現在のビジネスでは、新規の顧客を獲得することに注力するよりも、既存の顧客を維持していく事のほうが重要と考えられるようになっています。
これは、どのようなビジネスでも同様ですが、特にサブスクのような収益構造のビジネスにおいては欠かせない事と考えられています。
そして、そのために、多くの企業が実践しているのが顧客を逃がさないように囲い込む、囲い込み戦略と言う手法なのです。
そこで今回の記事では、サブスクにおいて重要となる囲い込み戦略について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
囲い込み戦略とは、新しく獲得した顧客が他のサービスなどに流失することがないように、顧客との関係性を構築し、顧客を囲い込んで逃さないようにするマーケティングにおける戦略のことを指しています。
この囲い込み戦略には、LTV(LifeTimeValue・ライフタイムバリュー)の考え方が根底にあります。
このLTVとは、顧客生涯価値と訳され、一人の顧客から生涯に渡って得ることができる利益のことを表しています。
分かりやすく言うと、顧客の初めの取引から最後の取引までに、どれだけの利益が生み出されるのかを計算するものです。
このLTVが、現在のビジネスにおいて重要視されるようになったのは、これまでのようにモノが売れなくなっている市場の現状があります。
これまでのビジネスでは、顧客とは一度限りの購買の関係で終わっていました。
モノが大量に生産され、大量に消費されている時代では、それが一般的なことであったのです。
しかし、現在は、そのように大量に生産されたモノに対し、多くの消費者が関心を持たなくなっており、モノが売れなくなっているのです。
その状況の中では、一度限りではなく、長く継続して顧客との関係を築くことが必要であり、それゆえに、このLTVが重要とされるようになったのです。
そして、そのLTVを高めるために注目されているのが、囲い込み戦略なのです。
そして、この囲い込み戦略が最も必要とされているのが、これまでとは異なる収益構造であるサブスクビジネスなのです。
サブスクは、これまでのビジネスとは異なり、長く継続して利用してもらうことにより、収益を上げていくことができるビジネスです。
つまり、収益を上げるためには、長く利用してもらわなければならず、そのためには、この戦略が欠かせない手法であるのです。
サブスクにおいて、この囲い込み戦略を実践するには、その前に、この戦略がビジネスにおいて、どれだけ重要であるかを知ることが必要です。
そして、それを明確に示しているのが以下のパレートの法則、5:25の法則と言う2つの法則なのです。
パレートの法則は、8:2の法則とも呼ばれる経験則です。
この法則は、全体の数値のうちの8割は、全体を構成している要素のうちの2割の要素が生み出しているということを示しています。
あらゆる場面で見られる法則であり、ビジネスにおいても応用することが可能で、マーケティングにもよく活用されています。
例えば、マーケティングにおいてこの法則を当てはめた場合、全体の売上の8割は、上位2割の優良顧客が生み出しているとなります。
これから分かるのは、この上位2割の優良顧客がいかに重要であるかと言うことです。
この優良顧客だけで売上の8割を満たすわけですから、これを逃してしまえば、そのビジネスは成り立たなくなることも考えられるのです。
5:25の法則は、新規の顧客を獲得するためにかかるコストは、既存の顧客を維持するためにかかるコストの5倍かかると言う1:5の法則から、さらに踏み込んだもので、顧客の離脱を5%止めることができれば、売上が25%改善すると言うことを表す法則となります。
これは、顧客の離脱を防ぐことに注力すれば、その5倍もの見返りがあるということです。
これから分かるのは、新規の顧客にコストを掛けるよりも、現在持っている顧客を大切にし、繋ぎ止めることに注力することが重要であるということです。
これらの2つの法則が示しているのは、新規の顧客を獲得することに注力するのではなく、獲得した顧客を逃がさないように大切にすることがビジネスにおいて重要であると言うことです。
そして、そのためには、顧客を囲い込むことが必要であり、その戦略を実践していくことが重要となるのです。
現代は、消費者のニーズが大きく変化し、モノが売れない時代と言われています。
そして、それに伴い、ビジネスの在り方も大きく変化しているのです。
その中で、重要と考えられるようになっているのが、顧客との関係性を構築し、長く利用してもらうことです。
特に、これはサブスクビジネスでは最も重要なことと考えられています。
そして、そのために必要とされているのが、今回説明した囲い込み戦略であり、現在のビジネスでは、これを実践することが強く求められているのです。