売り上げを上げるためには、顧客を増やすことが重要ですが、現在では新規の顧客の獲得は非常に難しくなっています。
このような状況の中で有効とされているのが、顧客により高額な商品を購入してもらい、顧客一人当たりの単価を高めていくことです。
そして、これに最も効果的とされているのがアップセルと言うマーケティング手法であり、これを行うことにより効率よく顧客単価を高めることが可能となるのです。
そこで今回の記事では、アップセルについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
アップセルとは、顧客に対し、それまで購入した商品やサービスよりも単価の高い商品やサービスを勧め、購入してもらうと言うマーケティングの手法の一つです。
これにより、顧客一人当たりの単価を向上させることができます。
これは、既存の顧客だけでなく、新規の顧客に対しても用いることが可能で、商品購入時にこの手法を活用することで、購入予定の商品よりも上位モデルの商品や高額な商品を購入してもらうことが可能となるのです。
この手法と併せて、使用される言葉にクロスセルと言う言葉があります。
これは、この手法がより高額な商品を勧める手法であるのに対し、別の商品や関連商品を合わせて購入してもらうように促す手法になります。
例えば、掃除機の購入を検討している顧客に対し、別売りの付属商品やクリーナーなどの関連商品をまとめて購入することを勧めるのがクロスセルとなります。
どちらの手法も、顧客単価を向上させるという共通した目的があり、成功すれば収益を増加させることができますが、どちらも簡単に成功できるわけではありません。
無闇に商品を勧めても顧客は購入してくれませんし、強引に商品を勧めれば、押し売りのように受け取られ、嫌悪感を持たれてしまうこともあるのです。
この手法やクロスセルを成功させるには、顧客のニーズや詳細な情報を正確に把握しておく必要があり、さらに、押し売りと思われない高いコミュニケーション能力も重要となるのです。
この手法は、より高額な商品を勧める手法ですから、高額な商品を購入する可能性の高い顧客に対して行わなければ意味がありません。
また、高額な商品を勧められたからと言って、実際に購入しくれる可能性が高いのは、自社の既存顧客の中でロイヤリティの高い顧客です。
ロイヤリティの低い顧客に高額な商品を勧めても購入してくれる可能性は低いですし、さらに、不快感を持たれてしまう恐れもあります。
そのため、この手法を行う前には、ロイヤリティが高く、高額商品を購入する可能性の高い顧客を抽出し、その顧客についての詳細なデータを把握しておくことが必要となります。
上記のように、この手法を行うには、ロイヤリティの高さが重要となるわけですから、ロイヤリティが低い顧客を育成していくことも必要です。
顧客のロイヤリティを高めることができれば、その顧客に対し、この手法を行うこともできるようになるのです。
実際に、ロイヤリティを高めていくには、顧客との関係性を構築することが必要です。信頼関係が成り立っていなければ、商品を継続して購入してくれることはないですし、もちろんこの手法が通じるわけもありません。
まずは、様々なアプローチを行うことで、顧客との関係性を確かなものとすることが重要なのです。
実際に、この手法で成功を収めた事例として挙げられるのが、株式会社大塚商会の事例です。
大塚商会は、コンピューターや複合機、通信機器などを主として取り扱う商社で、たのめーるなどで有名です。
この大塚商会は、CRM(顧客管理)を独自に開発し、営業担当者がリアルタイムで顧客情報を把握できることを可能とし、従来の効率の悪い営業活動を、有望な顧客に対する適切な提案活動にシフトしたのです。
これにより、顧客のニーズに合わせたアップセル営業が可能となり、収益を上げることに成功しています。
これは、独自開発したCRMを最大限に有効活用し、営業の現場全体にアップセルを浸透させた好事例と言えます。
上記のような成功事例がある一方で、失敗した事例も存在します。その代表的な事例として挙げられるのが、百貨店です。
近年の百貨店は顧客が減少し、売り上げも軒並み低下しています。
その状況を打破するため、多くの百貨店がアップセルやクロスセルの導入に取り組み始めました。
この時百貨店が選択したのが、実店舗とECを相互補完させ、顧客数を増加させる戦略です。
しかし、この戦略に不可欠である顧客のデータを蓄積し、分析する体制が整っていなかったため、顧客のニーズを的確に分析することができず、顧客の支持を得ることができなかったのです。
結果として、百貨店が行った施策の多くは失敗に終わっています。
上記のように、アップセルが成功するか否かは、顧客の情報を的確に管理し、それを活用することができるかということにかかっているのです。
この手法は、商品を購入してくれる顧客に、それよりも高額な商品を勧めていく手法であり、これを成功させるには、その提案を受け入れてくれる可能性の高い顧客を抽出する必要があるのです。
そのためには、顧客の情報をできる限り収集し、それを分析したうえで、顧客一人一人に的確な提案をしていくことが必要となるのです。