メーカーやブランドなどの製造者が消費者と直接取引を行う、D2Cというビジネスモデルがあります。
D2Cを展開することで、流通や卸売、小売などの仲介業者を介さないので、大幅にコストを削減することができますし、消費者と直接関係を持ちやすいので、顧客データを蓄積しやすいというメリットがあります。
最近は、インターネットが普及し、EC市場とSNSの規模が拡大していますので、アパレルや化粧品など、実体のあるモノを扱う企業がD2Cビジネスを導入することが多くなっています。
ですが、ビジネス初心者の方にとっては、どのような構造でビジネスが成り立っているのか、ということが気になることでしょう。
一口にD2Cと言っても、D2Cビジネスはさまざまな形態がありますので、それらそれぞれをしっかり理解しておかなければなりません。
そこで今回は、新しいタイプのD2Cビジネスモデルとは何か、詳しくご説明させていただきたいと思います。
今後D2Cビジネスの展開を検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
D2Cのビジネスモデルは、「有形・無形商材」「サブスクリプション・都度販売」に分類することができます。
有形商材はその名の通り、実体のあるものを取り扱っている場合で、無形商材はデジタルコンテンツなど手を触れることが出来ない商材のことを言います。
それらを定期的に商品が届くようなサブスクリプションを導入するか、それとも単品のみの購入である都度販売かによって、大きく変わってきます。
つまり
「有形商材×都度販売」
「無形販売×都度販売」
「有形商材×サブスクリプション」
「無形商材×サブスクリプション」
以上の4つのタイプに分けることができます。
それぞれにメリットとデメリットがありますので、自社D2Cビジネスはどの組み合わせが適しているのか、ということを考えなければなりません。
高価格商品
有形商材×都度販売から派生したものは高価格商品であり、単価が数万円を超えるようなものが対象となります。
上記の4つのビジネスモデルに当てはめた場合は、有形商材×都度販売に当てはまるものの、価格を引き上げることで、異なる展開もされています。
たとえば、7万円を超える美容器具を販売している場合、クレジットカードの分割払いでひと月当たりの支払いを軽減し、それをしっかり明記することで、ユーザーの購入に対する障壁を極限まで下げることができます。
あくまでも都度販売であり、サブスクリプションではないのですが、合計金額よりも初回支払金額に目が行くよう、上手く設計されているのです。
店頭の場合、多数の商品が陳列されていますので、他の商品と比較されてしまうのですが、Webサイト上では同一商品の本体価格と月額を見比べられるというメリットがありますので、オンラインショップと非常に相性が良いと考えられるでしょう。
ハードウェア×ソフトウェア
「有形商材×都度販売」でハードウェアを販売した後、「無形商材×サブスクリプション」でソフトウェアを販売するというビジネスモデルもあります。
たとえばPeloton(ぺロトン)というD2Cブランドの場合、エアロバイクやランニングマシーンをハードウェアとして販売し、インストラクターのトレーニングをソフトウェアとしてサブスクリプションで販売しています。
消費者は先行してハードウェアを販売し、さらに月額としてサービスやコンテンツの利用料金を支払うので、二段階のキャッシュポイントが存在しますよね。
ハードウェアとなる大きい買い物、そしてソフトウェアである小さな買い物をすることで、継続的にお金を支払うことになるのです。
Boxタイプ
「有形商材×サブスクリプション」から派生する事例としては、おやつの体験Boxを提供する「snaq.me(スナックミー)」が挙げられるでしょう。
通常であれば、顧客がサービスを継続しようか否か迷った際、辞めるか続けるか、の二択であるのですが、snaq.meの場合は辞めるか続けるか、中身を変えるか、の三択を提示しています。
Boxであるからこそ、中身が固定されていませんので、中身が異なれば継続利用しようか、という顧客心理に上手く訴えることができるでしょう。
パーソナライズ
個々のユーザーに合わせて適した商品やサービスを提供する、パーソナライズD2Cビジネスは、もし複数商品からそれぞれの顧客に最適な商品を選定するという独自のビジネスモデルの場合、唯一無二のビジネスモデルとして確立されています。
Boxタイプと類似しているのですが、同じ商品が毎月届くのではなく、パーソナライズされた商品が届き、もしそれが自分に合っていないと思った場合には、商材を変更することができることも、ひとつの特徴でしょう。
新しいタイプのD2Cビジネスとは何か、ということについてお話させていただきました。
今後も定番のビジネスモデルをベースに、さまざまなタイプが派生していくタイプが大いにあることでしょう。
D2Cビジネスが今後もブランドや顧客から支持されていく中で、D2Cビジネスそのものも同様に成長していくことは間違いありません。
どのビジネスモデルが自社に合っているのか、それをしっかり判断して、常にビジネスの動きをキャッチしてくださいね。