今、多くの企業が導入を始めているサブスクリプションビジネスは、企業が顧客に対して一定期間商品やサービスを提供し、月単位、もしくは年単位での利用料金を回収する仕組みです。
サブスクリプションサービスが拡大し始めた当初は、音楽や動画、電子書籍などのデジタル商材が非常に多かったのですが、今は製造業や小売業などでも新しいビジネス形態のひとつとして、サブスクリプションサービスを提供する企業が多くなっているのです。
現代の消費者の価値観が、モノの価値を所有することではなく、モノの価値を気軽に利用することができることに変わっていることこそ、サブスクリプション市場を拡大させている大きな要因でしょう。
サブスクリプションビジネスを長期的に継続させるとなると、自社商品やサービスに対する顧客満足度が常に高い状態でなければなりません。
そのためには本当の顧客ニーズに適した商品やサービスを提供することが最重要です。
自社のターゲットとなる顧客はどのような人で、どのような課題を持ち、どのように解決したいのか、ということを調査することが重要です。
一般消費者に対するアンケート調査で実施される機会が最も多いものが「スクリーニング調査」でしょう。
そこで今回は、サブスクリプションビジネスの役に立つ「スクリーニング調査」について、詳しくお話させていただきたいと思います。
サブスクリプションビジネスを成功させたい、と思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
スクリーニングとは、選別という意味があり、「〇〇を対象として調査する」ことを目的とした際の「〇〇」に該当する顧客を探し出すこと、大勢の母集団の中から特定の条件に当てはまる対象者を絞り込むために実施する調査のことを、スクリーニング調査と言います。
「〇〇」に当てはまらない消費者がスクリーニング調査に参加し、対象のアンケートに答えたとしても、そこで集められたデータは自社が求めているデータではありません。
どの段階でも「〇〇」に当てはまるか、それとも当てはまらないのか、という選別をしなければなりません。
スクリーニング調査は、メインの調査に進むべきモニターを選定することを目的としているため、メインの調査前に行われますので、事前調査、またはプレ調査とも呼ばれています。
メイン調査とは、調査対象「〇〇」から情報を得たい場合の調査のことを言います。
商品やサービスを普段から購入している人の消費行動を調査するために、アンケート内容としては、商品やサービスに対する満足や不満足、実際の使用方法などが必要でしょう。
「〇〇」を対象とし、その条件が細かければ細かいほど、スクリーニング調査の設問数は多くなります。
スクリーニング調査を行うメリットは、メインの調査に適したモニターを狙い、調査を行いますうので比較的容易に進めることができること、そして対象者が絞られていますので、調査コストを削減することができることでしょう。
調査対象者に対しての謝礼は、アンケートの回答に必要になった時間、そして設問数、労力に応じて決めましょう。
メイン調査の対象外者には、スクリーニング調査段階で調査終了とし、それ以上アンケートを進めませんので、スクリーニング調査までの謝礼を支払い、メイン調査回答者には、スクリーニング調査とメイン調査を合わせた謝礼を支払いましょう。
スクリーニング調査を実施することで、対象者全員に調査に協力してもらう必要がなくなりますので、コストを削減することができるのです。
スクリーニング調査は非常にメリットが多い調査方法なのですが、実施する際には、いくつか注意すべきことがあります。
まずは、抽出に使わない設問は控えることです。
スクリーニング調査はメイン調査の対象者となる人物を選定することを目的としていますので、必然的に調査協力者が回答するアンケートの多くをスクリーニング調査が占めることになるでしょう。
スクリーニング調査の質問数が多い場合は、回答にかかる負荷が重く、さらに謝礼が安いとなると、労力に見合っていないと考えられ、非アクティブ化や退会の要因になってしまいますので、原則としては抽出に使用しない質問は、メイン調査で尋ねましょう。
そして、スクリーニング調査では、メイン調査の対象となる条件を明確に定義付けなければなりませんので、
「はい、いいえ」のクローズドクエスチョンでは、興味の度合いに差が出来てしまい、回答結果は一緒になり、メイン調査の対象者になるか、という基準が不明確になってしまいますので、メイン調査の目的を明確にした上で、可能な限り詳細に条件を定義し、質問を設問しましょう。
そして、十分なサンプル数を確保することも重要です。
スクリーニング調査への協力を集団依頼し、実際に一定数の回答率がある場合、さらにそこからメインの調査対象となる出現率の割合は、当然少なくなっていきます。
調査の回答率は、依頼時のメール開封率や謝礼の金額によって異なりますが、メイン調査の条件を厳しくすればするほど、サンプル数を確保することは難しくなるでしょう。
条件を明確にし、十分な母数を確保するというバランスが非常に重要なのです。
以上、サブスクリプションビジネスの役に立つ「スクリーニング調査」について、詳しくお話させていただきました。
スクリーニング調査を行うことは、サブスクリプション企業にとっては、知りたい情報を効率よく得ることができる有益な手段の一つなのですが、回答者側への配慮も忘れてはいけません。
回答者に負荷をかけないような設問を意識したスクリーニング調査で、サブスクリプションビジネスに有益な情報を得てくださいね。