昨今、さまざまなメディアなどでD2Cという言葉を目にする機会が多くなってきました。
D2CはDirect to Consumerの頭文字を取った略称であり、ブランドやメーカーが代理店や小売店を介さず、製造から販売、そして販売後のアフターフォローまでを一貫して消費者と直接取引を行うビジネスモデルです。
D2Cブランドは、実店舗のみにとどまらず、SNSやECサイトなどの幅広いチャネルで、消費者と直接コミュニケーションを取りながら自社ブランドの商品を販売しています。
D2C市場の拡大と共に注目されている新たな経営戦略のひとつに「IR戦略」というものがあります。
今、IRの強化や企業価値を向上させるための関心が高まってきており、D2Cビジネスでも注目されている方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、D2Cブランドを行う上で理解すべき企業価値向上のための知識について、詳しくお話させて頂きたいと思います。
今後より自社D2Cブランドの企業価値を高めたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
株価を上げるためには、IR経営戦略を理解しなければならず、IR経営戦略を理解するためにはまずIR活動をしっかり理解しておかなければなりません。
IR活動とは、成長戦略を含むIR資料により、投資家に説明することであり、大きく分けると「成長戦略を作る」「IR資料を作る」「投資家に説明する」という3つの要素があります。
これら3つの要素全てのレベルを上げることで、株価が向上するのです。
これらの中でもIR活動として見た場合には、最も重要な要素は「成長戦略」でしょう。
「株価=利益×成長期待」と言われるように、株価は利益に成長期待を掛けて決まります。
投資家はそのビジネスの将来性に関心を持っていますので、成長ストーリーをいかに数値で語ることができるか、ということが重要なポイントでしょう。
利益は短期のビジネス力として、事業部や営業部の力で生み出されます。
成長期待は中長期的な成長力ですので、経営企画やIR部門の力で生み出されます。
どちらも伸ばすことが大切なのですが、株価を上げるためには、持続的な利益成長を見込むことができる「成長戦略」が重要になってくるのです。
では成長戦略とは具体的に何のことを言うのか、成長戦略は、強みを活かすことができる市場チャンスを見つけ、それを獲得するための戦略を立て、将来の目標を示す1本のストーリーのことです。
「当社の強みは〇〇で、このようなビジネスチャンスが目の前に広がっているため、△△の方法で獲得し、結果的に将来は〇〇になることを目指す」というように投資家に説明することで、成長期待が大きく高まり、株価も向上しやすいのです。
上記で説明した株価を上げる3つの要素をそれぞれ強化するためには、どのようなステップで進めていくと良いのでしょうか。
まずは準備段階として、自社の目標はどこに設定するのか、ということを明確に定めることが重要です。
そしてその作業と並行しながら成長戦略を考えていきましょう。
成長戦略を考える際、現状の内外分析をしっかり行い、将来の成長戦略を立てると良いでしょう。
そして目標設定が終わるころに成長戦略と並行してIR資料を作成していきます。
このIR資料作成時、後半の将来の話よりも決算や事業などの過去の話の部分の方が難易度が低いので、簡単に進めることができますので、決算、事業整理、市場チャンス、戦略を作ると良いでしょう。
そして最終段階では、資料を1on1や説明会で説明していきます。
以前までは、人件費はコストと考えられていましたので、できるだけ人にかかるコストを少なくすべき、という考えは、企業側にも投資家側にもありました。
ですが、近年では人への投資を怠ることは、企業の持続的な成長には繋がらないということが明らかになっています。
人はコストであるという考えを無くし、人は将来の投資だという考えを持ち、社員に配慮する企業ほど離職率が少なく、また第三者からも評価される時代であり、この流れは今後も続くと考えられていますので、人事戦略は企業にとって非常に重要な戦略でしょう。
以上、D2Cブランドが取り組むべき企業価値向上のための知識についてお話させて頂きました。
D2Cビジネスを成功させるためには、いかに競合に負けない自社だけの企業価値を見出し、それを伸ばし続けることができるか、ということが重要なポイントです。
今後さらに拡大し続けるであろうD2C市場だからこそ、このような知識は必要不可欠になっていますので、これらを十分に理解した上でD2Cビジネスに挑んでくださいね。