サブスクリプションは、今や、誰もが知るサービスとなり、日々、続々と新たなサービスが誕生し続けています。
代表的なのはデジタル配信サービスですが、最近では、モノを扱うサブスクサービスも増加してきています。
しかし、現在でもサブスクサービスで高い支持を得ているのは、そのほとんどがデジタル配信サービスです。
モノのサブスクサービスで人気を集めているサービスもありますが、その多くが集客に苦戦しているのです。
そこで今回の記事では、モノのサブスクの成功が難しい理由について説明したいと思います。
サブスクリプションとは、商品やサービスごとに代金を支払うのではなく、商品やサービスを一定の期間利用する権利を得るために、定期的に代金を支払う仕組みのビジネスモデルです。
消費者は契約した期間中は、商品やサービスを自由に利用することができますが、契約期間の終了と同時に利用することができなくなります。
このサービスは、コンピューター用のソフトウェアから導入され、動画、音楽、書籍などの配信サービスに広まり、人気を得ました。
現在でも、これらの配信サービスは高い支持を得ていますが、他の分野においてもサブスクリプションを導入するサービスが増加しています。
その中で、特に注目されているのが、モノを取り扱うサブスクサービスです。
その分野は、日に日に広がりを見せており、日用品や雑貨、食料品などから、アパレル商品、化粧品、家具、インテリア、おもちゃ、果ては自動車に至るまで、あらゆるモノがサブスク化しているのです。
そして、現在もこのモノのサブスクは続々と増加しています。
しかし、このモノのサブスクがビジネスとして成功しているかというと、そうとも言い切れません。
実際に、成功しているモノのサブスクも存在していますが、多くが苦戦しているのです。
そもそもサブスクは、前述のソフトウェアや動画などのデジタル配信サービスのように、デジタルを利用することで収益を上げていくビジネスです。
デジタル配信サービスであれば、提供するコンテンツに一定のコストをかければ、その後顧客が何人増えようとコストが増えることはありません。
それ故に、顧客を集めれば集めるほど収益を上げることができるのです。
一方、モノを取り扱う場合、そのモノにはコストがかかりますから、顧客が増えれば、その顧客一人一人に対しコストが発生することになります。
モノを扱うサブスクでは、このモノのコストが発生するために、利益を回収するために時間がかかることになるのです。
取り扱うモノの原価や単価が安ければ、回収期間も短くはなりますが、原価や単価が高いモノを扱う場合には、相当な時間がかかることを覚悟しなくてはならないのです。
サービスを提供している企業が、この長い回収期間を持ちこたえることができるのであれば問題はありませんが、現状ではそれができない企業が多いのです。
ただし、先ほども述べたように、成功しているモノのサブスクも存在しています。
その成功事例として良く取り上げられるのが、高級バックのレンタルサブスクサービス「ラクサス」です。
ラクサスは、2015年とモノのサブスクとしては早期に開始されたサービスですが、現在でもその人気は衰えていません。
サービスの内容は、エルメスやルイヴィトン、シャネル、プラダなど誰もが知っているような高級ブランドのバックを、月額使用料を払うと借り放題できるというサービスです。
このサービスの売りは、月額利用料を払うだけで、送料などの追加料金を支払うことなく、何度でも無料で交換ができること、さらに返却期限が無いということです。
現代の消費者は、モノが溢れる時代に在り、モノを選ぶことに疲弊しています。
消費者がECでモノを購入する場合、いろいろなサイトを閲覧し、値段や機能などを比較し、少しでもお得なモノ、良いモノを購入しようと考えますが、この状況に多くの消費者が疲れてしまっているのです。
このサービスでは、この選ぶ苦しみを軽減することが可能なのです。
このサービスを利用する消費者は、高いお金を出して高級バックを購入する必要はありません。
高級バックを好きな時に利用するのですから、値段や機能などを比較する必要もなく、好みのモノを選ぶだけで良いのです。
この選ぶ苦しみが無くなるということが多くの消費者に受け、高い支持を得ることに成功したのです。
また、このようなレンタルサービスでは、期限内に返却しなくてはならないという義務感に捉われることが多く、それに不満を抱く消費者が多くいました。
そのため、このサービスでは、このような消費者の不満を解消するために、返却期限をなくしたのです。
これにより、さらにこのサービスは消費者の支持を得ることができたのです。
このサービスが成功した大きな理由は、長く継続して利用してもらうために、利用者の不満を解消し続けているという点にあります。
前述のように、モノを扱う場合にはコストが発生します。
このサービスの場合、顧客が満足する種類の高級バックを揃えるのにはかなりのコストをかけているわけです。
これを月額利用料で回収していくのは時間がかかります。
そのため、利用者にはできる限り長くサービスを利用してもらわなくてはならないのです。
このサービスでは、利用者の平均継続率が90%以上にも達しており、利用者の長期間の継続利用を成功させているのです。
サブスクは、利用者に長く利用してもらうために、常に良質なサービスを提供し続けなければならないビジネスです。
ラクサスは、このサブスクの本質を理解し、常に利用者のために利用者が不満を感じないサービスを提供し続け、それにより圧倒的な支持を得ることに成功しているのです。
モノを扱うサブスクは、デジタル配信とは異なり、コストがかかるために収益を上げるまでに時間がかかってしまいます。
そのため、多くのモノのサブスクが苦戦しているのですが、中には今回説明したように、成功している事例もあるのです。
これからモノのサブスクで成功したいのであれば、このような成功事例を参考にすることが重要です。
サブスクの本質である、常に顧客のためにより良いサービスを提供し続けることができれば、モノを扱うサブスクでも成功を収めることは可能となるのです。