マーケティング業界には、様々な手法が存在し、企業はそれぞれ自社に適したマーケティング手法を模索しています。
そんな数多くの手法の中で、近年注目を集めているのがナラティブマーケティングという手法です。
この手法は、物語を利用し顧客の心を掴んでいく手法であり、実際に取り組んでいる企業も増えてきています。
そこで今回の記事では、ナラティブマーケティングとは何かについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
ナラティブとは、物語と訳すことが多く、これはストーリーと同じ訳ではありますが、2つの言葉の本質は少し異なります。
ストーリーは、文学や文芸などの出来上がった物語の内容を指す意味合いの言葉であり、起承転結を持ち、任意の人物や事象と言ったものを対象としています。
一方、ナラティブは、より広くとらえた場合の物語であり、長い文章や会話なども含み、個々が主体となって語る物語と言うイメージの言葉になります。
つまり、2つの違いは任意の対象について語られているか、個人が主体となって語られているかの違いとなります。
マーケティングにおいては、顧客自身が主人公となって語られる物語がナラティブということになり、自身ではなく他の誰かについての物語がストーリーということになります。
マーケティングの手法には、そもそもストーリーテリングと言う手法があり、現在でも、多くの企業が商品やサービスについて作られたストーリーを顧客に発信し、商品やサービスの魅力を伝えようとしています。
しかしこれは、決まったシナリオに沿って、企業側が伝えたいと考える出来上がった物語を顧客に発信して行く手法であり、広告と同様に企業から一方通行に発信されるものであり、顧客とコミュニケーションをとれるものではないのです。
現在では多くの顧客が、企業側から押し付けられるストーリーには興味を持たなくなっているのです。
そこで、これに代わり、ナラティブマーケティングという手法が注目され始めたのです。
現在のマーケティングにおいて、最も重要となるのは顧客と密なコミュニケーションをとり、関係性を強化していくことになります。
その流れにおいて、一方通行なストーリーテリングではなく、顧客一人一人を主体とし、より自由に物語を発信することができるこの手法が求められるようになったのです。
広告やストーリーテリングに重大な問題があったわけではありませんが、時代が変わり、顧客の求めるものにも変化が見えたことから、次の段階に進むためにこの手法が必要になったということです。
この手法は、前述のように、顧客が主人公となるマーケティング手法です。
実際に、この手法を用いた場合、顧客はそれにより自身の生活において、その商品がどのように役立つかと言うことを思い浮かべます。
顧客一人一人が、自身のライフスタイルの中に商品を組み込み、自身のストーリーとして思い浮かべるため、企業が用意した物語を発信するストーリーテリングと比べ、商品への思い入れが強くなるのです。
そして、それにより顧客がそれぞれ商品に対する深い愛着を持つため、ブランディングをせずとも、その効果を得ることも可能となります。
これは、他の手法では起こり得ないことであり、この手法だけが成し得ることのできる大きなメリットと言えます。
また、実際に、この手法を行っていくためには、どのような顧客がどのような用途でこの商品を選択し、どのような時に使用し、それによって顧客はどう感じるのか、顧客の生活はどう変わるのかと言ったことを追求する必要があります。
これは、この手法を行った場合に、顧客がどのようなストーリーを紡いでいくのかということに繋がるものであるため、これを明確にしなくては、この手法をうまく活用していくことは難しいのです。
また、これらの点を具体的に考えていくことによって、市場における自社の商品の位置を明確にすることが可能となり、これもこの手法のメリットの一つであると言えます。
上記のように、この手法には、大きなメリットがあり、実際に成功を収めている企業も存在しています。
そして、そういった企業が重要としているのが、顧客一人一人に寄り添った物語を提供するということです。
単なる商品やサービスの説明ではなく、物語によって商品やサービスを使用する体験をすることで、顧客は商品を使用した自身の便利さや楽しさを知り、それを共有することができるようになるのです。
そして、顧客は、その商品やサービスの良さを本質的に理解し、商品やサービスに深い愛着を持つようになるのです。
この手法は、企業側が用意した物語ではなく、顧客それぞれを主人公として物語を紡いでいくマーケティング手法です。
これを行うことにより、顧客は商品やサービスを使用することで得られるメリットを知ることができ、商品やサービスを深く理解することができるのです。
そして、それにより、商品やサービスに愛着を感じ、結果として成果につなげていくことができるようになるのです。