サブスクサービスは、今では知らない人がいないと言うほど認知されているサービスであり、あらゆるジャンルからサービスが提供されています。
その中でも、最近注目度を高めているのが、食品のサブスクサービスです。
しかし、食品を商品として扱う場合には、他とは異なる問題があり、事前に十分な対策が必要となるのです。
そこで今回の記事では、食品サブスクの問題点について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスクリプションサービスは、近年急速に成長し、現在では消費者の生活に広く浸透しています。
このサブスクサービスは、もともとはソフトウェアや音楽配信などのデジタル配信サービスから始まったサービスですが、現在ではあらゆるジャンルのサービスが提供されています。
このサービスは一般的には、一定の金額を支払うことで、一定の期間サービスを利用できる権利を得ると言う、いわゆる定額制の仕組みとして認知されていますが、サービスの形態は他にもいくつかの種類があります。
代表的なものとして、月額の利用料を支払うことで、定期的に商品が届けられる定期購入型や頒布会型、サービスを利用した分だけの利用料を支払う従量課金型などが良く知られています。
このようにサブスクビジネスが成長すると伴に、サブスクサービスの利用者も順調に増加しています。
特に支持が高いのは、デジタル配信サービスではありますが、アパレル商品や化粧品、雑貨や花などのサービスも人気を集めています。
その中で、現在注目されているのが食品を取り扱うサブスクサービスです。
スイーツから野菜、ミールキットなど様々な種類のサービスが提供されていますが、食品サブスクには、他のサブスクとは異なる問題があるのも事実なのです。
その問題と言うのが、食品の管理の問題です。
常温で管理できる食品であれば、通常のサブスクと同様、問題はありませんが、生鮮食品など冷蔵や冷凍管理が必要な食品を取り扱う場合、他のサービスよりも多くの問題が生じてしまうのです。
そもそも、サブスクサービスは、契約者の数が常に一定なわけではありません。
その月ごとに新規の契約があれば解約もあるため、在庫の管理が難しいのです。
また、月に一度定期的に発送する仕組みであるサブスクサービスの場合、商品が欠品することは考えられないことであることも、在庫管理を難しくしている要因です。
例えば、月に一度食品を発送するサブスクサービスの場合、1000人の契約があれば、1000個丁度ではなく、余剰在庫を確保しておく必要があります。
しかし、発注の時点で契約者が1000人であっても、配送する頃には100人が解約しているということも起こり得るのです。
そうなった場合、100個プラス余剰在庫は必要が無くなってしまいます。
これが、食品でなければそれほど問題はないですが、商品として販売できる期限がある食品の場合、長期間保管することは不可能です。
結果的に、その商品は廃棄となる可能性が高く、膨大なロスが発生してしまうことになるのです。
この食品管理の問題は、事業が拡大化するほど大きくなります。
管理する商品の数が増えれば管理体制も拡大していく必要があるのです。
そして、その管理体制を変えるためには、膨大なコストがかかりますし、専門知識のある人材の確保も必要となるのです。
つまり、事業の規模が小さいうちは、食品の管理や物流までを自社内で内製することも可能ですが、規模が大きくなるほど、自社運営は難しくなるのです。
もちろん、潤沢な予算があれば自社内に専門の部署を設置することや物流倉庫を設けることもできますが、余裕がない場合には事前に対策を練っておく必要があります。
これらの商品の管理の問題をクリアできたとしても、最後に問題となるのが配送です。
食品は、管理された状態を保ちながら配送する必要があります。
特に、生ものの場合は、冷蔵・冷凍便を利用しなければなりませんので、配送コストが高額になります。
この配送料は、注文した消費者側に負担してもらうことになりますが、一般的に消費者は配送料を負担することを嫌がる傾向が高く、配送料が高くなれば注文を避けるケースも出てくるのです。
しかし、冷蔵、冷凍便の配送コストを下げることができるのは、自社で大規模な物流拠点を持ち、専用の配送車を持つことができる大企業だけです。
小規模な事業者の場合、購入金額によって、自社で配送料を負担すると言った対策をとることしかできないのです。
この配送料の自社負担は、多くの事業者が行っていますが、冷蔵、冷凍便を利用する場合、その多くが金額を高めに設定しています。
例えば、5000円以上で通常送料無料、10000円以上でクール便送料無料と言ったように、高めに制限を設けているのです。
商品の単価が高い場合や商品の種類が豊富な場合には、この設定金額でもさほど問題はないですが、単価が安い食品を扱っている場合や、商品の種類が少ない場合には、設定金額が高すぎることで利用を避けるケースが多くなってしまうのです。
このように、食品を取り扱うサブスクサービスには問題が多く、現在展開している食品サブスクは、そのほとんどが潤沢な予算を持つ企業が運営しています。
小さな事業者が、これらの問題を解決するには、相応の予算を確保するか、小さな規模で事業を行っていくしか方法がありません。
つまり、食品を取り扱いたいが予算がない場合には、商品の種類を減らし少数精鋭で勝負する、温度管理のいらない商材を取り扱うと言った方法しか選択することができないのです。