事業を行う上で、売り上げを上げていくには、大きく分けて2つのビジネスモデルがあります。
その一つがストックビジネスであり、名前の通り蓄積していく形の仕組みを持ったビジネスのことを指します。
一定の契約を取ることができれば、安定した収益が見込めると言うのが大きな特徴ですが、このストックビジネスには他にも様々なメリットがあります。
そこで今回の記事では、ストックビジネスについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
ストックビジネスとは、英語のストック(蓄え、蓄積)を元とする言葉で、一度契約を結べば、新たな契約を結ぶことがなくても継続して対価を得ることができる、つまり継続して売り上げを上げることができるビジネスモデルのことを指します。
一度の契約で月々の安定した収入が保証されると言うことになります。
このビジネスの代表的なものとして、身近なもので言うと、電気やガス、水道などのインフラ関連、通信事業、介護事業、生命保険などの保険料、不動産の賃貸料などが挙げられます。
これらは、基本的に解約の手続きが行われない限り契約は継続され、売上を上げ続けることができます。
ストックビジネスは、契約を結ぶために何らかの施策を行う必要がありますが、契約後は固定収入が保証されるため、契約までは全力で行う必要がありますが、契約後はそれを維持するだけで良い、つまりストックする時間が生まれると言うことになります。
ただし、契約には期間がありますし、解約されてしまうこともありますので、契約後も顧客の満足度を向上させるような施策を行う必要があります。
このビジネスの典型的な例が、不動産賃貸業です。
不動産を持っていて、それを借りたいと言う人がいれば、営業活動などを行わなくても毎月家賃や賃料が支払われます。
借りてもらうために営業活動などが必要なケースもありますが、一度入居してしまえば特に営業活動などは必要ありません。
ただし、貸している不動産に何か問題が生じた場合、常に対応する必要はありますし、それを怠れば退去されてしまうと言うこともあります。
ストックビジネスのメリットとして挙げられるのは、何と言っても安定した継続収入を得られると言う点です。
一度顧客になってもらうことができれば、解約されない限り固定収入が保証されると言うことです。
前述のように営業活動や販促活動をを行わなくても固定収入がある訳ですから、在庫管理などに煩わされることもなく、業績が安定しやすいと言う点もメリットとして挙げられます。
つまり、外的な要因に左右されずに、安定した業績を上げることができると言うことになります。
また、長期的な契約を結ぶため、顧客との関係性が強化しやすく、顧客の動向を把握しやすいと言うのもメリットとして挙げられます。
顧客が何を望んでいるのかを知る機会も増えますので、それを元に商品やサービスの改善、顧客満足度の向上などに役立てることも可能となります。
さらに、このビジネスは、新規顧客の獲得よりも、既存顧客の維持に注力するものですから、営業や販促にかかるコストの削減につながると言う点も大きなメリットとなります。
上記のようなメリットがある一方で、もちろんデメリットも存在します。
デメリットとしてまず挙げられるのは、長期的に契約を継続する限り、顧客を満足させるサービスを提供し続けなければならないと言う点です。
継続収入があるからと言って、何もしなくて良いと言うことではありません。
サービスの質が落ちれば、顧客満足度は下がりますし、途中解約と言うリスクも生じます。
そのため、安定した収入の対価として、サービスを提供し続けることが必要となるのです。
また、このビジネスは、一定の契約数を獲得することができれば、事業全体が安定しますが、そこに至るまでにある程度時間がかかるため、収益が安定するまでの資金の確保が必要となると言う点もデメリットとして挙げられます。
さらに、サービスの内容によっては、支払いが先行するケースが多いと言うのもデメリットの一つです。
先行支払いは、事業全体に影響を及ぼすものですので、それに対応できるかどうかが大きな問題となります。
分かりやすく言うと、電力会社であれば、顧客からの支払い前に電力を供給するわけですから、その供給に関わる石油や石炭などの支出は、支払い先行となるわけです。
ストックビジネスは、一般的な事業においてもECにおいても同様にメリットの多いビジネスモデルです。
ECにおいては、定期購入型のサービスやレンタル・リース型のサービスが典型的なストックビジネスと言えます。
近年では、サブスクリプションにおける定額利用のサービスが人気を集めていますが、このサブスクリプションサービスとストックビジネスは根本的には同じタイプのビジネスであると言えます。
しかし、この2つには本質的には違いがあります。
ストックビジネスは、顧客と一度契約を結ぶことで、継続して対価を提供し続け、それに満足した顧客は継続して課金を行い続けるものであり、これは収益継続性に重点を置いたものです。
一方で、サブスクリプションはストックビジネスよりも、定期課金に重点を置いたビジネスモデルであると言えます。
特に、最近のサブスクリプションの中には、継続課金を行えばどんなものでもサブスクリプションであると言うようなサービスも多く見られ、単なる分割払いになっているケースもあり、これは、ストックビジネスとは全く異なるものであると言えるのです。
ストックビジネスは、一度顧客を獲得すれば、安定した売上を上げることが可能となるビジネスです。
売り上げが安定しやすいていう大きなメリットがありますが、その分それに見合う対価を提供し続けなければならないと言うデメリットも存在します。
また、売り上げを安定させる、つまりストックするまでに時間がかかりますので、その点を留意しておくことが必要となります。