サブスクリプションビジネスで、潜在ニーズを発掘するための「エスノグラフィー」

モノよりコト、所有より利用、という消費者の価値観の変化や、シェアリングエコノミーが浸透している中、サブスクリプションビジネスの拡大が続いています。

今、サブスクリプションビジネスは、法人向けや個人向けを問わず、様々な業種がサブスクリプションビジネスの導入を始めているのです。

サブスクリプションビジネスを行うことで、継続的な収益を見込むことができること、新規顧客を獲得しやすいこと、顧客分析により新しいサービスを開発しやすいことが、企業のメリットとなるでしょう。

サブスクリプションビジネスにおいて、マーケティングリサーチを行うかと思いますが、その際、よく用いられる定性調査としては、グループインタビューやデプスインタビュー、エスノグラフィーなどでしょう。

その中でも今回は、顧客行動観察調査である「エスノグラフィー」に注目してみたいと思います。

サブスクリプションビジネスで潜在ニーズを発掘するための「エスノグラフィー」についてお話させていただきますので、サブスクリプションビジネスでの顧客ニーズに課題を持たれている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

エスノグラフィーとは

エスノグラフィーは、行動観察調査を意味しており、一つの定性調査です。

調査員が、顧客の生活環境に合わせ、顧客と共に行動し、顧客のことをより深く知ることを目的としています。

もともとは、ギリシャ語から由来している言葉であり、もともとは文化人類学や、民族学の分野で用いられた研究手法でした。

この目的は、調査対象となる民族文化を解き明かすことであり、その土地の風習や行動様式などを詳細に記録します。

近年、このエスノグラフィーがビジネスに用いられることが多くなり、新たな課題を発見する手段として考えられるようになったのです。

マーケティングの一種として、潜在意識での顧客の購買行動に基づいて実行されることが多いので、そしてエスノグラフィーにより顧客本人すらも言語化が難しいこと、そして顧客の普段の行動や言動を観察することで、新しいニーズや課題の発見に繋げるのです。

つまり、エスノグラフィーの目的としては、被験者の日常における何気ない言動を観察し、そこから潜在ニーズを探り、意思決定に至るまでの過程を把握することを目的としているのです。

エスノグラフィー実施方法

エスノグラフィーを実施する方法としては、まず調査設計を行い、調査対象者を募集し、その中から選定していきます。

そして調査を実施し、その調査結果の認識を合わせていき、調査結果の集計を行いレポーティングを行いましょう。

調査の目的に合わせてどのような調査対象者を選定するのか、どのような生活状況に寄り添うのか、得たデータはどのように活用するか、ということを明確に定め、いかに深層心理に近づくことができるか、ということを考えます。

エスノグラフィーの結果は、新商品や新サービスのアイデアに繋がったり、コンセプトの策定に活用したり、自社のペルソナ像を明らかにしたりと、さまざまなマーケティング活動に役に立てることができます。

エスノグラフィーのメリット

エスノグラフィーを行うことで得ることができるメリットは3つあります

まず1つ目は、リアリティのある多くの情報に出会うことができる、ということでしょう。

特に消費者の生活に密接に関わる商品やサービスであればあるほど、実際に生活ではどのような利用の仕方をされているのか、消費者の生活や環境を目で確認し、課題改善や強みを確認することができるのです。

そして2つ目は、潜在ニーズや新しい仮説を発見することができることです。

エスノグラフィーは、固定概念にとらわれませんので、事業者も新しい視点を持って、潜在ニーズや新たな仮説を発見することができます。

企業視点では見つけることができない、消費者が実際に利用してみなければ分からなかったことなどを初めて気づくきっかけにもなるのです。

3つ目は、消費行動に至る背景を理解することができるということでしょう。

商品やサービスの評価はすべて「売り上げ」に表れます。

ですがもし売り上げが良い場合でも悪い場合でも、なぜ購入に至ったのか、それとも至らなかったのかという背景は、顧客心理を読み取り、想像しなければなりません。

エスノグラフィーを行うことで、消費者がその商品やサービスをどのように利用しているのか、そしてなぜ利用しているのか、ということを消費者行動に置かれている環境により、さらに具体化して理解することができるのです。

まとめ

以上、サブスクリプションビジネスで、潜在ニーズを発掘するための「エスノグラフィー」についてお話させていただきました。

エスノグラフィーは、事業者が顧客と同じ環境に身を置くことで、通常のインタビューなどでは見つけることができない、潜在的な顧客ニーズを見つけることができます。

今の時代のサブスクリプションビジネスでは、この潜在ニーズを知り、商品やサービスを提供することが非常に重要ですので、ぜひ活用してくださいね。