サブスクビジネスにおける成否の分かれ目

サブスクビジネスは、失敗するケースも多く、誰でも簡単に成功できるわけではありません。

しかし、その中で、実際に成功し、多くの顧客を集めているサービスも存在しています。

では、この失敗するサービスと成功するサービスには、どのような違いがあるのでしょうか。

サブスクビジネスで成功するためには、この両者の違いを正しく理解する必要があるのです。

そこで今回の記事では、サブスクビジネスにおける成否の分かれ目について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

コロナ禍で成長するサブスクビジネス

一昨年より続くコロナ禍において、多くの業種がダメージを受けている中で、サブスクビジネスは、反対に、良い方向に影響を受けています。

このビジネスは、10年ほど前にアメリカで誕生し、世界中に広く普及しました。

日本においても、ここ数年の間に、大きく成長しており、そして、それがこのコロナ禍でさらなる成長を遂げているのです。

このように、サブスク市場は大きく成長し、成功するサービスも出てきています。

しかし、その一方で、多くのサービスが集客に苦戦しており、中には、短期間で撤退するケースもあるのです。

その多くは、新しく立ち上げられた企業が提供しているサービスですが、一般に広く名の知られた大手企業が提供したサービスであっても、失敗しているケースはあるのです。

つまり、サブスクビジネスは、大手企業のように、資金に余裕があり、高い認知度があっても、簡単に成功できるわけではないのです。

サブスクビジネスの成否の分かれ目

実際にサブスクビジネスで成功した例として、良く取り上げられるのが、アドビシステムズのサービスです。

このサービスは、サブスクを導入する以前は、アップデートの度に買い替えを行う必要がある、一般的な売り切り型の仕組みでした。

この仕組みであっても、多くの顧客を抱えていましたが、サブスクビジネスの流行を受けて、ビジネスモデルの転換を決意します。

そして、それまでの仕組みを5年もの時間をかけてサブスク型に移行させたのです。

これが功を奏し、このサービスはそれまで以上の顧客を集めることに成功します。

その成功の理由は、既存の顧客が新しい仕組みを受け入れやすいように、時間をかけたことです。

突然サービスの仕組みが変わると言うのは、それまで利用していた顧客にとっては受け入れがたいことであり、顧客との信頼関係にも大きな影響を与えます。

その新しいサービスが、顧客にとってメリットが多いとしても、信頼を損なうことに繋がる可能性があるのです。

その顧客の心理を理解していたために、このサービスは、十分な時間をかけることを選択したのです。

そして、実際に、新しいサービスが顧客にとってメリットが多いものであったため、スムーズに移行することができ、さらに、サービスの質の高さから、多くの新しい顧客を集める事ができたのです。

この事例から分かることは、既存の顧客の感情を考えることの重要さです。

新しい仕組みのサービスを提供したとしても、これまで愛用してくれていた顧客から支持してもらえなければ、そのサービスは成功することはできません。

特にサブスクサービスは、長く利用してもらうことで、収益を上げていくビジネスであるため既存の顧客に寄り添うことが強く求められるのです。

一方、失敗したサービスの事例として取り上げられることが多いのが、もともと人気の高かった飲食店のサービスです。

この飲食店では、昨今のサブスク流行の流れに乗り、定額制の食べ放題サービスを提供し始めました。

そして、これが大きな話題となり、あらゆるメディアに取り上げられ、多くの新しい顧客を集めることに成功したのです。

しかし、新規の顧客が急速に増えたために、これまで利用していた顧客が店舗を利用しづらい状況となってしまいます。

その結果、多くの既存の顧客が離れてしまうことになったのです。

飲食店にとって、長く利用してくれている常連顧客は非常に重要であり、大切にしなければならないものです。

それをこのサブスクを導入したことで、失うこととなってしまったのです。

これでは、この飲食店が、この先上手くやっていけるわけはありません。

例え、サブスクによって、多くの新しい顧客を集めていたとしても、単にお得さだけを売りにしたサービスに集まった顧客が、長く利用してくれる可能性はそれほど高いものではないのです。

実際に、この飲食店のサブスクサービスは、短期間で終了しています。

このサービスが失敗に終わった大きな理由は、新規の顧客の開拓に気を取られ、既存の顧客を蔑ろにしたことです。

話題性だけで集まった顧客は、他のサービスが話題となれば、すぐに移行してしまうものです。

この飲食店が、まず考えるべきであったのは、既存の顧客が使いやすいサービスとは何かと言う事だったのです。

サブスクのような長く利用してもらわなければならないビジネスでは、まず、第一に既存の顧客を満足させなければならなかったのです。

まとめ

この2つの事例から言えることは、サブスクビジネスで成否を分けるのは、既存の顧客の扱い方です。

成功しているサービスは、まず、既存の顧客を満足させることを考えています。

一方、失敗したサービスは、まず、新しく顧客を獲得することを考え、その結果として、既存の顧客が離れてしまったのです。

顧客に長く利用してもらうことが必要なサブスクのようなビジネスでは、既存の顧客を逃さないことが重要視されます。

そして、その既存の顧客を大切にすることが、新たに獲得した顧客を定着させることにも繋がるのです。