サブスクビジネスは、安定した収益を得ることが可能であり、簡単に成功できるビジネスと考えられている向きがあります。
しかし、実際には、失敗しているサービスが多く、成功していると言えるサービスはそれほど多くないのです。
これは、利益を求めて、安易に参入する企業が多いのも一つの要因です。
そこで今回の記事では、儲けを求めるサブスクが成功できない理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
ビジネスにおいて、利益を求めることは当たり前の事です。
利益を上げていかなければ、事業が成り立たないですし、特に日本は、他の国と比べて利益を求める傾向が高いと言われています。
これは、どのような業種であっても同様であり、新しく立ち上げたばかりのビジネスであっても、日本では早急な黒字化が強く求められるのです。
そのため、新しいビジネスモデルであるサブスクビジネスにおいても、多くの企業が、まず利益を上げることに注力しているのです。
しかし、サブスクビジネスは、これまでとは異なる収益構造であり、収益化するまでには時間がかかります。
サブスクサービスと言うのは、一つ一つ商品を購入するために料金を払うのではなく、一定の期間そのサービスを利用する権利を得るために、定期的に定められた料金を支払う仕組みです。
つまり、サービスを提供する側は、利用者から定期的に安定した収益を得ることができるのです。
ただし、これは、利用者をある程度集めることができればの話です。
サブスクのような課金の仕組みの場合、これまでのような売り切り型のビジネスよりも、利用者を集めるコストが高くなると言われており、安定した収益を得ることができるほどの利用者を集めるためには、多額のコストがかかります。
そして、そのかかったコストを長期的に回収していくことが求められるのです。
そのため、獲得した利用者には、できる限り長く継続して利用してもらわなくてはなりません。
初期投資にかかったコストを回収するためには、利用者が課金を続けることが前提となるのです。
もし、この利用者が短期間で解約してしまった場合、初期投資が回収できずに損失となり、この損失は、解約者が増えれば増えるほど大きくなるのです。
このように、サブスクビジネスは、顧客を獲得するために多額の初期投資が必要であり、顧客を集めてからもその初期投資を回収していかなくてはならないのです。
これは、サービスを提供し始めてからしばらくの間は赤字が続くということです。
この期間を乗り切り、顧客を定着させることができれば、それだけ利益率は大きくなっていきますが、サブスクサービスがこれだけ増えてしまうと、顧客を定着させることは非常に困難なのです。
上記の事から分かるのは、サブスクビジネスは、簡単に利益を上げることができるビジネスではないと言うことです。
それにもかかわらず、サブスク市場は日々拡大を続け、続々と新たなサービスが誕生しています。
これは、顧客を集めることができれば、収益を安定させることができるという点だけが、クローズアップされてしまっていることも原因の一つと言えます。
顧客を集めることもそうですが、顧客を定着させることが、どれほど難しいことかを理解していないのです。
現在のサブスク市場で、顧客を定着させ、収益を安定させて、成功しているサービスはそれほど多くありません。
ほとんどのサービスが、まず集客に苦戦し、さらに、せっかく集めた顧客の解約率の高さに頭を悩ませています。
そのために、解約方法を複雑化することで、解約を阻止しようとするサービスが増えていると言う問題も出てきているのです。
しかし、顧客を定着させたいのであれば、そのような方法は逆効果です。
どれほど解約方法を複雑化しても、結局はその顧客は解約してしまいます。
そして、解約の際に不快な思いをした顧客は、そのサービスを利用することは二度とありませんし、さらに、SNSなどを通して、その経験を第三者に伝えることも考えられるのです。
そのような顧客が増えれば、そのサービスを利用する人は減っていくだけなのです。
では、顧客を定着させるには、どうしたら良いのかと言うと、それは、顧客の視点に立ち、徹底して顧客を重視していく事なのです。
これは、解約の際でも同じです。
解約は、企業にとって望ましいことではありませんが、顧客の意思であるからには、快く受け入れる必要があるのです。
そして、顧客は、気持ちよく解約をすることができれば、また必要となった場合に、そのサービスを利用してくれる可能性が高くなるのです。
このように、サブスクのような、長く利用してもらうことで収益を上げていくビジネスでは、まず、第一に考えるべきは、利益を求める事ではなく、顧客を満足させることなのです。
顧客は、サービスの内容や対応に満足することができれば、継続して利用してくれます。
しかし、目先の利益を求めて、解約を複雑化するなどの策を取れば、それは顧客の不満につながり、結果として、顧客を逃がしてしまうと言う損失に繋がるのです。
つまり、サブスクビジネスは、第一に利益を求めていては、成功することができないのです。