サブスクリプションは、近年著しい成長を遂げているビジネスモデルです。
現在も多くの企業がサブスクリプション市場に進出していますが、失敗に終わるケースも増えてきています。
この失敗の原因はいろいろありますが、共通しているのは、顧客の視点で考えるというサブスクリプションの特徴を正しく理解していないと言うことなのです。
そこで今回の記事では、サブスクリプションにおける顧客視点について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスクリプションとは、従来の商品やサービスに対し代金を支払う売り切り型のビジネスとは異なり、商品やサービスを利用する期間に対し代金を支払うビジネスモデルです。
基本的な仕組みは定額制のサービスと変わりありませんが、より顧客のライフスタイルに根付き、サービス内容も充実しています。
代表的なサービスとして、音楽配信、動画配信などが広く認知されていますが、現在ではあらゆる分野から様々なサービスが提供されています。
現在でもサブスクリプション市場に進出する企業は後を絶たず、市場は拡大化を続けています。
しかし、このサブスクリプションと言うのは、サービスを提供する側の間では幅広く認知されていますが、顧客側ではそれほど広く認知されていないと言うのが現状であり、両者には温度差があるのです。
そのため、顧客は限られてしまい、市場が拡大化するにつれ、その顧客を奪い合うような状況になっているのです。
このような状況のため、顧客を獲得できない、もしくは、獲得できたとして維持できないサブスクリプションサービスが増加しており、サービスからの撤退や休止なども増えてきています。
しかし、その中でも、実際に顧客を獲得し成功している企業は存在しています。
そして、そのサブスクリプションサービスで成功している企業には大きな共通点があり、その共通点と言うのが顧客視点を徹底しているという点なのです。
そもそも、サブスクリプションサービスは、顧客に継続して利用してもらうことで収益を上げていくビジネスであり、そのためには、顧客重視が前提となります。
しかし、サブスクリプションに参入してくる企業の中には、その点を理解していないケースが多いのです。
従来のビジネスでは、顧客を「関東在住20代女性」と言うように大きくカテゴリー分けしていました。
しかし、この分類は範囲が広すぎ、同じカテゴリーの顧客であっても、ライフスタイルや関心、興味などそのニーズは大きく異なってしまうのです。
従来の売り切り型のビジネスであれば、この程度のカテゴライズでも問題はなかったのですが、サブスクリプションではこれは通用しないのです。
サブスクリプションでは、顧客一人一人のニーズに合わせ商品やサービスを提供して行きます。
顧客のニーズが変わってもそれに対応することで、できる限り長く関係を継続していかなければならないのです。
この徹底した顧客視点がサブスクリプションの特徴であり、従来のビジネスとの大きな違いでもあるのです。
このことを正しく理解しなければ、サブスクリプションにおいて成功することなどできないのです。
従来のビジネスから、サブスクリプションに移行するためには、顧客が何を求めていて、その顧客にどのような価値を提供できるかを考えることが必要です。
自社の商品が顧客にとってどのような価値があり、どのような時に必要とされているのかを追求するのです。
現在のサブスクリプションサービスの中には、この点をないがしろにし、利益ばかりを求めているケースが多くあります。
一部では、商品の代金だけを月額払いにすると言うサブスクリプションも存在していますが、これは単なる商品の分割払いにすぎません。
従来のビジネスの延長でしかないサービスを、課金方法を変えただけでサブスクリプションと銘打って行っているのです。
これでは、顧客が継続して利用してくれるわけもなく、ビジネスとして成功するわけもないのです。
また、商品開発の段階においても、意識を変えていく必要があります。
これまでメーカーは、大多数の消費者が求めているであろうと予測して商品を開発してきました。
しかし、本来、商品とは購入する消費者のためのものであるべきで、その消費者の実際の声を聞かずに、消費者が満足する商品を作り出すことはできないのです。
サブスクリプションでは、顧客の声を聞き、顧客が求める商品を提供し、そして、さらにその商品を顧客のニーズに合わせて改良し続けていくことが求められます。
どんなメーカーも原点に返れば、顧客の声を反映した商品作りを行ってきたはずです。
それが、商品が大量に生産、販売されていく中でそれを忘れ、顧客と接点を持つことさえなくなっていってしまったのです。
そして、以前のように商品が売れなくなっている現状では、商品を作り始めた原点に回帰し、顧客に寄り添う姿勢が強く求められているのです。
上記のように、サブスクリプションで成功するには、全てを顧客の視点から考えることが重要となります。
顧客それぞれのニーズを詳細に把握し、それに沿ったサービスを提供し続けなければならないのです。
これは、顧客が実際に利用する商品やサービスだけではなく、顧客との契約全体に言えることです。
顧客にはそれぞれの事情があり、繁忙期にはサービスを利用する機会が減ることもあります。
提供者側は、このような顧客の事情をすぐに把握し、料金プランの変更や一時休止などを、すぐに提案していくのです。
これにより、利用は一時的に止まるかもしれませんが、解約は防ぐことができますし、事情が変わった場合には、再度プランを変更してくれる可能性が高くなります。
顧客の事情を見て見ぬふりをして収益を上げるよりも、顧客に寄り添い、顧客にとって良い方向に導くことの方が、サブスクリプションにおいては、収益の向上に繋がっていくのです。
現在のサブスクリプション市場には、さまざまなサービスが溢れていますが、すべてがサブスクリプションの顧客重視と言う本質を理解しているわけではありません。
ただ流れに乗り、サブスクリプションの名前だけを冠した、質の悪いサービスも存在しているのです。
そういったサービスは顧客に支持されるわけはなく、遅かれ早かれ淘汰されて行くのが必然です。
そのような状況にならないようにするためには、徹底した顧客重視と言うサブスクリプションの本質を正しく理解することが大切なのです。