタル配信などと異なり、実際の店舗におけるサービスであるため課題も多くあるようです。

そこで今回の記事では、飲食店の店舗型サブスクサービスの課題について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

サブスクサービスの現状

サブスクリプションは、定められた料金を支払うことで商品やサービスを一定の期間利用できる権利を得るという仕組みのビジネスモデルです。

このビジネスは、データやソフトウェアなどのデジタル配信サービスから普及し始め、近年は動画配信サービスや音楽配信サービスなどが人気を集めています。

そして現在は、これらのデジタルの領域のサービスだけにとどまらず、洋服やバックなどのアパレル商品、家具、インテリア、自動車、食品や花といったモノを扱うサービスも登場しています。

さらにこのサブスクの流れは飲食業界にも及んでおり、店舗を構える飲食店が続々とサブスクビジネスに参入してきています。

この飲食系のサブスクの仕組みは、配信サービスと同様定められた料金を支払うことでサービスを利用できるというもので、例えばコーヒーショップの場合では、月額料金を支払うことによりその月の間コーヒーが飲み放題になるサービスが提供されています。

この飲食系サブスクは徐々に普及しており、前述のコーヒーショップだけでなく、居酒屋、ラーメン店、焼き肉店などで導入されています。

増える飲食系サブスク

しかし、この飲食系のサブスク市場が順調に成長しているかというと、そうとは言い切れないのです。

前述のデジタル配信サービスと比べると飲食系サブスクは消費者への認知度が低く、利用者も思ったほどには伸びていません。

この飲食系サブスクは、配信サービスと同じ定額制の仕組みではありますが、その店舗のメニューの中でどの商品を対象とするのか、月額制にするか年額制にするか、利用できる時間をどうするかなど課題が多いのです。

例えば、居酒屋で全てのメニューを定額食べ放題、飲み放題とすることは事実上不可能です。

収益を上げることができなければビジネスとして成立しないわけですから、収益を上げることができる仕組みを作ることが必要なのです。

また飲食系サブスクを導入する際に、新規の顧客獲得ばかりに注力しているケースが多くみられますが、これにも大きな問題があります。

そもそも店舗を構える飲食店には、新しく立ち上げられた店舗でない限り少なからず常連客が存在しているはずです。

この常連客を無視するようなサービスの導入は、常連客の離脱を招くことに繋がります。

飲食店において、まず重要視すべきは常連客であり、長く懇意にしてくれている常連客を囲い込むことが重要なのです。

サブスクサービスの導入で常連客をさらに囲い込むことができれば、それは結果として新規の顧客の獲得にも繋がっていくのです。

飲食系サブスクを成功させるには?

飲食店がサブスクを導入することで得られる最も大きなメリットは顧客のデータを収集できることです。

飲食店は常連客を把握しているように思われていますが、飲食店を利用するのに会員登録などはありませんので、店側は常連客の名前や連絡先などを知らないことがほとんどです。

しかしサブスクを導入することで、この常連客のデータを収集することができるのです。

これまでは常連客が来店してくれるのは、常連客次第であったのが、連絡先を知ることで様々なメッセージを伝えることが可能となり、再来店を促すことができるようになるのです。

これは飲食店にとって非常に重要となるメリットであり、このデータを最大限に活用することで常連客を何重にも囲い込むことが可能となるのです。

そして、これまで利用してくれている常連客を満足させ囲い込むことができるサービスをしていれば、新規に顧客を取り込むことも可能なのです。

飲食系サブスクの成功事例

この常連客囲い込みのサブスクサービスを導入し、成功を収めている企業も実際に存在しています。

その企業はラーメンチェーンを展開していますが、サブスクサービスを導入することで常連客を囲い込み、さらに新規の顧客を増やすことに成功しています。

そのサービスとは、月額500円で1皿200円の餃子が1日3回まで無料で食べることができるというものです。

これには350円以上の商品を一緒に注文するという条件がありますが、そもそも餃子1皿のみを注文する人はあまりいませんので、これは大きな問題とななりません。

それどころか、会員数は大幅に増加を続けているのです。

これにより、店舗側は月々安定した収入を得ることが可能となる上に、必ず350円以上の収入を得ることができます。

1日に何度も来店され、餃子を食べる回数が増えれば店舗側が損をしてしまうことにもなりますが、それよりもサブスクを導入することにより会員数が増え、来店客が増えることのほうが重要なのです。

ただし、これはチェーン店ならではの方法であり、小規模な飲食店では損益のほうが大きくなってしまうことも考えられます。

同じラーメン店であっても、その店の規模によって導入の方法に工夫が必要です。

まとめ

サブスク市場が成長するにつれ様々な業種が市場に参入してきています。

しかし、すべての業種が同じ仕組みを導入できるわけではありません。

特に店舗を構える飲食店がサブスクサービスを導入する場合には、他の業種よりも問題となる点が多いのです。

この問題を解決しなくては、飲食店はサブスクを成功させることはできません。

今回説明したように、まずは、自身の店舗の常連客にとってどのようなサービスが望ましいのか、どうすれば常連客を満足させることができるのかを考えることが重要なのです。