化粧品は通信販売と相性の良い商材と思われがちですが、実際には化粧品業界はEC化に後れを取っています。
ECサイトで販売を行っている企業もありますが、売上にはつながっていないと言うのが現状です。
そこで今回の記事では、化粧品業界でEC化が進まない理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
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化粧品は通販に向いた商材のように思われますが、他の分野の商品と比べても通販での売り上げは伸び悩んでいます。
言い換えると、化粧品を通販で購入することは少ないと言うことなのです。
その理由はいくつかありますが、まず挙げられるのは販売方法・種類が多いと言うことです。
化粧品は古くから百貨店での店頭販売、訪問販売、カタログ販売、テレビ通販などが行われ、現在ではドラッグストアやコンビニと言った身近な場所でも購入することができるのです。
現在ではドラックストアやコンビニ、スーパー、百円均一ショップなどでも、様々な種類の化粧品を購入することができます。
この手軽に購入できる化粧品が、若い世代から人気を集めており、需要が非常に高くなっていることも理由の一つとして挙げられます。
ドラッグストアやスーパー、百円均一ショップは全国に店舗があり、コンビニと同様に地方でも気軽に立ち寄ることができるのです。
このような身近なドラッグストアなどで実際に手に取って購入できるのですから、低価格のものをわざわざ高い送料を払って通販で買う必要がないのです。
このドラッグストアなどで購入できる化粧品の多くは数百円から購入できる低価格帯の商品です。
若年層から高いニーズがあり、プチプラコスメとも呼ばれています。
また、現在のそういった化粧品は低価格であっても品質が向上しているため、年代を問わず一定の需要があるのです。
そして、このプチプラコスメは、ECサイトでの販売は行わず、ドラッグストアなどの店頭での販売が中心となっているのも、ユーザーがECで化粧品を購入しない要因と考えられます。
プチプラコスメは若い世代を中心に需要がある一方、一流ブランドの高価格帯の化粧品は年代を問わず需要があります。
そして、化粧品に高額をかける場合には、価格が高い故、失敗したくないという考えから、実際に、商品を手に取ることができる店頭で購入したいと考える方が多いことも理由の一つであると言えます。
特に化粧品は肌に直接つけるものであり、様々な種類の中から自身の肌に合うものを、実際に試してから購入したいと思う方は非常に多いのです。
店頭販売で購入する場合、専門のスタッフのアドバイスを受けることができますし、実際の肌質を見てもらうことができるので、失敗する可能性は低くなります。
こういったことから、ECサイトでの購入を避け、店頭での購入を選ぶことが多いのです。
化粧品業界が他の業界と比べても、非常に競合が多い業界だと言うことも、ECで化粧品が売れない要因の一つだと考えられます。
化粧品業過には、国内の大手化粧品会社や外資系化粧品会社、通信販売に特化した化粧品会社、また、食品会社など異業種から参入した企業などがあり、資本力のある大手企業がひしめいているのです。
そのため、広告費用などのことを考えてもECサイトで収益を上げると言うのは非常に困難なことであると言えます。
ECサイトで販売をしている企業もありますが、その場合、売上を上げるよりも、ECでのブランディングを優先しているというのが実情のようです。
化粧品に限ったことではありませんが、通信販売では実際に使用したユーザーの口コミやレビューを非常に重要視する傾向があります。
そして、直接肌につけるものである化粧品となると、さらにその傾向が強くなるのです。
実際に手に取り、商品を試すことができないのであれば、口コミやレビューを参考にしたいと考える方が多いのです。
そのため、購入の際には、化粧品会社の公式サイトよりも口コミサイトを重要視する傾向があります。
そこで、多くの化粧品会社はアフェリエイターに依頼し口コミサイトを設け、そこからユーザーを自社サイトへ誘導していました。
しかし、これが大きな社会問題となり、Googleの検索アルゴリズムも改定されたため、この手法を行うことができなくなり、ECサイトの売り上げを伸ばすことができなくなったのです。
このような事情から、多くの化粧品ECの売り上げは低下しており、現在は多くの企業がSNSを活用したインフルエンサーマーケティングに注力しているようです。
化粧品業界のターゲットであるユーザーは、こういったインフルエンサーなどの影響を強く受けやすいとされていますので、インフルエンサーをうまく活用し商品を宣伝してもらうと言うことが非常に重要となっているのです。
ECサイトでの化粧品の売れ行きが悪いのには、上記のようないくつもの理由があります。
これらの問題は、簡単に解決するものではないですから、企業側がユーザーのニーズに合わせて対応していくことが重要となります。
そのため、今後も化粧品業界の多くの企業はECでの販売に注力するのではなく、ECやSNSを活用して商品やブランドの認知度を高め、店頭販売を主とした複数の販売方法で販売を強化していくと考えられます。