通信販売に広告は必要不可欠なものですが、広告は出せば良いというわけではありません。その広告にどれほどの効果があるのか検証することが大切であり、またその効果検証に問題がない場合であっても状況は常に変化していきますので、注意を怠らないようにする必要があります。そして、一番大切なのは、一つの集客施策に頼りすぎず収益性を高めておくことです。
その収益性を数値化することができるのがLTVであり、このLTVを日頃から高めておくことが最も重要な施策なのです。そこで今回の記事では、LTVについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
ネットショップにお客様を集めるためには広告が必要不可欠ですが、広告を出すにはそれなりの費用が掛かります。
また、その広告に対し、どの程度の効果があるのか効果検証することも必要です。その効果検証に重要となるのがマーケティング指標・CPOです。CPO(シーピーオー)はCostPerOrder・コストパーオーダーの略称で、顧客獲得費用と訳します。広告にかかった費用を広告によって得られた購入客数で割ることで算出する、購入客一人当たりを獲得するためにかかった広告費です。
このCPOは低いほど良いとされますが、その値は状況によって変動しますので、CPOの値が低いからと言って1つの集客施策だけに頼らず、他の集客施策も試していくことも重要です。
無料や低価格でできる集客施策もありますが、あまり効果は期待できません。
費用をかけずに行える集客施策の代表的なものとしてはSEO(検索エンジン最適化)が有名ですが、このSEOは、検索エンジンの判断基準に合わせサイトを改善し、自然検索においての上位表示を目指す施策であり、費用は掛からないものの手間や時間がかかります。
さらには他の企業も同様にSEO施策を行っているため、効果を得られるのはなかなか難しいと考えたほうが良いでしょう。
上記のように、マーケティング施策のCPOの値が低いからと言って油断していると、状況の変化によりCPOがいつの間にか高騰し、業績が悪化してしまうということも考えられます。
そのようなことにならないようにするためには、集客にある程度費用が掛かったとしても、事業に影響がないよう収益性を高めることが重要となります。
日ごろから収益性を高めておけば、集客のための広告に多額の予算を投じ、一時的にCPOが高騰したととしても、長期的に考えた時にそれを上回る収益を上げれば問題がないということになるのです。
この収益性はLTVという指標によって算出することができます。LTV(エルティーブイ)とは、LifeTImeValue・ライフタイムバリューの略称で、顧客生涯価値と訳し、顧客一人が企業との取引を初めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)の間にどれだけの利益を企業にもたらすかを算出したものになります。
LTVは一般的に、LTV=購買単価×購買頻度×契約継続期間によって算出され、購買単価を上げる、購買頻度を増やす、契約期間を延ばすと言ったことによってLTVを高めることができます。
このLTVを先ほどのCPOと合わせて見てみると、新規獲得に費用が掛からずCPOが低く、リピート購入が多くLTVが高い状態が業績が安定していると判断できます。
また、LTVは算出することで、集客にかかる費用が多すぎないか?さらにどれだけの費用を集客に当てることができるか?など、新規顧客獲得費用の分析などに役立てることも可能です。
例として、新たに顧客を獲得した場合、LTV上で顧客一人分の売り上げが加算されますが、この新規獲得にかかった費用(CPO)が、LTV上で加算された分を上回ってしまうと、新しく顧客を獲得したとしても損益上ではマイナスになる訳です。
これは既存の顧客維持の費用がLTV上の加算分を上回った場合でも同じことが言えます。
そのため、新規顧客獲得費用と顧客維持費用を合わせた費用よりもLTVの値が上回ることが重要となるのです。
以上のように、CPOとLTVは合わせて考えることが必要ですが、特に重要となるのが、初回購入時にCPOの値にとらわれすぎないことです。
初回から利益を求めず、できるかぎりLTVを高めること、すなわち、お客様にいかにしてリピート購入してもらうかを考えることが重要となるのです。
しかし、CPOの値にとらわれないようにするとはいえ、新規顧客獲得費用、つまり広告費用を減らすことが良いわけではありません。広告を減らしてCPOを下げるのではなく、あらゆる施策を用いてLTVを高めていくということです。
ただし、LTVは顧客の生涯価値を表す値ですから、将来の販売額を見込んでいるわけです。すぐに利益につながる訳ではありませんので、1年と言ったあまりに長いスパンで考えるのは危険が伴います。
気付かぬうちにいつの間にかCPOが高騰しすぎてしまうということがないよう、LTVは3か月程度で判断するようにしましょう。
以上のように、収益性を高めていくためには、CPOを下げることを考えるのではなく、LTVを高める施策を行うことが重要です。
ただし、広告は思ったよりも費用が掛かるものですので、CPO、LTVを常に計測しながら長期的に戦略を立てていく必要があります。