前回の記事では、日本国内における単品リピート通販誕生の歴史(1879年代〜1970年代)と、通販産業の成長モデルについてお話しました。
今回は1970年代以降代表的な通販会社が市場に参入し、その後テレビ通販やインターネットの台頭によってどのように通販業界が成長・発展したのかお話したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
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単品リピート通販の成長期は1970年代から始まりますが、この時期に通販業務の標準化に大きく貢献したのは1952年にアメリカから日本の通販市場に参入した「リーダーズ・ダイジェスト社」です。
リーダーズ・ダイジェスト社は、リーダーズ=読者、ダイジェスト=要約という名前の通り、当初は様々な媒体の記事をまとめた定期購読雑誌でしたが、その後ダイレクトマーケティングという手法で世界的に通販事業を成功させます。
現在のNAVERまとめや某掲示板のまとめサイトなどをイメージすると当初のリーダーズ・ダイジェストの内容をご理解いただけるかと思います。
広告やメディアを通して企業が顧客と直接につながり、購入や問合せなど具体的なアクションを促し、その反応をデータとして計測するマーケティング手法とも言えますね。
このようなアメリカ流ダイレクトマーケティング技法が、リーダーズ・ダイジェスト社のOB(元社員)により日本の通販各社に広まった結果、成長期の前の幼児期に消費者が抱えていた通販に対する不安が解消されました。
1970年にはフジテレビがテレビ通販を開始し、その後も1971年にCBS・ソニーファミリークラブ(現ライトアップショッピングクラブ)の設立、1972年には西武百貨店とシアーズ・ローバック(現シアーズ・ホールディングス)の提携発表などが相次ぎ、急激に通販産業の発展が進みます。
この当時の通販業界の売上高の伸び率は15%〜20%といわれており、近年の対前年比の伸び率8%前後と比べてもいかに当時の成長の勢いがすごかったのかご理解いただけると思います。
当時ビジネスの世界ではオペレーションとコスト構造(儲けの仕組み、収益の構造)に関心が集まりましたが、消費者の中でも女性の社会進出が進んだ結果、在宅で購入できる点や低価格な点が忙しい女性から支持され、口コミにより通販商品が話題になりました。
この時期は各通販企業がマーケティングを改善していた時期でもあり、コミュニケーションシステムや販売網、マーチャンダイジングなどが改善した結果、現在の通販の形に近いものになりつつありました。
1970年代後半からバブル経済が崩壊する1990年代初頭まで、通販業界の売上高は二桁成長しており、この急激な成長に着目した異業種からの新規参入が相次いだ時期でもありました。
一般的に通販事業は多額の初期投資を必要としないため、参入障壁が低いことから、このような新規参入が相次ぎましたが、この中には失敗したケースも多々あり、有名な大企業も通販事業に失敗し、市場から撤退しました。
通販の売上高の伸び率は1970年代の20%台から、1980年代には10%台に落ち着き、バブル経済が崩壊した1990年代には国内経済の低迷と共に伸び率も低下しました。
しかし、この苦しい時期に通販業界の企業はデータマーケティングやワンツーワンマーケティングを戦略的に強化し、商品の多様化・品質の向上が行われました。
これらの属性情報を分析し、興味を抱きやすい商品情報などをタイムリーに提供することで、購買促進を図ります。
インタラクティブ性の高いインターネットでは、顧客の属性情報を収集しやすいため、近年、この手法が再度急速に注目されつつあります。
通販の売上高は1998年まで低迷しますが、1999年を機に現在に到るまで毎年連続で前年の売上高を上回るまでに回復しました。
このように1990年代後半から通販業界が再生・回復した要因として、大きく以下の3つの変化が挙げられます。
2. テレビ通販の台頭
3. コールセンターまたはコネクトセンターの発達
次回の記事ではこれらの要因についてより詳しくご説明したいと思います。乞うご期待ください。