近年マーケティング業界において、オムニチャネルと言う施策が注目を集めています。
この施策は、アメリカで誕生したものですが、日本国内でも運用を開始している企業が増加しています。
しかし、すべてが効果を得られているわけではなく、うまく活用できていないケースも多いようです。
そこで今回の記事では、オムニチャネルの活用方法と成功事例について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
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オムニチャネルとは、企業が顧客に商品を届けるまでの経路を指すチャネルと言うマーケティング用語に、全てと言う意味合いで使用されるオムニを合わせた言葉です。
その名の通り、全てのチャネルを用いて顧客にアプローチすると言うマーケティングの戦略であり、近年主流となってきています。
この戦略の主な目的は、顧客満足度の向上であり、そのために、あらゆる接点を用いて顧客とコミュニケーションをとり、顧客にとって利便性の高いサービスを提供していきます。
オムニチャネルは、従来主流となってきたマルチチャネル、クロスチャネルを発展させたものとして誕生しました。
このマルチチャネルとは、顧客に対し複数の経路を用いてアプローチするという戦略です。
基本的に、販売する経路が多ければ多いほど、消費者に商品を販売のする機会は増えるわけですから、複数の経路を活用し、より多くの顧客との接点を作り出すというのがこの戦略の本質となります。
ただし、マルチチャネルの場合、複数の経路を用いていても、それぞれを独立させて運用するため、顧客から見た場合、別のサービスに見えることが多く、これがオムニチャネルとの大きな違いとなります。
そして、このマルチチャネルは、それぞれが独立しているため顧客IDが一元化されておらず、顧客はそれぞれの販売経路ごとにID登録を行わなくてはなりません。
これは、顧客にとっては何度も登録作業をしなくてはならない上、パスワードなどもそれぞれ管理しなくてはならないという負担となり、これがマルチチャネルの大きなデメリットと言えます。
また、このマルチチャネルのデメリットは、企業側にも存在します。
マルチチャネル戦略を用いることにより、顧客との接点を増やすことはできますが、その販売経路が増えた分だけ在庫管理が難しくなるのです。
具体的には、ECサイトと実店舗を運営している場合、それぞれ在庫管理の仕組みが異なるため、管理が複雑となり、その結果、過剰在庫や販売機会の損失と言った問題が発生してしまうのです。
そして、この問題を解消するために誕生したのがクロスチャネルと言う戦略であり、クロスチャネルでは、在庫管理だけでなく顧客管理と言ったシステムを連携させることで、販売経路間の在庫情報を一元化することができます。
これにより、先ほど説明した問題を解消していくというのがこの戦略の主な目的となります。
このクロスチャネルと言う戦略により、顧客にスムーズに商品を提供できるようになり、さらに、各販売経路が連携されるため、各経路は独立した販売経路ではなく、1つのブランドとしてとらえられるようになります。
そして、これらの販売経路をさらに統合させ、顧客一人一人に最適なサービスを提供していくために誕生したのがオムニチャネルと言う戦略なのです。
オムニチャネル戦略をうまく運用することが出れば、複数の販売経路を活用していても、その販売経路は同一ブランドのものとして認識されます。
また、各販売経路が連携し、情報が一元化されるため、どの経路を利用しても、顧客に合わせた最適なサービスを提供することができるのです。
このように、オムニチャネルは成功すれば、企業側、顧客側どちらにも大きなメリットがあります。
しかし、運用を始めたからと言って、すべてが成功するわけではなく、実際の売り上げに繋がらず苦戦しているケースも多いようです。
そして、この成功に繋がらないケースには、共通した問題点があります。
その問題点と言うのが、企業側のメリットばかりを考え、顧客視点に立っていないということなのです。
オムニチャネルは、顧客の利便性を上げ、顧客満足度を向上をさせることを目的とした戦略であり、顧客視点に立ってサービスを提供することが最も重要となります。
それをおろそかにしていては成功に繋がるわけがありません。
一方で、成功に繋がっているケースでは、顧客の視点に立ち、顧客の利便性を上げる施策に取り組んでいます。
具体的な例として、レディースシューズを扱っている企業の場合、ECサイトにおいて、試着ができないために購入をためらう顧客に対し、実店舗の在庫情報や店舗の詳細な情報を簡単に確認できるようにしました。
これは、そもそも実店舗とECサイトで顧客の奪い合いとならないようにとはじめられた施策ですが、これを実施したことにより、ECサイトの顧客を実店舗に誘導することが可能となり、またこれにより、実店舗からECサイトを紹介することに対する抵抗もなくなり、結果として、サービスの拡大を実現することができたのです。
また、スニーカーを主に扱う企業では、ECサイトで商品を選択、その商品を最寄りの実店舗で試着し、購入することができる店舗受け取りサービスを提供し好評を博しています。
この企業では、さらに、実店舗に在庫がない場合、ECサイトの在庫をその場で確認、自宅に発送することも可能とし、在庫切れによる機会損失を減らしています。
この2つの事例で取り扱われている靴と言う商材は、試着ができずサイズ感が分かりにくいためECでの販売が難しいと言われています。
しかしこの事例では、オムニチャネル戦略を活用することにより、顧客をECから実店舗に誘導し、さらに、実店舗からECへと誘導することに成功しているのです。
どちらの事例も顧客にとって非常に利便性が高く、顧客の視点に立った施策と言えます。
オムニチャネルは、顧客の利便性を優先する施策ではありますが、企業にとってもメリットの多い施策でもあります。
しかし、企業側のメリットばかりに気を取られ、顧客重視の考えをおろそかにしてしまうと、効果を得られず、売り上げに繋がらないということになりかねません。
今回説明した成功事例では、顧客にいかにメリットをもたらすことができるかを、顧客の視点に立って考え、施策を実行しています。
オムニチャネルとは、あくまでも顧客を優先して考えることが重要であり、その結果として、企業側にもメリットがもたらされるものだと言うとを留意することが大切です。