今、仲介業者を介すことなく、自社内で一貫して商品の製造や販売などを行う、D2Cビジネスモデルが注目されています。
D2Cの特徴としては、実店舗を持たずに自社ECチャネルを中心に商品を販売することであり、一貫したブランディングを行うことができますので、「このブランドだから」という理由で選んでもらうことができる「特別感」を演出することができるのです。
D2Cビジネスは、総合格闘技に例えられるように、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。
そのさまざまな要素の中でも特に重要視すべきことは「ストーリー」でしょう。
今の時代は、機能的価値だけの商品は売れない傾向にあり、人々は情緒的価値を求めるようになっています。
D2Cブランドが独自のストーリーを発信し続けることで、機能的価値だけでなく情緒的価値を繰り返し伝え続け、顧客の心に迫っていく必要があるのです。
このストーリーと類似する言葉として、「ナラティブ」という言葉があることをご存知でしょうか。
D2Cビジネスでは、このナラティブこそ非常に重要な要素になりますので、絶対的に覚えておくべきことなのです。
そこで今回は、D2Cビジネスを成功させるためには知っておくべき「ナラティブ」について、詳しくお話させていただきたいと思います。
今後D2Cビジネスで成功したいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
ナラティブ(Narrative)とは、直訳すると「物語」や「説話」と訳され、あまり聞きなれない言葉ではありますよね。
D2Cビジネスにおけるナラティブを考えてみると、今機能的価値だけを追求した商品は売れにくい時代だからこそ、D2Cビジネスでは、そのブランドがどれほどはっきりとした目的を持っているか、ということが大切なのです。
そしてその明確な目的は、真の意味でブランドと顧客が繋がるものであるべきで、ナラティブはこの目的を動かすものだと考えられているのです。
確かにD2Cビジネスは、顧客に対し積極的に関わり、繋がりたい、という気持ちがなければ顧客が自ら動くことはありません。
目的を持つことで、この動機が生まれ、ストーリーテリングが作る情緒的価値がさらに深まると考えられるのです。
ストーリーテリングとナラティブを考えると、どのような違いがあるのか分からない方も多いことでしょう。
顧客に対して大きく分けて考えてみると、ストーリーテリングとは、完結した物語を語ることである一方でナラティブは完結していない物語を語ることです。
両方ともに、物語を軸として考えると、ストーリーテリングは「語るもの」であるのですが、ナラティブは「語られるもの」なのです。
D2Cビジネスにおいて、いかにナラティブが重要か、ということを考えるには、コスメD2Cブランド「Glossier」を例に挙げてみましょう。
創業者自身がGlossierのプロダクトそのものをコンテンツだと捉えており、プロダクトをコンテンツだと認識することで、そのコンテンツに物語が付帯し、顧客から語られるものになるのです。
創業者自身がそのことを第一に理解していたからこそ、D2Cビジネスとして大きな成長を遂げたのでしょう。
Glossierの顧客へのアプローチを見てみると、創業者がGlossier創業前に開設したブログ「Into The Gloss」が大きなきっかけになっていることが分かります。
ブログで、有名人の美の秘訣やメイクのポイントなどを伝え、そこにきた読者からのコメントに自ら積極的に返信し、インスタライブを行ったりと、双方のコミュニケーションを大事に考えられているのです。
また、創業者は顧客のことを共謀者(Conspirators)と呼んでおり、ブランドからの一方的な発信だけでなく、共創の姿勢を最重視しているのです。
常に自らのみが語るような一方的な情報発信だけでなく、顧客同士がGlossierに関することを語り合う場を提供し続けているのです。
これにより、熱狂的なファンを作ることに成功し、D2Cビジネスを大きな成功へと導いたのでしょう。
このGlossierの事例をしっかり理解することは、D2Cビジネスにおけるナラティブの重要性を理解することと同じことが言えるのです。
以上、D2Cビジネスを成功させるためには知っておくべき「ナラティブ」の重要性についてお話させていただきました。
D2Cビジネスを確実に成功させたいと思うのであれば、このナラティブに関する知識は非常に重要です。
ナラティブを深く理解して初めて、D2Cの本質が見えると言っても過言ではありませんので、ぜひGlossierのような成功事例を参考に、D2Cビジネスを効率よく進めてくださいね。